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 人体は神経と細胞と生物学的プロセスの宇宙である。その宇宙にはいくつもの不思議が織り込まれている。

 最近でも、にすばらしい発見が医学の世界でなされている。生きている人間が今でも進化を続けていることすら確認された。

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10. 立ちくらみにまつわるミステリーがついに解明

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References:Humans Should Faint Every Time We Stand Up, And Scientists Are Only Now Figuring Out What Saves Us

 人が立ち上がろうとすると、血圧が急激に低下する。 

 この血圧の変化は非常に大きく、椅子から立とうとするたびに失神してしまってもおかしくないほどだ。

 だが、正体不明のメカニズムによりそうはならない。

 そして2018年、ついに失神を防ぐメカニズムは圧受容器であることが判明した。 米スクリプス研究所によると、「PIEZ01」と「PIEZ02」というタンパク質が関わっているらしい。

 これらは血圧を感知しており、後者が低くなりすぎると、圧受容器反射が生じる。すると心臓の鼓動が速まり、脳に血圧が送られ、血圧の低下を補おうとするのである。

9. 人が認識できる顔は5000個

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References:The Average Person Can Recognize 5,000 Faces | Smart News | Smithsonian

 2つの大学に通う18歳から61歳の学生の顔を集め、それを学生に見せるという実験が行われた。

 その目的は、人が「この人知っている!」と言うことができる顔の数がどのくらいか、はっきりと突き止めることだ。

 顔を見て知っていると思えば、知り合いでなくても、知っている顔としてカウントする。

 この実験にくわえ、有名人の3441枚の写真を使って同じような実験が行われ、両方の結果を組み合わせて算出された答えは、人は平均5000人の顔を覚えられるというものだった。

 なお、この実験は記憶ベースのものとは違う。記憶テストで行われるような、まったく知らないランダムな顔は含まれていない。

8. 血の涙

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References:This Italian Man Started Crying Blood Tears, Making an Incredibly Rare Medical Case

 最近、あるイタリア人が、目から血が流れるという恐ろしい経験をして、病院に駆け込むという事件があった。

 その52歳の人物によれば、2時間前から血の涙が止まらなくなった。泣いているわけではない。ただ赤い物質が前触れもなく流れ出し、痛みもなかったという。

 これは「ヘモラクリア」という珍しい症状で、検査の結果からは外傷も目の異常も確認されなかった。

 だが、ようやくのことで目を覆う結膜に炎症があることが判明。

 そこに過剰な血液が流れ込んでおり、さらにまぶたの下に良性腫瘍があったのと相まって、ヘモラクリアが起きていることが分かった。

 患者には目薬が処方され、さらに腫瘍も摘出すると、症状は治まったそうだ。

7. 更新世の奇形

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References:Anthropologist finds high number of developmental anomalies in Pleistocene people Credit: Erik Trinkaus

 2018年、人類学者エリックトリンカウスは、中東とユーラシアで集められた更新世(260万から1万1700年前)の人類の化石66体を調査していて、奇妙な発見をした。

 それらには計75点の発達異常があったのだ。

 弓状に湾曲した手足、歪んだ顎や頭蓋骨など、奇形が異常なまでに高い割合で見つかった。

 ほとんどにははっきりとした原因は見当たらなかったが、一部は血液疾患や水頭症が原因だった。

 また、おそらくは近親交配によるものもあった。近親交配は小グループで生きる狩猟採集民ではよくあることだ。

 現代では同じような異常は1パーセント未満にしか発生しないため、更新世の人類にはかなり奇形が多かったらしいことが窺える。

 あるいは、奇形のある人が健常者とは別に埋葬されていたという可能性も考えられる。

6. 腸は食べ物を食べた場所を憶えている

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References:Your Gut Remembers Where You Had a Good Meal

 腸は単なる食べ物の通路などではなく、脳とつながっている。両者をつなぐ迷走神経は、人体内でも最長の神経である。

 腸はこれを介してシグナルを送り、食べる量や満腹感を制御している。

 2018年マウスを使った実験では、さらに別の機能まで明らかになった。腸はどこに食べ物があるかといった脳の記憶形成を助けているようなのだ。

 神経のコミュニケーションラットが何かを食べたときにしか活性化しないということは、これがエサにありつけた場所の記憶を助けるために存在している可能性を示唆している。

 このことを確かめるために、研究チームラットの迷走神経の半分を切断してみた。すると、そのラットは実際に食べた場所を憶えていられなくなった。

 しかも、それ以前はちゃんと場所を憶えていたラットですら、その場所が分からなくなってしまった。

 だが、それ以外の事柄については普通に憶えていられるため、あくまで環境中の自分の居場所のみの話である。

・腸の声を聞け。感情や気分、対人コミュニケーションまで腸が関与している可能性(米研究) : カラパイア

5. 左脳だけ残った少年

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References:Part of This Boy's Brain Was Removed. The Rest of His Brain Made Sure He Wouldn't Notice.

 UDという少年の珍しい症例がある。

 当時7歳のその少年はひどいてんかんの発作に悩んでおり、最後の手段として右脳の3分の1を切除するという、非常に大胆な治療を受けることになった。切除された範囲には、視覚と聴覚に関連する部位も含まれていた。

 今、11歳になったUDのてんかんは治った。また通常通りに発育し、読む能力については平均よりも高い。

 両目とも見えるが、じつは左目からの情報は脳に入力されていない。左目から入った情報は、UDにはない右脳によって処理されるのが普通だからだ。

 通常、右脳と左脳はそれぞれ別の視覚情報を扱うのだが、UDの脳をMRIスキャンしたところ、右脳の顔認証機能が左脳の、言葉を検出する機能を担う部分で確認された。

 二つの機能はきちんと作動しているため、UDは自分の左目が情報を得ていないとは気づいていないようだった。つまり脳が二重に機能しているわけである。

 脳が本来の機能を損なわずに、どのようにして余分な仕事を引き受けているのか専門家にも分かっていない。

4. 生きたオーラ

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References:Your Personal Bubble Isn't Empty Space, It's Actually Teeming with Tiny Guests

 人体から放たれる”オーラ”の研究がある。オカルトや冗談ではなく、それは「エクスポソーム(exposome)」と呼ばれている。

 その研究では、被験者に1週間~2年の期間、腕に空気モニタリングを取り付けて過ごしてもらう。

 期間が終了し、空気モニタリングの箱の中を見てみると、オーラが架空のものではないことが分かる。箱の中は小さな動物、菌類、微生物、化学物質といった微細なものでいっぱいになるのだ。

 このエクスポソームの生態系は人によってそれぞれであるらしいが、周囲の環境によって左右される。たとえば、ペットや場所、あるいは季節といったものは何でもそこに痕跡を残す。

 そうした微生物や菌類のDNAを解析したところ、オーラの中には2500もの種が発見された。

 困ったことに、病原菌やジエチレン・グリコールのような発ガン性物質をまとっている悪いヤツもいる。

3. ボイスパーカッションの独自性


References:Watching People Beatbox in an MRI Machine Will Blow Your Mind

 声道と口だけで打楽器のような音を出す技術をボイスパーカッションという。この仕組みを、生身の人体で調べた2018年の研究がある。

 研究者は、性別、年齢、腕前など、さまざまな背景を持つボイスパーカッショニストを集め、MRIの中でテクニックを披露してもらいながら、その間の顎、唇、舌、喉頭などの動きを撮影した。

 そして驚愕の事実が明らかになった。

 人が言葉を話すとき、口、鼻、喉のパーツが使われるが、ボイスパーカッションではそれらを言葉を話すときとはまったく違う使い方をしていたのだ。

 要するに、それはまったく独自の音がちりばめられた新しい言語だったのだ。

 ボイスパーカッションに既存の言語や音声以外の音は使われていないという仮説もあったが、それは木っ端微塵に砕かれた。

2. スペシャルな脾臓(ひぞう)を持つ部族


References:Indonesian divers have evolved bigger spleens to hunt underwater | Science | AAAS

 インドネシアのバジャウ族は1000年以上もの間、船とともに暮らしてきた。

 食べ物やサンゴを求めて水中で暮らす彼らの生活を見て、それが遺伝子に変化をもたらしていないだろうかと疑問に思った学者がいた。

 そう意外なことではない。チベット、南アメリカエチオピアといった高所で暮らす人々は、一般に低酸素環境に遺伝的に順応している。

 それでも、研究者は新発見があるだろうとは思わなかった。1000年という期間は、進化するには短すぎるし、バジャウ族は高所に暮らしているわけでもない。

 だが、バジャウの村で59人、近隣の村で34人の脾臓(循環器系内に組み込まれた臓器)を測定した結果、バジャウ族は脾臓が50パーセント大きいことが判明した。

 人が水の中に潜ると、脾臓は縮んで、中にある酸素が豊富な赤血球を人体に供給しようとする。バジャウの脾臓はこれに有利なようになっているのだ。

 DNA検査では、バジャウ族は25の遺伝子が異なっていることが判明。その1つは、マウスの脾臓の大きさに関係することで知られている「PDE10A」だ。

 これは現生の人類で自然選択が起きているという強力な証拠である。

1. ガンを破壊するキルコードの発見

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References:Cancer's most deadly assassin exists in every cell | EurekAlert! Science News

 ガンとの戦いには大きな前進があった。ガンを一掃できるかもしれない「キルコード」が発見されたのだ。

 皮肉にも、ガン治療の可能性は、人体のあらゆる細胞の中にあった。

 2017年、特定のリボ核酸(RNA)がガン細胞を死滅させる仕組みの存在が明らかになった。しかもガン細胞はRNAに抵抗力を持つことができないようだった。

 このRNAがガン細胞を自滅させる仕組みはミステリーとなった。

 2018年、ついにその謎が明かされた――RNAには有毒な遺伝子コードがあったのだ。

 細胞が突然変異し、ガン細胞になった瞬間、そのコードが細胞に特定の遺伝子(ガン細胞の成長を促すもの)を破壊するように命令する。

 こうして遺伝子をハッキングし、ガン細胞を殺してしまうのである。

 驚いたことに、このメカニズムは偶然ではない。それは8億年前におそらくガンと闘うために進化した可能性が濃厚だ。

 現在、研究者は、そのガン破壊コードをさらに強化したものを作成し、直接ガン細胞に注入する方法の開発を進めている。

written by hiroching / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52268561.html
 

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