劇場版「ドラゴンボール」シリーズ20作目のメモリアルタイトル『ドラゴンボール超 ブロリー』(12月14日公開)には、93年公開の劇場版作品に“伝説の超サイヤ人”として登場し、悟空たちと数々の死闘を繰り広げたブロリーが、20年以上の時を経て再びスクリーンに戻ってくる。キャラクターデザインやバトルシーンのクオリティもさらなる進化を遂げ、今や世界的な人気を集める同シリーズへの想いについて、キャスト4名(孫悟空役:野沢雅子ベジータ役:堀川りょうフリーザ役:中尾隆聖ブロリー役:島田敏)に話を聞いてみた。

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■ 帰ってきた強敵・ブロリーの印象

――本作が決まったときの感想や、ブロリーが再登場すると知ったときのお気持ちはいかがでしたか?

中尾「TVシリーズ(「ドラゴンボール超」)では終盤でフリーザが復活しましたが、劇場版でもまた悪いことできるのか!ってびっくりしましたし、うれしかったですね」

島田「僕が最初にブロリーを演じてから、もう25年が経っているんですよ。戦闘シーンがほとんどだったので、叫んだりうなったり、そんなシーンを全力で演じてきました。もちろん今回も戦闘シーンは大きな見どころですが、ブロリーが生まれて間もない時代から物語が始まり、地球で悟空やベジータと会う……そんなサイヤ人たちのドラマのようなものや、ブロリーというキャラクターを形づくってきたものが、とてもクリアに見えた気がしました」

――ブロリーというキャラクターについて、皆さんの印象は?

野沢「私はすぐ悟空として考えちゃうんだけど、ブロリーって生まれてすぐに違う星へ飛ばされて、悟空たちの知らないところで生きてきて、きっと壮絶な経験をしていて……根っからの悪人じゃないんですよね。ただ悟空はそれがわからないから、戦いになってしまう」

島田「辺境の星でベジータ王への復讐心を燃やす父親に育てられ、復讐のための道具にされようとしていたブロリーですが、内面はとてもピュアな青年だと思っています。戦闘民族としての凶暴さもありますが、それとは別に純粋な部分を持ち合わせている。そんな二面性を感じながら演じました」

堀川「すごくかわいそうだよね。『悪いことをしてやろう』という気持ちは全然ないのに、制御が利かなくてやむなく破壊行動に出てしまう。そういうところに、彼の悲哀を感じます」

バトルシーンは常に全力投球!

――作品のメインとなるブロリーとのバトルですが、演じるにあたって印象に残っていることは?

野沢「全ての収録が終わって思ったのは『今回の作品、セリフしゃべったかしら』でした(笑)。それくらいずっと戦っていたし、気合を入れる声や叫び声が多かったから」

島田「僕はもう、1シーン録り終えるたびに頭がガンガンしていました。でも、収録を終えてロビーで休んでいたら、先に収録を終えていた野沢さんが『大丈夫ー?』って声をかけてくれて。『野沢さん、同じシーンを演じたのに疲れないんですか?』と聞いたら『うん、全然』ってケロリとしていて……この人、レジェンドだなって思いましたよ」

中尾「野沢さんは、仙豆でも飲んでるんじゃないの?(笑)」

野沢「もうね、悟空になりきっちゃってるのよね(笑)」

――悟空やベジータ、そしてブロリーが、それぞれにパワーを解放してどんどん強くなっていくバトルは圧巻ですが、演じる側として「次の段階がまだあるから…」とパワーの配分を考えたりは?

野沢「常に全力ですよ。でも、『このときの悟空はこんな感じ』というのが自然と身についているのかも」

中尾「演じている最中も悟空そのものですからね。きっとあれこれ考えたりしなくても自然にそうなるんだろうな」

■ 時を超え、キャラクターの性格にも変化が

――それぞれのキャラクターを演じる際に意識していたことや、変化を感じる部分はありますか?

野沢「私はずっと変わらないですね。悟空もずっと変わらないでしょ?あまり悩んだりしないし、いつだって強いヤツと戦うことにワクワクしているから、昔からブレていないですね。今回も同じように演じさせていただきましたが、リテイクはなかったですよ」

堀川「僕も、初期から意識的に変えたところはありません。ただ、ベジータというキャラクターを取り巻く環境が変わったから、観ている皆さんの感じ方で、変わったように見える部分もあるかもしれませんね。初登場時は完全な悪役で、戦うのも自分のためだけ。でもカカロット(悟空)という存在にどんどん影響されてきている印象はあります。守るものができて、誰かのために戦うっていう新しい価値観が芽生えてきた。そこは作品と脚本の魅力でもありますね」

――演じているときは“憑依”している感じですか?

堀川「僕はそうですね。ベジータは自分自身だと思っていますから。例えば残虐なシーンでも、自分のなかにあるどこか残虐的な部分やエゴイスティックな部分を引き出して、膨らませながら演じています」

中尾「フリーザには“悪”という一本のラインのようなものがあって、例えば第一形態と第二形態のような違いはあるのですが、やはり大きくは変わらないですね。ただ、最近はちょっとコミカルな描写もあったりして」

野沢「最近、フリーザさんはちょっといい人よね(笑)」

中尾「そうそう(笑)。だから、もっとワガママにならなきゃ!非道なヤツにならなきゃ!って思うこともありますね。悪の帝王ですから」

■ ズバリ!「ドラゴンボール」とは?

――ご自身のこれまでのキャリアにおいて、「ドラゴンボール」という作品はどんな位置付けですか?

野沢「体の一部みたいな感じでしょうか。演じている期間も長いですし、もう悟空が私の中にいるみたい」

堀川「僕にとってはやっぱり“金字塔”かな。ベジータという役は、やりたいといってやらせてもらえるものでもないし、この役に選んでもらったこと、このキャストと一緒にできたこと、その巡り合わせがとても幸福なものだなと思います」

中尾「僕もそう、宝物ですね。いま、こんな豪華なメンバーで一緒に作品づくりができるチャンスなんてめったにないから。大切に思っています」

島田「僕自身、ブロリーを演じる機会は少ないですが、このシリーズは収録に行くのが毎回とても楽しみなんです。やっぱり野沢さんという存在は大きいですよ。スタジオの空気感も何もかもを変えてしまう、“座長”ですね」

――やっぱり、「悟空といえば野沢さん」ですね。

野沢「そこまで思ってもらえるのは本当にうれしいことですね。でも私にとっては、悟空がそこに立てるのは皆さんが立たせてくださっているから。私一人で頑張っても、作品は作れません。皆さんと一緒だからこそ、いい作品ができるんです。これからもそうやって皆で一緒に、『ドラゴンボール』シリーズを作り続けていけたらと思います」(Movie Walker・取材・文/藤堂真衣)

中尾隆聖、島田敏、野沢雅子、堀川りょう。レジェンド4人の座談会が実現!