▽CL3連覇中のレアル・マドリー、昨季ベスト4のローマと、CSKAモスクワ、ビクトリア・プルゼニの東欧勢と2強2弱の構図が明確となったグループG。しかし、2強の突破という順当な結果とは裏腹に今グループステージで最もカオスを生むグループとなった。

■グループG順位表■
[勝ち点/勝/引/負/得失点]
1.レアル・マドリー[12/4/0/2/7]
2.ローマ[9/3/0/3/3]
3.ビクトリア・プルゼニ[7/2/1/3/-9]
4.CSKAモスクワ[7/2/1/3/-1]

絶対王者の面影なし~レアル・マドリー

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▽CL3連覇中の絶対王者は比較的組み合わせに恵まれたグループステージをきっちり首位で通過したが、そこに絶対王者の面影はなかった。今夏、ジダン前監督とエースFWクリスティアーノ・ロナウドが去ったマドリーだったが、国内リーグでは開幕3勝1分けと上々のスタートを切った。ローマとのCL初戦でも3-0の快勝発進をみせ、偉大な指揮官とエースの不在を感じさせなかった。

▽しかし、国内リーグセビージャ相手に0-3の大敗を喫すると、ここから王者らしからぬ精神面の脆さを露呈し、第2節のCSKAモスクワ戦では格下相手にまさかの敗戦。その後、ビクトリア・プルゼニ戦での辛勝で一時立て直すもクラシコでの大敗を受けて、ロペテギ前監督が解任。ソラーリ新監督の下で再スタートを切ったチームはプルゼニ、ローマ相手に大勝を飾り、最終節を残して首位通過を決めたものの、一部主力を温存したCSKAモスクワ戦ではサンティアゴ・ベルナベウで屈辱の0-3の大敗を喫し、ネガティブな形でグループステージを終えることになった。守備面の緩さに加え、C・ロナウド不在を大きく感じさせる迫力不足の前線と課題山積みの中、実力者揃いの決勝トーナメントを勝ち抜き4連覇を果たすのは至難の業だ。

◆好不調の波が大きく安定感欠く~ローマ
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バルセロナを破るなど見事な快進撃を見せてリバプールと共に昨季CLを沸かせたベスト4チームのローマだが、今夏大きく舵を切ったチームは厳しいグループステージを過ごすことになった。守護神アリソン、MFナインゴラン、MFストロートマンと昨季ベスト4進出の功労者を放出し多くの新戦力を加えたローマは開幕から不振に陥った。CLではレアル・マドリー相手の初戦を落とした後、エースFWジェコとMFジェンギズ・ウンデルの活躍でプルゼニ、CSKAモスクワとの連戦で3連勝も試合内容自体は低調さが目立った。

▽その後、国内リーグにおける不振とジェコやMFデ・ロッシ、FWエル・シャーラウィなど主力の故障に悩まされたチームはレアル・マドリー、プルゼニ相手に自滅感満載の内容で連敗。プルゼニとCSKAモスクワの潰し合いで辛くも2位通過を決めたものの、ディ・フランチェスコ監督の解任報道が盛んに伝えられるなど、突破以外にポジティブな要素なしで決勝トーナメントに臨むことになる。

◆組織的な戦いぶりで健闘~ビクトリア・プルゼニ~
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ローマ相手の金星を含めて2勝を挙げたチェコ王者は堂々とした戦いぶりで3位でのヨーロッパリーグ(EL)決勝トーナメント進出を決めた。チェコ代表選手を中心にスタープレーヤー不在のプルゼニだったが、組織力と献身性を生かしたコンパクトな守備、国内王者らしい勝負所を見極めたカウンターを武器に安定した戦いぶりを披露した。レアル・マドリーローマ相手に0-5の大敗を喫した2試合を除きチームとしてきっちりゲームプランを遂行できており、その集大成となった最終節のローマ戦だ。他会場でCSKAモスクワ大量リードという状況にも関わらず、必要以上にリスクを冒して戦うことはなく公式戦5戦ぶりの勝利に躍起になる相手に対して老獪な試合運びで我慢比べを制した。

◆最下位も絶対王者を粉砕~CSKAモスクワ
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▽最下位での敗退も絶対王者にダブルをかます今グループステージ最大のインパクトを残した。DFイグナシェビッチ、ベレズツキー兄弟と守護神アキンフェエフと共に長年チームの屋台骨を支えた大ベテランがチームを去った中、若手主体のチームに生まれ変わった今季のCSKAモスクワ。すると、MFヴラシッチやFWチャロフ、MFアルノル・シグルドソンら活きのいい若手が躍動感あふれるプレーをみせ、ホームではヴラシッチ、アウェイではチャロフ、シグルドソンが圧巻のパフォーマンスを披露しレアル・マドリーを粉砕してみせた。その中で今夏ベガルタ仙台から加入したFW西村拓真はローマ戦、レアル・マドリー戦の試合最終盤の数分間しかプレータイムを与えられなかったが、大舞台の空気を味わえたことは今後のキャリアにおいて大きな経験になるはずだ。
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