■ サイフォンとパンケーキが出合うまで「SHIROUZU COFFEE ROASTER」

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白水和寿さんのコーヒーの原点は、アパレル業界で働いていた時に毎日飲んでいた缶コーヒー。常連客からの差し入れを飲みながら話をする時間が何より好きだった。やがて老舗喫茶「珈琲舎のだ」の扉をたたくことに。

店の“看板コーヒー”として提供するサイフォン式も、修業店での抽出方法を踏襲した。見た目のおもしろさもさることながら「抽出温度が高いので味がしっかり出るし、飲んでいくうちに温度が下がり、味わいが変わるのもおもしろい」と白水さん。

12年、1号店となる港店を開き、その3年後に警固店を開店。同じ年に自家焙煎を始めた。今、港店で使っているのはオランダ製の「ギーセン」の焙煎機。浅煎りが主流のサードウェーブ系ロースターが憧れる機種ながら、白水さんが中心にすえるのは中深煎りの豆。「中央区でも少し離れた港エリアで、お客さんの反応が一番よかったのが昔ながらの中深煎りタイプ。地域に密着したお店になりたいと思っていたので、焙煎度はそこに絞り、しっかり甘味が出る豆を選んでいます」と白水さんは話す。

今や、気鋭のアーティストKEN氏のグラフィックが壁を彩り、パンケーキがおいしい店として女性の支持を集めるおしゃれな店の代表格。でも白水さんが大切にするのは地域に愛されるコーヒーの味作り。その落ち着く味で、かつての自分のように会話を楽しんでほしいと願う。

[SHIROUZU COFFEE ROASTER(シロウズ コーヒー ロースター)]福岡市中央区警固2-15-10 / 092-753-7714 / 8:00〜24:00 / 年末年始休み / 21席 / コーヒー1杯 480円~

■ 注文後の焙煎により鮮度のよい豆を「IENA COFFEE 警固店」

警固四つ角そばの自家焙煎コーヒー専門店。14年のオープン時から、注文を受けたあとに焙煎を行うスタイルで知られている。

女性オーナーの品川未貴さんは、店をオープンさせるまでは会社員として働いていた“いちコーヒーユーザー”で、「私自身、焙煎したての鮮度のよい豆がおいしさの要素の一つだと考えていました。だから、短時間で少量の豆を焙煎できるトルネードキングという焙煎機があることを知り、これだ!と思ったんです」と品川さん。

竜巻のような回転が釜の内部で発生することで、早く均一に豆が焼けるという焙煎機で、焙煎度合いにより異なるが5〜10分という短時間で焼き上がる。焙煎したてのコーヒーという視点で考えると、確かにこのスタイルは理想的だ。さらに「注文後に焙煎することで、生豆のまま保管できます。結果、ロスを少なくできるので、たくさんの種類の豆を用意できるのもメリットです」と品川さんは続ける。その言葉どおり、ブレンド4種、シングルオリジン20種と選択肢は豊富。

ほかのロースターとは焙煎やブレンドに対する概念は少し異なるが、鮮度や選択肢の多彩さを重視するなら、試してほしい新スタイルの自家焙煎店。季節のフルーツを使ったマフィン(300円)などスイーツも用意し、カフェ利用もOK。コーヒー(500円〜)も2杯分出てくるなど、ユーザー目線に立った心遣いもうれしい。

[IENA COFFEE 警固店(イエナ コーヒー ケゴテン)] 福岡市中央区警固2-12-20 / 092-982-1007 / 9:00〜21:00、土日祝11:00〜 / 休みなし / 11席 / コーヒー1杯 500円~(九州ウォーカー・九州ウォーカー編集部)

SHIROUZU COFFEE ROASTER / ビターチョコレートのような味わいのミナトブレンドとプレーンパンケーキのセット(980円)