「人生100年時代」といったテーマで、マスコミが高齢化を取りあげ、世間も関心を持つようになりました。
高齢単身者の住まいについても注目が集まっています。
住宅を所有したほうがよいか、賃貸のほうがよいか論議がすでに行われていますが、今回は、高齢になったときに持ち家の方がよいケースについて考えます。
“セリア”のアイテムだけでOK!ガスコンロ「グリル排気口」は掃除しなくていい!?1. 今、高齢単身者の住宅事情は?
総務省統計局・平成25年住宅土地調査によると、高齢者(65歳以上)がいる世帯のうち、高齢単身世帯は26.5%。
さらに、高齢単身世帯のうち、33.9%は賃貸住宅に居住しています。
1-1高齢単身者の賃貸需要と供給はアンバランス
今後、賃貸住宅の需要の多くを支える単独世帯が増加傾向にあります。
国立社会保障・人口問題研究所による予測では、2035年の単独世帯(一人暮らしの人)の数は、2015年を100とすると、愛知では110.9、大阪では103.9、東京では103.6、福岡では100.3です。
このことから、単独世帯における高齢者構成比は増加し、高齢単身世帯の賃貸需要も増えるといえます。
1-2 大家さんは住宅を貸したがらない
高齢単身世帯の賃貸需要が増えてもそれに伴う供給がうまくいかないのが現状です。
大家さんは次のことを懸念し、高齢単身者に住居を貸し渋っています。
- 年金収入のみで家賃が払えないのではないか
- 身内が高齢者ばかりで、連帯保証人がいない
- 室内で孤独死する可能性が、若者よりも高い
- ごみ置き場まで歩くのが億劫で、部屋や共用部に溜め込み不衛生になる
これらの理由から、高齢者に住宅を貸したがっていない大家さんが多く、高齢単身者の賃貸住宅の需要と供給のバランスは崩れているのです。
2.高齢単身者で持ち家を所有するメリットは?
住宅を所有する高齢単身者のメリットと、さらにお得に住む方法を考えてみましょう。
2-1 寿命が長くなると、持ち家の方が安く済む
35歳で4,000万円の家を30年ローン、金利1%、頭金、ボーナス返済なしで買ったとします。
月の返済は129,000円で65歳には完済します。固定資産税などを考慮しない、純粋な家賃返済の返済金額は4,644万円です。
一方、35歳から65歳まで月10万円の賃貸に住み、65歳から90歳まで8万円の賃貸に住んだとします。
更新料や初期費用を考慮しない、家賃のみの合計金額は6,000万円です。
長生きすればするほど、賃貸は費用が掛かります。持ち家は、支払いが終われば自分の資産になり、売却することもできます。
売却の際は「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除の特例」が適用になりますので節税も可能です。
2-2 住み替えのリスクがない
高齢になると、バリアフリーに変更するなど、改修することも考えられます。
賃貸の場合は、基本的に入居者都合での大掛かりな工事は認められないので、使い勝手が悪くなったら、住み替えしなくてはなりません。
しかし、1-2で述べたような理由で、次の住まいが見つからない可能性があります。
持ち家の場合は、自分の家なので、工事は自由です。
マンションの場合も、規約による制約はありますが、賃借よりも自由度が高くなります。
住宅ローンの審査に通り、支払いさえすれば、無収入でも住み続けることができます。
2-3 メリットを多くするためのポイントは
メリットを享受するためには、物件選びの際に次のことが必要です。
- 都心でアクセスの良いところ、駅から近い物件を選ぶ
- 大規模マンションのほうが共用部分のグレードが高く、資産価値が上がる可能性がある
- タワーマンションの上層階は下層階と評価額は同じでも、資産性は高くなる
これらの条件を満たす物件なら、資産価値が上がり、売却や相続の際に有利となります。
3.住宅を買うべきでない場合はこんなケース
以上のように高齢単身者が家を持つメリットはたくさんありますが、下記のような人は、住宅購入のメリットが少なくなる可能性があります。
該当する人は、デメリットを理解したうえで購入するかどうか判断すべきです。
3-1 住宅ローンの返済が65歳以上まである
多くの人が65歳以上になると給与が減る、仕事に就かないなどの理由で、それまでに比べ、年収が目減りします。
今までと同じ金額の住宅ローンを支払うことは、家計の負担になります。
そのために、住宅ローンが65歳までに返済できる計画が難しい人は、住宅購入を再検討すべきです。
3-2 自宅用に50平方メートル以下の物件を検討している
住宅ローン控除を受ける際、「延床面積、または専有面積が50平米以上」という要件があります。
単身用のマンションを買う場合、この要件に引っかかり、控除を受けられない物件が意外に多くあるので注意が必要です。
面積は登記事項証明書に記載されている広さで判断します。
50平米未満ですと、登録免許税などのほか税制でも要件から外れるものがいくつかあります。購入するなら50平米以上の物件をおすすめします。
3-3 住宅ローンを利用予定だが勤務年数が短い
勤務年数が短い人は、審査で落とされる場合があります。
また、希望融資額よりも少ない額しか融資されない場合もあります。
結婚している人ならペアローンなどで融資を増額できますが、単身の人は、自分の所得のみで判断してもらうため、融資増額の可能性は少なくなってしまいます。
現金で補てんする方法もありますが、無計画に現金を充てるのは危険です。
あと数年、賃貸や実家に住んでから購入することも視野に入れ、もう一度考えましょう。
4.まとめ
寿命が延びるということは、その分、住まいにかかる費用も増えることを意味します。
費用面から考えて、若いときから持ち家に住む方が安価な場合も出てきます。
高齢になったときの資金返済計画やリフォーム計画を考えて、自分に合っている住まいはどちらか、もう一度考えてみましょう。
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