自動車メーカーのAudi(アウディ)は、自社の自動車ディーラー内に「VRショールーム」を設けることを発表しました。「VRショールーム」は、利用者にVRを通した販売車種のチェックなどのサービスを提供します。「VRショールーム」は、世界中のアウディの自動車ディーラーのうち1,000店舗に設置されます。

「VRショールーム」の告知は、サンフランシスコで行われたVRX 2018の壇上で行われました。

自動車メーカーの中でも特にVRに注力

アウディは自動車メーカーの中でも、早期からVRに注力している企業です。今回、本格的な展開が告知された「VRショールーム」も、2016年から開発の公表と各地での試験的な運用が行われていました。2017年には日本国内でも、千葉と兵庫で体験キャンペーンが行われました。

「VRショールーム」は、利用者が希望する車両を、VRでチェックできるサービスです。利用者は、希望する車種やカラーリング、搭載したいオプションなどをVRを通して確認できます。車を置く環境を設定できるのも特徴です。パリの市街から月面まで、様々な場所でアウディがどのような“映え方”をするのか、確認することが出来ます。VRヘッドセットは、Oculus RiftHTC VIVEを使用。自動車ディーラーの規模に応じて使用します。

アウディ、VRショールームを販売代理店へ展開予定 | Mogura VR

アウディ、VRショールームを販売代理店へ展開予定 | Mogura VR

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実現のための努力

「VRショールーム」で使用される車両の3Dモデルは、本物の完全再現ではありません。ネジやプラグなどを含む、全てのパーツを緻密に再現すると、現行のVR技術で処理できる範囲を超えてしまうためです。そのためアウディは車両モデルの簡略化を行いました。

車両モデルの品質を低下させない簡略化を行うため、アウディはアメリカに拠点を構えるIT企業4D Pipelineと提携しました。アウディのVR部門を統括するLorenz Schweiger氏によると、4D Pipelineが開発した車両モデル簡略化システムは、GPUの負荷を大幅に軽減しました。また、従来は1台につき1~2週間を必要としていた簡略化のプロセスを、20分に短縮したとのことです。簡略化が完了した車両モデルは、VR上で90FPSで動作します。

 Schweiger氏によると、4D Pipelineの車両モデル簡略化システムは、アウディーが保有するオリジナルの車両データとリンクしています。このリンクにより、オリジナルの車両データに変更が加えられた場合、車両モデル簡略化システムは、オペレーターの指示無しに自動的に簡略化モデルを修正します。

2018年12月現在「VRショールーム」が設置される自動車ディーラーに関しては、全世界で1,000店舗という情報以外、詳細は伏せられています。日本国内での展開や時期についても判明していません。

(参考)Road to VR

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