▽優勝候補バルセロナとプレミアとセリエAの強豪トッテナムインテルオランダ王者PSVが同居する今回のグループステージ屈指の激戦区となったグループB。その“死の組”を突破したのは、本命バルセロナと奇跡のカムバックを見せたトッテナムの2チームとなった。

グループB順位表■
[勝ち点/勝/引/負/得失点]
1.バルセロナ[14/4/2/0/9]
2.トッテナム[8/2/2/2/-1]
3.インテル[8/2/2/2/-1]
4.PSV[2/0/2/4/-7]

メッシ躍動で貫録の首位通過~バルセロナ

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▽昨季グループステージでレアル・マドリーを圧倒したトッテナム、久々のCL復帰ながら戦力充実のインテル相手に苦戦も予想されたバルセロナだったが、4勝2分けの無敗で格の違いを見せつける首位通過となった。クラブOBのファン・ボメル監督率いるPSVとの初戦をエースFWメッシハットトリックの活躍で大勝スタートすると、聖地ウェンブリーでのトッテナム戦もそのエースの圧巻の活躍で4-2の勝利。第3節のインテル戦はそのエースを負傷で欠くも、新加入MFアルトゥールら自慢の中盤の構成力を武器にエース不在を感じさせぬ快勝を見せた。

▽引き続きエース不在となったインテルとのリターンマッチで今大会初のドローも2節を残して決勝トーナメント進出を果たすと、第5節のPSV戦では復帰したエースの全ゴールに絡む活躍で首位通過も決定。最終節のトッテナム戦では主力温存で圧倒されるも1-1のドローで終え、CLでのホーム無敗記録を「29」に更新。決勝トーナメント1回戦では史上最長となる30試合無敗を目指す。

◆序盤3戦未勝利から奇跡のカムバック~トッテナム
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レアル・マドリードルトムントと同居した昨季と同様に厳しい組み分けを強いられた中、今夏の新戦力補強ゼロに終わったチームはロシアワールドカップ(W杯)の影響もあり、序盤から大苦戦を強いられた。内容面で圧倒したインテルとの初戦を終盤の連続失点で逆転負けを喫すると、ホームでのバルセロナ戦では驚愕のパフォーマンスを見せたメッシに粉砕され、2連敗スタート。さらに、必勝を期して臨んだ格下PSVとの連戦初戦を痛恨のドローで終え、前半戦を勝ち点1で終える絶望的な状況を強いられた。

▽誰もが敗退の可能性を口にした中、奇跡を信じ続けたポチェッティーノ監督率いるチームはPSV戦、インテルとの直接対決をいずれも試合終盤の劇的な得点で競り勝ち逆転突破へのわずかな光明を見出すと、28戦無敗を誇るカンプ・ノウでは主力温存の首位チーム相手にビハインドを背負うもFWルーカス・モウラの劇的同点弾と、最下位敗退が決定しながらもインテル相手のアウェイゲームで勇敢な戦いでドローに持ち込んだPSVのアシストもあり、当該成績のアウェイゴール差でインテルを上回り、奇跡のカムバックを果たした。

◆名門の勝負強さ発揮も最後は経験不足露呈~インテル
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▽昨季、ラツィオとの痺れるセリエA最終節の大一番を制して7シーズンぶりのCL出場を果たしたインテルだったが、期待外れの3位敗退となった。今夏MFナインゴランやDFデ・フライ、DFヴルサリコ、FWケイタら実力者を補強したチームは国内リーグでの序盤戦で苦戦。それでも、トッテナムとのCL初戦では終始劣勢を強いられた中、CL初参戦のエースFWイカルディのスーパーゴールと伏兵MFヴェシーノのゴールで鮮やかな逆転勝利を飾った。この劇的勝利をターニングポイントとしたチームは以降は国内リーグでも復調。CLでは苦戦した第2戦のPSV戦も勝負強い戦いぶりで逆転勝利し、バルセロナとの連戦ではメッシ不在という好機を生かして敵地でこそ敗れたものの、ホームゲームでは再び粘り強い戦いで勝ち点1を手にした。

▽しかし、7シーズンぶりのCL参戦ということもあり、より重圧のかかる残り2試合で経験不足を露呈したチームはやや腰の引けた戦いぶりでトッテナムとの重要な大一番を落とすと、最終節のPSV戦では他会場の結果を意識し過ぎてかホームで勝ち点3を奪いに行く断固たる態度を示せずドローに終わった結果、無念の3位敗退でヨーロッパリーグ(EL)決勝トーナメントに回ることになった。

◆未勝利も美しき敗者に~PSV
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▽ファン・ボメル新監督の下で2シーズンぶりのCLグループステージ参戦となったPSVは今大会未勝利も健闘ぶりが光った。国内リーグで開幕13連勝を飾るなど、エースFWロサーノや守護神ズート、DFアンジェリーノ、FWベルグヴィンと各ポジションに有望な若手を擁するオランダ王者はすべて格上との対戦となったCLの舞台でも躍動。バルセロナ戦ではメッシらに格の違いを見せつけられたが、インテルトッテナム相手にはズートを中心とする粘り強い守備とロサーノ、ベルグヴィンの両翼の個人技を生かした鋭いカウンターで時に互角以上に渡り合って見せた。主砲ルーク・デ・ヨングも3試合連続ゴールを記録するなど、チームとしてバルセロナとの初戦を除き全試合で得点を記録しており、未勝利での敗退とはいえポジティブな要素が目立っていた。
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