巨大匿名掲示板の先駆けにして代表格『2ちゃんねる』。ありとあらゆる話題があるのはいいが、情報量が膨大すぎて表示方法も単調なため、どこをのぞいたらいいのか、のぞいてもどれが自分にとって重要な内容なのか、慣れないと分かりづらいという弊害がある。

そんな人たちにとって役立つのが、話題のスレッドから書き込みを抽出し、フォントサイズやカラーも変更して読みやすく編集してくれる「まとめサイト」の存在だ。「2ちゃんねるで見たんだけど」と面白げな話をしてくる友人がいたら、実際には本家の2ちゃんねるではなくこれらのまとめサイトを情報源としている可能性がかなり高い。しかし今、まとめサイトの存続が危ぶまれている。

まとめサイトは、何年も前から批判の対象ではあった。その理由は明白で、要はまとめサイトには各種アフィリエイト広告が貼られており、他人の書き込みを使って広告収入で儲けているから、というものだ。「嫌儲」というやつである。もっともそこで批判を繰り広げていたのは2ちゃんねるユーザー自身であり、2ちゃんねる内に転載禁止ルールを掲げる板も作られたものの運営側は静観の構えだったようで、、その後もまとめサイトは乱立、「まとめサイトまとめサイト」というものまで珍しくなくなった。

事態が大きく動いたのは今年に入ってから。

まとめサイトのひとつ『やらおん』のアフィリエイトIDがアニメ会社シャフトと同じだったことが発覚。さらに別のまとめサイトはちま起稿』ではまとめ編集の際にかなり偏った内容に改変してしまうことなどがやり玉にあげられた。

こうした動きを受け、ついに2ちゃんねる創始者のひろゆき氏が五つのまとめサイト、具体的には『やらおん」『はちま起稿』に加え、『ハムスター速報』『オレ的ゲーム速報@刃』『ニュー速VIPブログ』に対して名指しで転載禁止を明示。また、商業利用をしているまとめサイトを運営するには登録せよ、というルールが設けられることとなった。だが、問題はこれで終わりではなかった。

恥ずかしながら筆者は、まとめサイトにまとめられた甘酸っぱい恋愛話やライトなスケベ体験告白が割と好物なのだが、ここしばらく、その手の記事が何かと出会い系サイト経由であり、話の途中でどのサイトを利用したのかに言及されるものばかりで、何やら怪しいと感じていた。

すると案の定、まとめのふりをした広告が、出会い系ネタに限らずあれこれ存在していたことが判明。ひろゆき氏はとうとう各まとめサイトへの警告のみならず、多くのまとめサイトに利用されているブログサービス、具体的にはFC2ブログでのまとめサイト運営は禁止、との発言をするまでに事態は拡大した。

もっとも、まとめのふりをした広告には苦言を呈されてはいるものの、商業利用していても登録制ならOKという余地は残っているし、各種ブログサービス側に禁止を申し入れても独自サーバー等に引っ越して続けるといったことは可能だ。まとめサイトを読む側から言えば、悪質な記事がなくなり、かつ読みやすいまとめが残るなら歓迎だが、さてどうなることか。

(田中元)