知られざる「レズ風俗」の世界。

 漫画家・永田カビ氏によって2015年に発表された『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』はネットに発表されるやいなや、480万閲覧を超えるヒット作となりました。
 それから時は過ぎ2018年現在、LGBT・性の多様性への関心はさらに高まりつつあります。時代の波が永田氏の描いた世界観に追いつきつつあるのかも知れません。

 潜入ライターとして活躍するニポポ氏@tongarikids)がMCを務めるniconico公式番組「ニポポのニコ論壇時評」では、“あなたの知らないレズ風俗の世界”と題して、レズビアン風俗について特集。

 『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』に登場するレズビアン風俗店「レズっ娘クラブ」の経営者であり『すべての女性にはレズ風俗が必要なのかもしれない。』の著者・御坊 obou氏、「レズっ娘クラブ」のキャスト・涼子氏と姉妹店「レズ鑑賞クラブティアラ」まこ氏をゲストに迎え、展開しているプランの内容を紹介。
 また、店舗をはじめることとなった経緯や、キャストに応募したきっかけなどが語られました。

左からニポポ氏御坊 obou氏涼子氏まこ氏

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元ホームページ制作屋がノウハウを活かしてレズビアン風俗を創業

ニポポ:
 レズ風俗って御坊さんがパイオニア

御坊 obou(以下、御坊 ):
 いや、パイオニアではないです。僕がレズ風俗を作ったわけではないです。

ニポポ:
 でも相当早い段階から……。

御坊:
 12年目になるんで。

ニポポ:
 すごい。12年前って正直、今でこそLGBTっていう言葉があったり理解の輪がめちゃくちゃ広がってるけど、当時の状況って今と全然違ったんじゃないですか?

御坊:
 もちろんLGBTの言葉もほとんど出てなかったし、レズ風俗っていうのもほとんど知られてなかったと思います。レズ風俗のきっかけに関しては、やっぱり永田カビ先生の漫画作品ですね。 『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』。あそこがうちのお店なんですけど、あれの原作が2015年なんですよ。

『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』
(画像はさびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ | Amazonより)

 LGBTっていうか、渋谷のパートナーシップ制度【※】みたいなのが確か2015年。あのあたりだったから、結構かぶるんですよね。

※パートナーシップ制度
同性カップルを自治体が公に婚姻に準ずる関係として証明する制度。

ニポポ:
 ちょうど時代が動き始めたときなんだ。じゃあ、その間の9年どうしてたの?

御坊:
 いや、もう貧乏してました(笑)。

ニポポ:
 でも、「これだ!」って言って、目をつけて実際に動きだしたきっかけとか、思いは一体何だったんですか。

御坊:
 きっかけに関しては、本当にもう申し訳ないんですけど、お金もうけなんですよ(笑)。

ニポポ:
 (笑)

御坊:
 もともと僕はホームページ屋で独立してるんです。24ぐらいのときですかね。そのときのお客さんっていうのが、半分ぐらいが開業医さんだったり街の美容室ださんだったり。その残り半分が風俗店さんだったんです。

 風俗店さんの創業、立ち上げに携わることができるんですね。立ち上げからいろいろ失敗してるお店がほとんどだったんですけども、成功してるところとかもいてて、これはおいしそうやなと。現場で成功してるところのノウハウとかもわかったんで。

 それで風俗店やろうかなと思ったんですけど、そこのお客さんが男性向けの風俗店だったので、客が被ったらまずいと。「おまえノウハウ盗んだだろ!」って。

ニポポ:
 言われちゃうから。

御坊:
 まあ女性向けいいんじゃないかなって。僕が知り合いとかに声かけて、それではじめた。最初は3人ぐらいだったんですけど。

ニポポ:
 じゃあ最初はキャストさんも、ちょっとお友達とかを招いて?

御坊:
 キャストではなくて経営陣ですね。3人で共同出資みたいな感じでやりはじめたんですね。そこから求人募集とかかけるんですけど。

ニポポ:
 この求人募集かけて、来てくれるもの?

御坊:
 来てくれたんですよ。12年前は、もうすごい大量に電話が鳴りました。1日5本ぐらい。

ニポポ:
 「働かしてください」と。その受け答えの印象がよかったら面接するわけ?

御坊:
 みそでもくそでも入れてました(笑)。

一同:
 (笑)

御坊:
 お金払って利用するより、働いてお金もらったほうが早いっていう感覚の人がやっぱり当時はめちゃくちゃ多かったです。求人募集も、そういうレズビアン専門のサイトさんとかに載せたりしてました。なので、そういう感じになっちゃったのかなあと思いますね。

ニポポ:
 お客さんっていうのは、コンスタントに来てくれるもんですか?

御坊:
 いや、それがやっぱり。そこでつまずいたんですよ。

ニポポ:
 難しいもんなんだな。

御坊:
 男性向け風俗店さんの立ち上げの失敗の原因って全部求人なんですよ。だから求人は、僕はクリアできると思ってるんです(笑)。

ニポポ:
 それ以降はノープランだと(笑)。

御坊:
 ある程度軌道に乗るだろうという感じだったんですけど、もうなかなか。だから最初の予約が入るまで2、3週間かかってるんで。それまでに当時掲示板で、予約が入る前に「この店の女の子からお金取られた」「プレイしてたらお金取られた」っていう悪口というか、悪質なやつが書かれました(笑)。

ニポポ:
 いわゆる営業妨害をしてくる人がいたんだ。

御坊:
 まだ予約も1本も入ってないのに「財布取られた」って、本当にその財布くれ! って思いました(笑)。結構そのときも、僕も何かイケイケだったんで、オープンから何年後かぐらいまではずっと言い返してました。あんまりそれはやったらだめって言われてたんですけど言い返してました。

ニポポ:
 もう全部にマジレスっていうね。

御坊:
 マジレス。「御坊降臨」って(笑)。暇だったんです。

一同:
 (笑)

街ブラやテーマパークなど気楽に楽しめる「デートコース」

ニポポ:
 ちょっと気になりすぎるお店のシステムですが、「レズっ娘クラブ」「レズ鑑賞クラブティアラ」とはシステムが別なわけでしょう?

御坊:
 プラスアルファがあるのが「レズ鑑賞クラブティアラ」っていうので、基本的に「レズっ娘クラブ」のほうは、大きくビアンコースデートコースっていうのがあります。

「レズっ娘クラブ」で用意されているプラン。
(画像はレズっ娘クラブ公式サイトより)

ニポポ:
 もう難しいぞ(笑)。じゃあ、まずデートコースから聞きたいな。

御坊:
 デートコースは基本的に女性のお客様とうちの女の子で待ち合わせをしてデートするっていうかたちなんですけども、デート内容はお客様に合わせてっていうかたちでやらせていただいてます。

ニポポ:
 それってどのぐらいの時間のデートタイムがあるの?

御坊:
 一番短いのが、通常のデートコースの場合は2時間かな。

ニポポ:
 ちょっと待って。通常じゃないデートコースって何(笑)?

御坊:
 お試しの新規のお客さんとかは、1時間とかでもつけられるんですけども、デートコース単体ってなると2時間から。120分ですね。

ニポポ:
 120分のデートって、僕これどうしたらいい(笑)? きょうはこの初老のおじさんが女性だと考えて(笑)。いきなりどきどきしながら「デートコース2時間、お願いします」と電話するわけじゃないですか。もう完全にノープランですっていう人は?

御坊:
 エスコートさしていただきます。ある程度話をくみ取って、キャストがどういう感じのところがいいかっていうのがわかるので。ニポポさんやったらどこやろうな。

ニポポ:
 どきどきしてきた(笑)。

御坊:
 何か怪しい場所とかに行くかもしれないですし。

ニポポ:
 新世界あたりがいいかなとか、西成がいいかなとか。

御坊:
 西成の裏のほうがええかもかな、とかですね。

ニポポ:
 じゃあ、結構いろんな方に合わせられるじゃないですか。

御坊:
 そうですね。電話よりメールのほうが多いんですけども、メールの中に伝言覧っていうのがあるんですよ。やりたいこと、やってほしくないこと、そこを書いていただいたらスムーズにご案内できやすいかなあと。

ニポポ:
 いきなりどきどきしながら会うわけじゃん。どんなスタンスで行ったらいいの? かちかちになってる子とかいない?

まこ:
 それはもうお互いさまというか、私ももちろん緊張しますので。会ったことないわけですから。やっぱりお会いするのは会ったことがあっても緊張しますし。

ニポポ:
 2回目、3回目でもね。

涼子:
 緊張される方は、「長い間会ってない友達に会う感じ」とか。どうでしょう?

ニポポ:
 いいかも、そのアドバイス。

涼子:
 もうちょっと気楽になる感じ。ディズニーランド行くぞとかそういう自分が気楽に行けるテンションで会いに来ていただけたら。

ニポポ:
 安心してきた。2時間のコースでお互いの距離感を縮めていって。で、さっきちょっと気になった、通常じゃないデートコースっていうのは何があるの?

御坊:
 通常じゃないっていうのは、オプションのデート60分の話なんですけど。ビアンコースという……あとで言いたかったんですけども(笑)。

ニポポ:
 もうちょっとためとく?(笑)。

御坊:
 もうちょっとためておきましょう。

ニポポ:
 じゃあ今、ちょっと料金のところがあったんですけども、この料金的なシステムっていうのは、デートコースで言うとどんな感じになってくるんですかね。

御坊:
 デートコースだと、2時間から60分単位で、2時間が1万4000円で、60分7000円ずつ追加されていくって感じですね。

ニポポ:
 じゃあ全然良心的ですね。

御坊:
 たぶん良心的です(笑)。ほとんど10年以上値段変えていないんで。

ニポポ:
 すばらしい。質問もいっぱいきています。(コメントを見て)「男性は絡めないのか」とかありますが?

御坊:
 「レズっ娘クラブ」のほうがちょっとできないんですけども、「レズ鑑賞クラブティアラ」のほうが鑑賞コースと、あとはカップルコースっていうのがあって。

カップルコースの概要。
(画像はレズ鑑賞クラブティア公式サイトより)

ニポポ:
 カップルコースって何?

御坊:
 女性のお連れ様と一緒に来るパターンですね。ただ、女性の方は参加できます、男性の方は一切手をふれないでというかたちになってます。

ニポポ:
 じゃあそういった、ちょっと男性も鑑賞、見るっていうスタンスで参加する?

御坊:
 まあ自分で自家発電はしていただいて結構なんですけど。

ニポポ:
 それは構わないんだ。ということになっております。先ほどあったデートコースからもうちょっと距離感を詰めていこうかと思うんですけれども。

 このデートコースで会いました、ちょっと久しぶりの友達に会うぐらいの感じで、「あ、久しぶり」みたいなことを言っちゃったりしてお会いします。「じゃあ遊園地でも行きましょう」ということで行ったりすると、密着具合ってどんな感じになってくるんですかね。

御坊:
 要は手をつないだりとかということなんでしょうか。

まこ:
 それはお客様によるかも。

御坊:
 一応、声かけはします。

まこ:
 手をつなぐのも、できればお外ではしないでほしいって方もいらっしゃいますし、腕組んだりとか、ずっと手つないでてほしいって方ももちろんいらっしゃいますので、雰囲気によりますね。街の雰囲気にもよります。

ニポポ:
 僕なんかは、もうみんな密着したいのかと思っちゃうけど、そうじゃないんだ。

まこ:
 皆さん程よい距離がありますね。

御坊:
 普通に歩いてほしいっていう方もいますから。

ニポポ:
 それってどんな会話で入ったりするもんなんですか。

まこ:
 「きょうは暑かったですね」とか「やっと会えましたね」とか、ご予定が合ってよかったとかそんなところからです。本当、日常会話ですよ。

ニポポ:
 じゃあ、あとどんなとこに行ってみたとかあります?

まこ:
 デートでですか?

涼子:
 プラネタリウムとか。あと、温泉旅行。

ニポポ:
 温泉! ちょっと皆さんこれ、あれじゃないですか。はっきり言って女湯と女湯じゃないですか。

一同:
 (笑)

まこ:
 そうなんですよね、最高でしょう? 女性と一緒のときは「じゃああとでね」ってしなくていいんですよ。

ニポポ:
 それはデートコース

涼子:
 温泉はビアンコース

御坊:
 温泉は強制的にビアンコースになっちゃうんですよ。着替えが必要だったりする施設に入ったら、ビアンコースになるんで。

涼子:
 デートからはずれちゃった、ごめんなさい。

温泉やプール、ホテルでのプレイは「ビアンコース」に

ニポポ:
 じゃあ、この流れでビアンコースっていうものがどうなのかってところふれていい?

御坊:
 基本的にキャストとお客様がホテルに入ってプレイをするっていうのがビアンコースなんですけど、例外的にプールとかキャストが着替えしなあかん場所とかのデートも、一応ビアンコースの料金をやらさしていただきます。 基本のビアンコースはホテルのみになってます。マンションとか自宅とかは、うちはやってないですね。

ニポポ:
 今ちょっとプレイっていう言葉があったんですけども、このプレイっていうのはどういったプレイ内容があるのかな?

まこ:
 お会いしてからホテルのお部屋まで、そのホテルはお客様が決めてくださってるときもありますし、相談して決めるときもありますし。

御坊:
 まあ大阪ミナミなんで、ミナミ界隈やったら言ってくれたらエスコートします。

まこ:
 一緒にお部屋まで行って、お部屋に入ったらお代をそこで精算させていただくのと、あと、「入りました」っていうお電話をお店にするんですよ。そこからお時間が始まるんです。

御坊:
 こっからスタートです。そこから僕も全然知らないです。

一同:
 (笑)

ニポポ:
 何があるのかっていうところを、ちょっと紐解いていこうかなってところがあるんですけれども。ホテルに入るわけですよ。そうするとどんな流れでプレイっていうものがスタートしていくのか、これちょっとお聞かせ願えますか。

御坊:
  一番短いコースが60分からなんですけど、すげえ駆け足なんで全然おすすめしてません(笑)。

涼子:
 今までのお客様の経験だったりによるんですけど、伝言でいただいた内容を参考にさせていただいて、もし初めての方だったら、すっごい緊張してらっしゃったりとかして、私は会話を大事にします。

ニポポ:
 いい。やっぱり心の距離感ですね。

涼子:
 心を先に開いてもらう。まあ会話のほうが多いですね。初めてで本当に緊張しちゃってとかっていう方。だって緊張してしまったら、せっかくお会いできても、何かよりよいものをお互い引き出せないってなったらもったいないので。

ニポポ:
 そう考えると、やっぱり90分でもちょっと時間がね。

まこ:
 そうなんですよ。で、しかも、入ってから90分なんですけど、90分が終わる15分前に終了のアラームとかコールが鳴ってしまうから。

御坊:
 実質入ってから75分なんです。

まこ:
 そこに身支度とシャワーと、歯磨きとか入ってくるので。

ニポポ:
 じゃあこの90分の間の、実際にプレイっていうかネイキッドな感じに、ちょっと衣服脱ぎますよという感じになるのは、結構割合としては90分の間でもなかなか、後半になってくるってことね。お客さん来る?

御坊:
 男性やったらすぐパッて脱いでパッと帰るというんじゃなくて、うちの場合ちょっと違うので。お客様に「はいはい」みたいなことしちゃあ、たぶんもう二度と来ないと思います(笑)。だから結構聞いてる話によると、ゆっくりまったりする、徐々にみたいな感じやと思うんで。

ニポポ:
 じゃあ実際お互い裸になりましたってところまでこぎ着けると、これはどういうかたちでことが運んで進んでいくのだろうか。ここからはやっぱりちょっと、何かまったり抱擁をするみたいな感じなのかな? おじさんのイメージだけどね。

まこ:
 もちろんお客様によりますね。あと雰囲気とか。

御坊:
 まあプレイスタイルとかもあるんで。

ニポポ:
 プレイスタイルってものがあるのね。