映画「輪違屋糸里 京女たちの幕末」に出演している、溝端淳平さん、佐藤隆太さん、塚本高史さん。

 同作は、京都の花街で島原輪違屋に身を置く天神糸里(藤野涼子さん)は土方歳三(溝端さん)に恋心を抱いています。一方、糸里と仲の良い芸妓・吉栄(松井玲奈さん)は芹澤鴨(塚本さん)の腹心である平山五郎(佐藤さん)と恋仲にありましたが、芹澤暗殺計画が持ち上がり、男たちが抗争を繰り広げる中、糸里たちも翻弄されていく…浅田次郎さん原作による新選組時代小説の映画化作品です。

 オトナンサー編集部では、溝端さん、塚本さん、佐藤さんの3人にインタビューを実施。役作りや相手役のセリフで響いたもの、現場の雰囲気などを聞きました。

土方がどういう人間か分からなかった

Q.新選組はさまざまに映像化されていますが、どういうところから役作りされましたか。

溝端さん(以下敬称略)「僕は台本を読んだとき、土方がどういう人間か分からなかったんですよ。原作を読んだり、大河の『新選組!』を見て、山本耕史さんがどういうふうにやったのか調べてみたり、『薄桜鬼』を見たり、土方歳三メインの漫画を読んだりしました」

佐藤さん(同)「僕は以前に塚本さんが平山を演じていたので、それをモチーフに…」

塚本さん(同)「やってないよ!(笑)」

佐藤「じゃ、違います(笑)」

塚本「僕は何も見ていません。どういう人かも知らなかったので、台本を頂いて芹澤鴨のインスピレーションを受けたものを僕なりにかみ砕いて、現場で共演者や監督とディスカッションしながら作り上げました」

佐藤「僕も同じです。こういう作品じゃなくても実在の方を演じるときは、考えすぎてしまうと難しくなるし。監督が作りたい世界観で、同じ人でも彼のこういう部分を描きたいということはたくさんあるので、今回頂いた台本から、どういう人物を作っていくのか、はみ出しすぎると監督が導いてくれるので、そうやって演じています」

Q.それぞれの役を演じる前後でイメージは変わりましたか。

溝端「土方は常に冷静でクールで、みたいな。序盤はそういうシーンもあるけど、コンプレックスや弱い部分が見えて、最後は糸里にバッサリ言われる役なのでぶざまに映ったんじゃないかなと思いました」

塚本「僕は芹澤鴨を知らなかったので、演じ終えた後は、もっとやりたいこともあったんだろうけど、武士としては本望というか全うしたのではないかなと思います」

佐藤「シンプルにいうと片目の剣豪というイメージで、吉栄といるときの優しさや、自分以上に相手を思いやれる温かい人というイメージでした」

Q.時代劇なので、立ち振る舞いや言葉遣い、刀など、現代劇よりも覚えることが多かったと思います。

溝端「刀の使い方や着物の着方もそうですし。時代劇は初めてじゃないですが、カメラが回っていないときも着物を意識するわけじゃないですか。それを意識していること自体が役作りの一環になります。それはいいチャンスです。逆にいえば、こう使えるとか。制限されながらも出るアイデアがありました」

塚本「現代劇と違い、簡単に芝居を変えられません。何回もやった上で板について、『これよかったかな』と自分の中で評価できます。アドリブが簡単にできないというのはあったかな」

佐藤「いろいろやることが多いけど、せっかく参加したんだからもっと殺陣(たて)などをやりたかったですね」

Q.現場の雰囲気はいかがでしたか。 

溝端「佐藤さん、塚本さんがすごい仲良しで。何年来の付き合いなんですか」

塚本「もう18年くらい」

溝端「テレビで2人を見ていた世代なので、2人がそろってテンションが上がりました。ただ、実はあまり仲良くなかったらなどと思っていましたが、そういうのも初日に払拭(ふっしょく)されました」

佐藤「そういうのがあるから無理しているのよ(笑)そういう雰囲気があるから、仲良くないけど仲良いふりをしようと」

溝端「全然分からなかった(笑)」

塚本「毎回共演するたびに『あ~また頑張らなきゃな』と思うね(笑)」

溝端「じゃあ、感じの悪い現場です、ギスギスしていました(笑)」

塚本「でも、一緒にご飯行く時間ができたり、役とかけ離れたところでお話できることは分かっていたので。僕と淳平の役柄同士はピリピリしていましたが、行きも、帰りの車も一緒だったり、ホテルで待ち合わせしたりできる現場でした」

佐藤「時代物なので難しかったりしますが、とても楽しい現場でした。加島幹也監督も明るい監督なので、監督の人柄もあるのかな。メインで出ている出演者が多くないので」

 映画「輪違屋糸里 京女たちの幕末」は12月15日から全国順次公開。

オトナンサー編集部

(左から)塚本高史さん、溝端淳平さん、佐藤隆太さん