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◆2018年12月12日WWFはメコン川流域での生物調査の結果、2017年に157種の新種が発見されたと報告書『New Species on the Block』で発表した。

WWFが調査を開始した1997年以降、2017年までの間に発見された新種はこれで計2,681種となった。

◆メコン川の流域に広がる森には、インドシナトラやアジアゾウなど絶滅の恐れのある動物たちも多く生息し、近年、インフラ開発や天然ゴム農園の拡大などにより環境破壊が進んでおり、早急な対策が求められている。


報告書『New Species on the Block』
WWFは2017年の1年間にカンボジアラオスミャンマー、タイ、そしてベトナムのメコン川流域で行った生物調査の結果、157種の新種の生物を発見しました。2018年12月12日に結果をまとめた報告書『New Species on the Block』を発表しました。

東南アジア最長を誇るメコン川流域には、サバンナから熱帯雨林、山間の急流から広い川幅を持つ本流の流れまで、多様な生態学的景観が存在し、生物多様性の宝庫としても知られています。世界でメコン地域にしか分布していない固有種も多く、また、インドシナトラやアジアゾウ、サオラなど絶滅の恐れのある動物たちも多く生息し、WWFは世界的に重要な生態系の一つとして保全活動を進めています。

2017年の1年間の調査の結果、新種として確認された種(亜種含む)は、哺乳類3種、魚類23種、両生類14種、爬虫類26種、植物91種の計157種になります。WWFが調査を開始した1997年以降、これまでに発見された新種は合計2,681種に上ります。

今回、発表された新種の中には、映画スターウォーズのジェダイマスターのように長い時間を経て新種と認定されたことから名が付いたテナガザル「Skywalker Hoolock Gibbon(Hoolock tianxing)」や、バンド☆NSYNC(イン・シンク)のメンバーであるランス・バス氏の髪型に似ている特徴を持ったことから名が付いたコウモリ「英名未定(Murina hkakaboraziensis)」や、霧深く苔で覆われ、湿度の高い、まるで中つ国の“エルフの森”のような森に生息することから名が付いたカエル「英名未定(Ophryophryne elfina)」など、ユニークな由来がある生き物もいます。

新種を発見できたという明るい知らせの一方で、近年メコン川流域では、急激な経済成長に伴い、道路や鉄道、ダム建設などインフラ開発による環境破壊が深刻化しています。特に大きな要因の一つとなっているのが、天然ゴム農園の拡大です。天然ゴムの生産量の約7割がタイヤに使用され、日本にも多く輸入されており、このまま開発が続けば、2030年までに相当規模の森が失われてしまうとの予測があります。 WWFアジア太平洋地域自然保護室長のスチュアート・チャップマンは、今回の報告書の発表に際して、「今後も環境に配慮のない急激な開発による自然の消失が続けば、まだ科学的に発見されていない多くの生き物たちが発見されないまま姿を消してしまう可能性もあるであろう」とコメントをしています。今後もこの流域で未知の生き物たちが更に発見される可能性もあり、WWFはこれからも、この希少な野生生物や自然環境の保全と、持続可能な開発を目指した取り組みを支援してゆきます。
学名:Murina hkakaboraziensis (コウモリの一種)
学名:Oreoglanis hponkanensis (ナマズの一種)
学名:Gyiophis salweenensis (ヘビの一種)
学名:Schizostachyum cambodianum (タケの一種)
学名:Ophryophryne elfina (カエルの一種)
学名:Hoolock tianxing  (テナガザルの一種)
学名:Thismia nigricoronata (植物の一種)
学名:Dixonius kaweesaki (ヤモリの一種)

■関連情報:
・報告書「New Species on the Block」(英語)
http://greatermekong.panda.org/discovering_the_greater_mekong/species/new_species/new_species_on_the_block/

・メコン川流域で115種の新発見!(2017年)
https://www.wwf.or.jp/activities/activity/163.html

持続可能な天然ゴムの生産と利用 
https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/378.html

配信元企業:WWFジャパン

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