瀧沢完治(佐々木蔵之介)は若葉銀行への復職を打診され、不倫相手である目黒栞(黒木瞳)は糖尿病が発覚。

完治の妻・真璃子(中山美穂)は娘の元婚約者・日野春輝(藤井流星)と熱烈なキス。

そして春輝の母親は重病で余命わずか……。なかなかメチャクチャなことになってきている。

妻が出ていったのに「月が綺麗ですね」なんてメールしてる場合か
一緒に山へ行く約束をしていた栞が突然姿を消した。かと思えば、妻の真璃子も家を出ていくことに。

「どういうことだ!?」と困惑の表情を浮かべる完治だったが、

「あなたには好きな人がいる」

とズバッと言われてぐうの音も出ない状態に。

「つまらなくなっちゃったの。私にも違う生き方、考えられないかなって」

唯一の友達は翻訳家としてバリバリ活躍しているのに、自分はずーっと主婦をやっていて、家でパンばっかり焼いている生活。

完治への気持ちが離れたというよりは、自分の人生がつまらなく感じてしまった、というのがリアルな気持ちなのだろう。

そこに突然訪れた若いイケメンとのアバンチュール! 流されるがままズッポシはまってしまうのも仕方ない。

一方、真璃子に出て行かれた後の完治は、ちょっとは不倫を反省したり、真璃子の心配をしたりするのかなと思いきや、考えるのは栞のことばかり。「月が綺麗ですね」なんてメール送ってる場合じゃないよ。夏目漱石か、お前は。

居酒屋で、銀行時代の同僚・井上英樹(平山祐介)とサシ飲みした際も、

「実は、女房は家を出ていった。オレが悪いんだ。(「女か?」と問われ)お恥ずかしい。ウフフフフフ」

なんて不倫を武勇伝か何かのようにニヤニヤ語っていた。さすがに真璃子がかわいそうだ。

銀行員として仕事一筋で生きてきた人生に、突然起こった色恋沙汰で浮かれっぱなしなのか。

脇役がみんなゲームキャラっぽい
後日、再び居酒屋を訪れると、若葉銀行で持ち上がった不正融資疑惑の主導者として、テレビに井上が映っていた。

このドラマ、話がポンポン急展開していくので見ていて飽きない反面、どうも展開が昔のアドベンチャー・ゲームっぽくて、薄っぺらく感じてしまう。

井上を居酒屋の大将に紹介しておくとフラグが立って、次に居酒屋を訪れた時に「(テレビに映っているのは)この前、一緒に来た男じゃないか?」という情報をくれる……みたいな。

しかし、顔にモザイクがかかった状態で、よく一回来ただけの客を見抜けたな、大将。

家を出て、友達の家にもいられなくなった真璃子が街をさまよっていたら、バッタリ春輝と遭遇しちゃうというのもゲームっぽい。

「すごい偶然ね」って。登場人物に言わせれば、とんでもないご都合主義が許されるってもんじゃないぞ。

これまでも、新規事業のヒントをくれるキャラ、「あなたと別れたいって言ってる」という情報をくれるキャラ……などなど、このドラマにはチョロッと一言伝えるためだけに出てくるキャラクターが多かった。

主要人物である3組の不倫カップル以外のキャラが、ストーリーを都合よく展開させるための歯車に見えて、どうも薄っぺらく感じてしまう。

春輝の母親も、なかなかのストーリー展開キャラだ。

真璃子と春輝が手をつないでいるところを見てバターンと倒れる→病院に入院させた帰りに真璃子と春輝はキス。

行き場がなくなっている真璃子に「私にいよいよの時が来るまでこの家のことをお願い出来るかしら?」と依頼→真璃子、住み込み(?)で日野家に入り込むことに成功!

真璃子と春輝が手をつないでいただけであんなにショックを受けていたのに、自宅にお手伝いとして居座らせるのはオッケーなのか!?

こうなると、

「春輝の赤ちゃんの顔を見るまで生きているつもりだったけど、もう諦めたわ」

という発言も何かのフラグに感じてしまう。まさか、真璃子が春輝の子どもを妊娠するなんて展開が……!?

瀧沢夫妻、周りを不幸にしすぎ
完治は若葉銀行に復職し、不正融資の内部調査委員会のトップに就任することに。

井上が関わっていたとされる不正融資疑惑は、不動産会社と組んで家賃保証をちらつかせつつ、本来だったら融資を受けられないような人にまで金を貸して、シェアハウス(アパート?)経営をさせるというもの。

例の「かぼちゃの馬車」事件をモチーフにしているのだろう。

若葉銀行ってメガバンクっぽい雰囲気を出していたのに、「サガミ銀行」的なポジションだったのか!?

とにかく、銀行の上層部は「井上の独断でやったこと」と、トカゲの尻尾切りをしようとしており、完治は真相を突き止めるために調査を進めようとする。

しかしそんな折に、井上が飛び降り自殺をしてしまう。生きているのか死んでいるのか……。

行方が分からなくなっていた栞も、「(糖尿病網膜症は)治療しない限り進行していく病気です」と言われていたにもかかわらず、なぜか港町に逃避して仕事をしていたせいで、視界が狭くなってきているようだ。

なんで病院いかないの!? 治療しようよ!

自殺者、病人、病人と周囲に不幸を振りまいている瀧沢夫妻。

そういえば、瀧沢家の娘・美咲(石川恋)に夫を奪われた、教授の奥さんもだいぶ不幸にされている。

「4人で幸せに」なんて結末はないだろうな!?
さて、いよいよ最終回。

瀧沢夫妻が関係を修復するのか、それともそれぞれの不倫相手との恋愛に突っ走っちゃうのか?

完治はもともと、本仮屋ユイカ演じるエロい秘書がガンガンにアピールしてきても「銀行員に不倫は御法度」ということでキッパリ断り続けてきた男。

銀行から出向に出されることが決まって、ヤケクソになって(なぜか)行ったスイスで栞と出会い、不倫にズッポシはまってしまったのだ。

しかし若葉銀行に復職して、さらなる出世を狙える立場となった今となっては、もはや邪魔な存在とも言えるだろう。

それでも、栞の病気の件を知って「一緒にいてあげなくては!」みたいな展開になるのだろうか?

一方の真璃子&春輝のカップルも母親の手前、このまま結ばれるとも思えないし……。

「だったら4人仲良く暮らそう!」みたいな結末だったら笑うぞ。
(イラストと文/北村ヂン

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『黄昏流星群〜人生折り返し、恋をした〜』(フジテレビ)
原作:弘兼憲史『黄昏流星群』(小学館刊)
脚本:浅野妙子
演出:平野眞、林徹、森脇智延
主題歌:平井堅half on me」(アリオラジャパン
音楽:得田真裕
チーフプロデューサー:高田雄貴 (フジテレビ)
製作著作:フジテレビ

イラストと文/北村ヂン