「自覚のある年下の選手は、智之しかいないんです実際。そういう後輩がもっともっと出てきてくれないと、ジャイアンツは強くならない」。「昨日この辺と初めてご飯行ったけど、全然しゃべらない」。「何しに自主トレ来たの?メシの時とかに聞けないと何も聞けないじゃん」。

 今年1月の『Going!Sports&News』(日本テレビ系)で放送された食事会の最中に、このような言葉を口にしたのは巨人・坂本勇人。同席した6選手の内、菅野智之を除く若手5選手に対し厳しい言葉を投げかけた。

 11年ぶりのBクラスに沈んだ2017年は、同番組の坂本によると、「野手だけで見れば、(僕より若い選手が)誰も出てきてない」シーズンだったという。こうした状況を危惧した29歳のキャプテンは、早くから来シーズンへ向け若手の奮起を促していた。

 しかし、迎えた2018年シーズン、チームは3位で2年連続のBクラスこそ回避したものの、1位広島とは「13.5」ゲーム差。また、ゲキを飛ばした坂本も、契約更改後の記者会見で「(丸は)個人的にも刺激される、“数少ない”年下の選手」、「(チームの若手が)出てきたなんて思ってない。ウカウカしていたら抜かれるなと思うくらいやってほしい」といった旨をコメントしている。冒頭の言葉を借りると、今シーズンは“そういう後輩”があまり出てこなかったということだろう。

 岡本和真吉川尚輝田中俊太といった選手が爪あとを残した一方、坂本を含め阿部慎之助亀井善行長野久義といった中堅・ベテランもしばしばスタメンに名を連ねていた今シーズン。来シーズンの覇権奪回、そして、その後の中長期的な強さを構築するためには、こうした実力者たちを“過去の人”とする活きのいい若手の存在は必要不可欠だ。

 かつて“球界の盟主”と呼ばれた巨人は、リーグ優勝からは5年、日本一からは6年遠ざかっている。この状況を打開するためには、チームを憂うキャプテンの苦言に、どれだけの若手が呼応することができるかが大きなカギとなるだろう。

文 / 柴田雅人

坂本勇人