米倉涼子演じる弁護士資格を剥奪された元弁護士・小鳥遊翔子が、ワケあり弱小弁護士たちをスカウトし、大手法律事務所を相手に勝利(Victory)を懸けた戦いを挑む次世代リーガルドラマ「リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~」(毎週木曜夜9:00-9:54、テレビ朝日系※最終回は夜9:00-10:14)。

【写真を見る】翔子(米倉涼子)が弁護士資格を剥奪された理由とは?

12月13日(木)に同ドラマは最終回を迎えるが、リレー連載もこれが最終回となる。 

第10回は、制作スタッフから内山聖子エグゼクティブプロデューサーと、大江達樹プロデューサーが制作秘話などを披露。

内山EPからは「リーガルV」と主人公・翔子に込められた思いなどを、大江Pからは最終話の見どころなどを聞いた。

■ 「リーガルV」は“視聴者が見たい米倉涼子”をテーマに制作しました(内山EP)

――今回どのように「リーガルV」を作り上げて来られましたか? 作品の軸となる部分をお教えください。

内山EP:ご存知の通り、約1年に1回は米倉涼子さんとテレビ朝日でドラマをやらせていただいています。

米倉さんには今までいろんな役を演じていただきました。つい最近は“失敗しないお医者さん”が長かったので、「リーガルV」は“視聴者が見たい米倉涼子”をテーマにしています。彼女の新しい女優人生に挑戦してもらいたいなという思いで、無理に変えようとはせず新しいことを意識した、というのが一番の軸です。

また、「黒革の手帖」(2004年ほか、テレビ朝日系)のように、孤高のヒロインで一人突っ張っていくという役が多かったので、今回は弁護士として人を助けたり、助けられたり、「仲がいい!」というよりは、信頼し合う仲間のようなものを作っていく話を目指していきたいなと思っていました。

――今作は、米倉さんとも相談されて作り上げた作品だと伺いました。

内山EP:そうですね。「ドクターX―」(2012~2017年、テレビ朝日系)の大門未知子は、キューバに行ってしばらく遊んでいるということなので(笑)。

「未知子がいなかったら、米倉さんはどういう人間を生きたいか」という話から、「年をとるにつれて、どういう人でありたいか」「人に対してどうありたいか」というようなことを話し合いましたね。

新しい役は、「自由で何でもかんでも自分でやる!」という人物じゃない方がいいなと言っていました。

――「ドクターX」の未知子と比べると翔子はどんな人物ですか?

内山EP:編集後、作品が仕上がってみると「未知子と違うな」「未知子の方が子供っぽいな」と感じました。

翔子は無茶苦茶なことも言うんです。未知子より人間的にはひどいことも言うし、パワハラまがいなことも言うけど、翔子の方が人間的にはちゃんと人のことを考えられるという感じがしました。

未知子の場合は、人というより、患者のことしか考えていないので、人間性としてはかなり破綻しています。

翔子は、どんな事件でも、本当の被害者を一生懸命探そうとしていて、この事件のただの被害者ではなく、その奥の奥にある“本当の被害者”を探そうとしているんです。

人間的に「こんな友達がいてくれたらいいな」と視聴者の方にも思ってもらえるようになっています。

■ 未知子と翔子の共通点は“強さ”

――逆に未知子から翔子へ引き継いでいる部分はありますか?

内山EP:やっぱり「強さ」と「言い訳をしない」ところ。

なかなか私たちは実生活でできないけど、「こういう人が会社の中にいたらいいな」とか、「上司にいたらいいな」とか、「周りにいたらいいな」と思うような、人として自分でちゃんと片を付けるという部分。

そういう“強い”部分は、「どこが違うの?」と思うくらいに未知子から引き継いでいるかもしれません。

――世の中の人の「こういう人がいたらいいな」という像を、翔子を通じてメッセージを発信しているイメージでしょうか?

内山EP:劇中で「人生には踏ん張らなきゃいけないときがある」「白旗をあげちゃいけないときがある」というせりふがあります。翔子みたいな人がいてくれたら、「あそこで諦めないで逃げないで済んだのにな」って思うことがあるから、そういう思いは託して作っていますね。

――逆に翔子には弱い部分もありますか?

内山EP:強い分、人に誤解されやすいという弱点もあると思います。米倉さんは、本当はすごく気が弱くて、繊細な人なんですけど、ぱっと見たときに「怖い」って思われることが多い、と自分でもおっしゃっています。

――翔子は米倉さん自身ともリンクしているのですね。

内山EP:そうですね。スタッフも彼女と会うと緊張するから。本当のとこはそんなことないんですけど。弱点とはまた違うかもしれないですね。

――「だって私、弁護士資格ないんだもん」という翔子のせりふは、どこから生まれたのですか?

内山EP:決めぜりふでもないんですけどね(笑)。資格がないからといって、困っている人がいたら自分の力を使って助けたいって思う当たり前の感情と、一方で「私にはできないから助けてほしい」という両方の側面がこの言葉にはあります。

強いところと弱いところを両方持っているワードのつもりで使っているんです。これだけ読むと開き直っているように見えますけど(笑)。

――二面性がある言葉になっているんですね。

内山EP:すごくいい言葉だと思っています。翔子の特徴として、資格がないから弁護士として法廷に立てないという、彼女の弁護士としてのハンディキャップを言った上で、それでも「自分なりにできることを考えるよ」という思いがこもっています。

――内山EPにとって、翔子という女性を一言で表すと?

内山EP:「こんな友達がいたらよかったな」だと思います。未知子の時は、「こんな医者がいたらいいな」って本当に思って作っていたんですが、翔子のような友達がいたら振り回されるだろうし、喧嘩にもよくなるだろうけど、根っこで人を思っているから、こういう人と友達になりたいなと思いますね。

今の時代、なかなか人間関係希薄じゃないですか。本当に困ったときに、親とか友達とかでもなく、この人だったらいいアドバイスくれるかもしれないっていう人ってそんなにたくさん会えないし、そういう人がいたらいいなと。とにかくうちに帰って引き出しに入っていたらいいなって思う人(笑)。

■ キャストの皆さんに準備稿を渡したとき「え!?」と驚かれたくらい圧巻の法廷バトルは必見です(大江P)

――最終回はどのようなストーリーになっていくのでしょうか?

大江P:翔子がなぜ資格を剥奪されたのか、その裏に潜んでいる陰謀の真相を解き明かしていく大きな展開のある回であり、翔子が追われたFelix & Temma法律事務所、弁護士会会長の天馬(小日向文世)との最終決戦です。

キャストの皆さんに準備稿を渡したとき「え!?」と驚かれたくらい、今までになかった圧巻の法廷バトルが展開されます。

天馬を訴えた翔子が法廷に立てる場面ですので、彼女が弁護士時代に培った知識、追い詰め方、弁護士だったころのすごさが初めて見られます。

――新作の撮影現場で米倉さんを近くで見られていて、感じることはありましたか?

大江P:米倉さんが自分からちょっと違うものをやりたいと立ち上がった企画の中で、第1回の反響を聞くまでは、「自分から言い出しておいて散々な結果になってしまったらどうしよう」というプレッシャーは誰よりも感じていたと思います。

また、新しいキャスト、スタッフを集めての座長としての立場もプレッシャーだったと思います。

ドクターX」のスタッフも多いですが、新しいメンバーとやるというのは、ものすごく刺激があることでした。翔子というキャラクターを作りあげていく中での、本人なりの悩みとか、未知子と違ったキャラクターをどういうふうに作ったら良いか、監督とかプロデューサーとも相談しながらと、最初のころは本人なりに模索しているなとヒシヒシと感じました。

そして、第5話くらいで役が板についてきて、つかめてきたのかなと、見ていて感じましたね。新作という緊張感とかも含めて本人が望んでいたものなのかなという気もしました。

――視聴者から受け入れられている、要因は何だと思いますか?

大江P:孤高の大門未知子から、チームの監督のような立場で自分は口で指示だけして高みの見物をしてるような小鳥遊翔子へ、何でも自分でやってしまう人から、何もやらないキャラクターに大きく変わりました。

視聴者が米倉さんに求めている破天荒なキャラクター性もカバーしつつ、新しく違った破天荒さを表現でき、視聴者が望んでいた米倉さんがちゃんとそこにあったのかなと思います。

最終話あらすじ

小鳥遊翔子(米倉)がかつて弁護した受刑者・守屋至(寛一郎)は、NPO法人「貧困を救う会」の代表・大峰聡(速水もこみち)に脅され、殺人の罪に手を染めていた。

ようやくあぶり出されたその真実を法廷で明らかにするため、翔子は度肝を抜く手段を思いつく。なんと、翔子自身が原告となり、大峰と“ある濃密な裏関係”が疑われる「Felix & Temma 法律事務所」の代表弁護士・天馬壮一郎(小日向)を提訴。

至を弁護していた1年前に弁護士資格を剥奪されたことに関して、弁護士会会長でもある天馬に、たった1円の損害賠償を求める民事訴訟を起こしたのだ。

翔子に残された切り札は、至から託された”謎の鍵”のみ。至が殺害した被害者が所持していたというその鍵は、わざと鍵番号も削り取られており、どこのものかも分からない代物だ。翔子率いる「京極法律事務所」は一縷の望みをかけて、鍵の調査を開始。同時に、翔子が弁護士資格を剥奪される直接原因となった“暴力団への金銭授与行為”が、仕組まれた罠だったことを証明すべく、方々を嗅ぎ回る。

ところがその矢先、「京極法律事務所」は思わぬ窮地に立たされる。代表弁護士・京極雅彦(高橋英樹)とパラリーガル・伊藤理恵(安達祐実)が逮捕された上に、パラリーガルの馬場雄一(荒川良々)と茅野明(三浦翔平)が暴力団に襲われて病院送りの身となってしまったのだ。

途方に暮れる翔子と、弁護士の青島圭太(林遣都)、大鷹高志(勝村政信)。そんな中、天馬が裏で手を回したに違いないとにらんだ翔子は単身、「Felix & Temma 法律事務所」へと乗り込む。

ところが、その行く手に元恋人のエリート弁護士・海崎勇人(向井理)が立ちはだかり…!?

背水の陣に追い込まれる元弁護士・小鳥遊翔子と弱小法律事務所。果たして、彼らに勝利の女神は微笑んでくれるのか…!? 正義を賭けた“最後の裁判”がついに幕を開ける。(ザテレビジョン

「リーガルV」最終回を前に内山聖子EP&大江達樹Pが今作を語り尽くす!