カリフォルニア工科大学のチームは、視覚障がい者向けのナビゲーションシステムマイクロソフトのMRデバイスHoloLensを用いて制作し、実験により高い有効性が示されたとする報告書を発表しました。

HoloLensの空間音響技術を用いた、音声によるナビゲーション

チームが開発したシステムは、ユーザーがHoloLensを装着すると、現実空間にある物体の方向から、自分の名前を知らせる音声が再生され、目が不自由な人でも自立してナビゲーションが可能とするものです。

HoloLensは2つの空間認識技術を有しています。

一つは空間認識と呼ばれる、現実空間の立体構造をCG化し、保存や転送が可能とした技術です。これにより、空間内の物体の名称がわかったときに、現実空間でどこに位置するのかの情報まで含めて提示することができます。

もう一つは空間音響と呼ばれる、自分の頭部の周囲から立体的に音声が再生される技術です。立体音響と似ていますが、ユーザーから見た距離に応じて音の大小をリアルタイムで変化させられる点で異なります。

空間の情報を音声メッセージに変換する機能は「Cognitive Augmented Reality Assistant(CARA)」と呼ばれるソフトウェアを用いています。

ユーザーを目的地に誘導したい場合は、HoloLensを用いて歩いてほしい方向へ「Follow me.」と空間的に音声を再生することを繰り返す機能もあります。

実際に視覚障がい者は適切に誘導された

チームは、7人の視覚障がい者に対し実験を行い、最初に少しの訓練を行うだけで、階段や曲がり角も含めた経路を移動し、目的地まで誘導されたと報告しています。

この技術をもとに、視覚障がい者ではないが非常に目の悪いTommy Marcellus氏は、自身の体験をもとに、将来的にMRデバイスは視覚障がい者が使う白い杖に取って代わる技術になると語っています。MRデバイスであれば昨今の画像・空間認識技術を駆使し、正確に周囲のリアルタイムな情報を提示できると話しています。
チームは、今後の課題として、常時多くの人が流動する公共空間(公園やショッピングモールなど)で、同システムをどのように運用するかの問題があると話しています。

(参考)https://vrscout.com/news/caltech-ar-helps-blind-navigate/