俳優のニコラス・ホルトが小説『ライ麦畑でつかまえて』の作者、J.D.サリンジャーの半生を演じる映画『ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちサリンジャー』から、サリンジャーの人生においてキーパーソンとなった2人の女性の存在が明らかとなった。

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 まず一人目の女性は、サリンジャーの“二人目の妻”クレアダグラス16歳の時、『ライ麦畑でつかまえて』を発表し、飛ぶ鳥を落とす勢いで認知されたサリンジャーとパーティーで出会い、初めて面と向かって小説を酷評したことで、逆に彼の興味を引いた。

 大学生になってからサリンジャーと交際を始めるも破局。別の男性と結婚したが数ヵ月で離婚した後、サリンジャー1955年に再婚している。結婚後は、世間から離れて自らの殻にこもるサリンジャーを献身的に支えたが、1967年に離婚。しかし離婚後も10年以上2人の子どもと共に同じ家に留まり、後には西海岸で開業し再出発を果たした。

 クレアを演じるのは、映画『シング・ストリート 未来へのうた』で、ミステリアスなヒロインのラフィーナに扮したルーシーボイントン。ロックバンド、クイーンのボーカルだったフレディ・マーキュリーを描いた伝記映画『ボヘミアン・ラプソディ』では、元婚約者にして生涯を通じた友人となったメアリー・オースティン役を演じている。

 二人目の女性は、サリンジャーの出版エージェントであったドロシー・オールディング。才能にあふれる反面、こだわりが強く、周囲と対立し孤立していたサリンジャーを支えたほか、男社会真っただ中だった40年代のアメリカ出版界で著作権代理を行うなど時代の先を歩んでいた。隠遁生活となり、作品の出版を拒否したサリンジャーを「幸せになってほしい」と受け入れ、終生のつきあいを続けたという。

 映画『キャロル』『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』『オーシャンズ8』といった話題作に出演するサラ・ポールソンが、ドロシー役を担当。実力派女優であるサラはレズビアンを公表しており、女優ホランド・テイラーとの交際も話題を集めている。

 映画界をにぎわす女優たちがキーパーソンとして出演している本作。生誕100年にして初めて明かされるサリンジャーの人生と、彼を“取り巻く女性たち”にも注目したい。

 映画『ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちサリンジャー』は、2019年1月18日より全国公開。

『ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー』場面写真(C)2016 REBEL MOVIE, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.