「恩恵を受けているのは大企業や一部だけ」という声が多いようです。

内閣府の景気動向指数研究会は12月13日、2012年12月から始まる景気回復が、2017年9月時点で「いざなぎ景気」を超えたと正式に認定した。戦後2番目の長さとなる。

いざなぎ景気とは、行動経済成長期の1965年11月から1970年7月までの57か月間続いた好景気のこと。2017年9月には茂木敏充経済財政・再生相が「いざなぎ景気を超えた可能性が高い」と言及していたものの、正式な認定は今回が初めてだ。

文字通り景気の良い話のはずだが、好景気を実感している人は少ない。ネットでは「嘘でしょ」「数字のからくりなだけでは」など厳しい声が溢れている。

「全く給料上がらない」「いつどこで景気回復したのか」「好景気と言われると疑問」


それもそのはずだ。今回「いざなぎ超え」と認定されたのは景気拡大の長さであって、成長率ではないからだ。

いざなぎ景気時の実質成長率は平均11.5%だった。マイカー、カラーテレビ、クーラーの「3C」が急激に普及し、GNPがアメリカに次いで世界2位になったのもこの頃だ。しかし、内閣府が今年4月に出した資料によれば、2012年12月から今年4月にかけての実質成長率は1.5%と低い。

人口増加によるボーナスタイムだった高度経済成長期と現代の成長をどう比べるかという難しさはあるが、少なくともかつてのいざなぎ景気時のように、国民生活が底上げされるような変化は見られない。ツイッターでも、

「確かに景気は悪くない。不景気時代のどうしようもない感じでは、少なくともなくなった。だが、これが好景気かと言われると頭をかしげる
「全く給料上がらない。税金ばっかり上がってるから実際はマイナス」
「景気が良いなら、増税する必要ないし、高齢低所得者の医療費補助も廃止する理由が無いよな」
「いつどこで景気が回復したのか」

といった声が多く出ている。

政治家からも疑問の声が挙がっていた。前参議院議員の金子洋一氏はツイッターで、

「かつて経企庁でこの作業を担当したものとしてまったく賛成できない。消費増税後にGDPの5割強を占める家計の消費が大幅に下落したことを無視することはナンセンス。指標自体の見直しが必要だ」

と呟いていた。来年1月まで景気回復が続いた場合、戦後最長の74か月間の好景気になる見込みだ。10月には消費税が10%になり、景気の冷え込みが予想される。国民が景気の良さを実感できるのはいつになるのだろうか。