会社員生活に疲弊する男性を描いた漫画「みんなで辞めれば怖くない」がSNS上で話題となっています。上司から理不尽に怒られたり、酒を強要されたりする男性。そのたび、心の中に住んでいる小学生の人格が登場し…という内容で、「こんな生き方したくない」「考えさせらえた」「日本はゆがんでいる」「上司は非を認めない」などの声が上がっています。作者の男性に聞きました。

サラリーマン時代は労働が嫌いだった

 この漫画を描いたのは、けん(ペンネーム)さん(28)です。24歳の頃に漫画家としてデビューしました。現在、中憲人の名前で活動しています。なお今回紹介するのは、11月に発売された同名の長編漫画の短縮版です。

Q.漫画を描き始めたのは、いつ頃からでしょうか。

けんさん「22歳の頃です。大学4年生の春休みに暇だったので描き始めました。漫画雑誌なかよし』が『まんが家セット』という付録付きで販売していることを偶然、ネットのニュースで知り、興味が湧いたことがきっかけです」

Q.今回の漫画を描いたきっかけは。

けんさん「以前描いた同名の長編漫画の第1話をツイッターで読んでもらいたかったからです。全部読んでもらえる自信がなかったので、4ページに編集しました。

大学卒業後、2年ほど会社員として働いた経験を元に描きました。勤務先はブラック企業ではありませんでしたが、当時は、働くこと自体が苦痛で、見るものすべてが嫌でした。たまたま会社で嫌なことがあった際、素直に質問する小学生のアイデアを思い付き描いてみました」

Q.現在、理不尽な出来事に遭遇することはありますか。

けんさん「特にありません。起床する時間が自由なので、それだけでほとんどのつらさが消えました」

Q.心の中に物事を客観的に判断するもう一人の人格のような存在がいますか。

けんさん「もう一人の人格はありませんが、言いたいけど言えないことが出ると、それを言いそうな別の人を想像したりはします」

Q.漫画について、どのような意見が寄せられていますか。

けんさん「うれしいことに『読んでよかった』『同じような境遇で苦しいので、こういうことを言いたい』『つらいので読めない』などの意見を頂きました。確かに、私も自分がつらいときにわざわざつらい状況の作品は見ないと思うので、主人公の勤務先の会社名を『株式会社定期的につらいことがある』などと名付け、フィクションの度合いを上げて読みやすくすればよかったと思いました」

Q.創作活動で今後、取り組んでいきたいことは。

けんさん「能力バトル漫画を描くことを目標にしています」

オトナンサー編集部

漫画「みんなで辞めれば怖くない」のカット=けん(@nomorehole2)さん提供