今年のモータースポーツシーズンも終わり、参戦メーカーであるトヨタ、日産、ホンダのファン感謝祭が3週連続で行われた。

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三社三様、それぞれ趣向を凝らしたこれらのイベントの様子をレポートする。

■ どのイベントも「子供が楽しめる」コンテンツを用意

どのイベントでも、今年活躍したレーシングカーがファンの前でデモ走行はもちろんのこと、ドライバーや監督から裏話を聞くことができるトークイベントをはじめ、観光バスに乗ってドライバーやチーム監督の解説を聞きながら、そのすぐ近くを通るレーシングカーを見る「サーキットサファリ」や、プロドライバーが運転するレーシングカーやスポーツカーの助手席に座ってコースを一周する「サーキットタクシー」といった体験型コンテンツが用意され好評を得ていた。

また、子供たちがレーシングカーに試座できたり、サーキットの職業体験、ゴーカートで遊べるといった、よりモータースポーツが身近に感じられる催しがなされていた。

決してクルマ好きの大人だけが楽しめるイベントではなく、子供や一緒に来たママも楽しめるのが、ファン感謝イベントだといえる。その中でもメーカー毎にテーマが異なり、演出も異なっていた。

■ 「おもてなし精神」でファンを迎え入れるトヨタ

ファン感謝祭のトップバッターは、11月25日富士スピードウェイで開催されたトヨタのファン感謝祭「TOYOTA Gazoo RACING FESTIVAL 2018」(以下TGRF)。

今年悲願であったル・マン24時間耐久レースの制覇と、昨年より復帰した世界ラリー選手権のメーカー別(マニュファクチャラーズ)チャンピオンのタイトルを獲得したトヨタのファン感謝祭には4万人を超える人が来場。早朝から多くの人で賑わいをみせていた。走行はコースだけに留まらず、サーキット全体をラリーステージと見立てたイベントも開催。

ラリーカーの同乗走行体験は大変な人気。また、参戦して約30年、20回目の挑戦にして手に入れた「ル・マン24時間レース」のトロフィーや優勝車両である8号車を展示。汚れたままの状態で走行する姿に、訪れたファンは声援を贈っていた。

そのほか、広い富士スピードウェイの施設で、数多くのコンテンツを用意。1日では見きれない、といったボリュームであった。また、選手やスタッフが来場者に丁寧に接する姿が印象的。そこには「来場者に楽しんで頂きたい」「ファンによって支えられている」という、おもてなしの精神を感じさせるものであった。

■ 「クルマ好き」を満足させる日産&NISMO

TOYOTAのファン感謝祭から1週間後、同じく富士スピードウェイで行われた日産自動車のファン感謝イベント「NISMO FESTIVAL at FUJI SPEEDWAY supported by MOTUL」。

今年でモータースポーツ活動60周年を迎えた日産陣営は、懐かしいレーシングカーを数多く並べ、歴史を辿る展示としていた。そのいっぽう、今年から参戦する電気自動車の世界選手権「FORMULA E」をフィーチャー。

電気自動車LEAFの自動車庫入れ機能を試すコーナーもあり、日産が今後、電気自動車へとシフトしていくことを明確にする内容としていた。

会場では、自動車部品メーカーのアウトレットセールだけでなく、チームからレースで使用したパーツ類の放出品市が行われ盛況。

チューニングパーツメーカーやショップの展示も多く、クルマ好きには堪らないイベントだと感じた。

そんな彼らの注目を集めたのがR32だけでなく、R33、R34といった“第2世代GT-R”のレストアパーツの販売開始。GT-Rブランドの根強い人気を感じさせた。

■ 普段見られないドライバーが愉しむ姿が見られるホンダ

4輪だけでなく2輪も含めると、世界で100を超えるレースカテゴリに参戦するというホンダ

そのファン感謝イベントは、意外にもマシンではなくドライバーにスポットを当てている雰囲気を感じた。2輪のライダーや4輪のドライバー達が参戦したマシンで走るのはもちろんのこと、カートや、オートバイスーパーカブ」や軽自動車N-One」でレースをする姿は実に微笑ましいもの。そしてドライバーとファンとの距離がとても近いのも印象的。

選手や監督がファンからのサインに気軽に応じる姿が、あちらこちらで見られたほか、リラックスした様子で、気軽にファンと話をしたりトークショーをしている姿があった。

スタンドの裏に協賛各社のブースが出展されているのは、他のファン感謝イベントと同様であるが、販売ではなく展示がメインといった様子。一部ブースでは応援グッズを安く販売され人が絶えることはなかった。

もちろん、往年のF1マシンをはじめ、参戦したマシンを展示や走行が行われ、最後にはこれらのマシンが一堂に会して「Hondaミュージック」の大合唱。来場者からの喝采を浴びていた。

■ 今から楽しみな来シーズン

今年は日本で10年ぶりとなる24時間レースが開催されたほか、Hondaの山本尚貴がSUPER GTGT500クラス及びSUPER FORMULAのダブルタイトルを獲得した今年のモータースポーツ。来シーズンはF1ではレッドブルホンダが誕生するほか、SUPER FORMULAではSF19というニューマシンが登場。

また、シビックやゴルフを使ったスプリントレースTCRジャパンシリーズがついに開幕する。

他にも、スーパー耐久の強豪チームであった近藤真彦監督率いるKONDO RacingSUPER GTGT300クラスに挑戦し、既に参戦しているGT500とダブルエントリーするなど、すでに次の年に向けた準備が進められている。

ぜひ来年は、サーキットに足を運んで、モータースポーツを肌で感じてみてはいかがだろうか。(東京ウォーカー(全国版)・栗原祥光)

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