小林よしのり

いやはや、こんなに反響があるとは。筆者が書いた、小林よしのり氏スタッフと立憲民主党の「アイヌヘイト論争」をめぐる記事である。

 

■トラブルの経緯とは

概要を簡単におさらいしよう。文筆家・古谷経衡氏が「ネットを徘徊する怪物『差別的デマ』は、いま誰を餌食にしているのか」という記事を11月29日ニュースサイト『現代ビジネス』に書いた。

記事の大枠は、ネット右翼による在日特権・攻撃や沖縄ヘイトのデマを批判するなど、筆者もおおむね賛成できるもので、古谷氏ならではの記事だと感心させるものだった。

しかし、記事中では、2014〜2015年頃に最盛期を迎えたネット右翼によるアイヌに対するヘイト運動について、「この運動の最前線に立ったのは、漫画家小林よしのりであった」旨、断定されている。

しかし、小林氏がアイヌを扱ったのは2008年から2009年で、事実に反する記述であった。それがどういうわけか、立憲民主党の公式Twitterアカウントがその記事をツイートして、立憲民主党福山哲郎幹事長がリツイートした。

そこで、小林よしのり氏の会社『よしりん企画』スタッフ時浦兼氏が、立憲民主党に抗議文を送付するに至ったのだ。

 

■抗議に至った舞台裏

前回の記事でも書いたが、古谷氏の記事について、私は12月4日、福山幹事長に次のように問い質した。福山氏がよく事情を知らないで、リツイートした可能性もあるので、下記の質問をすると、立憲民主党の広報担当者に事前にメールで予告した。

メールに記載した通り質問した。一部重複するがご容赦いただきたい。

立憲民主党応援団である小林よしのりさんが抗議している点について伺います。11月29日、文筆家・古谷経衡ネット記事『ネットを徘徊する怪物「差別的デマ」は、いま誰を餌食にしているのか』という記事を「現代ビジネス」に書きました。

 

それを立憲民主党の公式Twitterアカウントが取り上げて、福山さんがTwitterリツイートしました。ただ、記事には問題点があります。

 

同記事ではネトウヨによるアイヌ批判が2014〜2015年頃に最盛期を迎えたとした上で、「この運動の最前線に立ったのは、漫画家小林よしのりであった」と断定しています。

 

しかし、小林さんがアイヌを取り上げたのは2008年から2009年で、この記述は明らかに虚偽です。

 

その他にも、小林よしのりさんに対する不正確な情報が見受けられますが、このような小林さんを虚偽で攻撃する記事を立憲民主党の公式Twitterアカウントが紹介し、それを福山幹事長がリツイートしたことをどのようにお考えですか?」

■福山幹事長の答えとその後の流れ

福山哲郎

これに関する福山氏の応えは下記の通りだった。

「公式Twitterリツイート、これまでもいろいろな記事についてさせていただいています。それについては、全て賛同しているとか、全て事実だとかどうかという確認をしているわけではありません。

 

一方で、多様な論稿を紹介させていただくことで、いろんな考え、いろんなものがあるんだということを公式Twitter上でご紹介をさせていただいています。

 

ご指摘は承知しています。記事の内容に虚偽があるというご指摘については受け止めさせていただきますが、記事の内容については逆に、執筆者の方に当たっていただければと考えます」

 

会見後、立憲民主党関係者に「福山さんの回答があったから、問題のツイートは削除されますか?」と筆者が問い質したところ、「でも、小林さんサイドから抗議がこちらには来ていない。来たら考えざるをない」というものだった。

同党関係者は、古谷氏の記事中で、小林よしのり氏に関する記述に誤りがあることを認識していた。

筆者はTwitterで相互フォローしている『よしりん企画』時浦氏にその旨、ダイレクトメッセージで送り、立憲民主党の報道・団体交流担当部長である坂上隆司氏の連絡先を伝え、抗議するならば抗議したほうが良い旨、伝えた。そして、時浦氏が坂上氏宛に抗議文を送る運びとなった。

 

■立憲民主党、謝罪ツイートの真意

そして、12月12日立憲民主党公式ツイッターは古谷氏の記事を紹介したツイートを削除した上で、以下の謝罪文をツイッターに投稿した。

「『現代ビジネス』に掲載された古谷経衡氏の記事『ネットを徘徊する怪物『差別的デマ』は、いま誰を餌食にしているのか』を党公式アカウントリツイートした現在論争中の案件について、不適切なツイートを行なったとの認識に至りましたので、ツイートを削除することにしました」

 

「公式アカウントは様々な論説を紹介する方針で運営しています。とりわけ差別問題は多角的に考えるべき喫緊の課題だと認識しておりツイートさせて頂きました。

 

しかし後日、記事の表現が公式で扱うには不適切ではないかというご指摘を頂きました。関係者含めご迷惑をお掛けしたことをお詫びいたします」

 

同党関係者によれば、これは古谷氏の記事全体を否定する意図したものでなく、あくまで、小林よしのり氏の記述に関する事実誤認が認められたので、謝罪ツイートをしたというわけだ。

つまり、時浦氏と古谷氏がネットバトルしているが、そのどちらかに軍配をあげるというのでなく、あくまで事実誤認に関してのみの対応だ。謝罪ツイートには『しらべぇ』配信記事とそれに対する反響も影響もあったようだ。

■各界の反応は

立憲民主党の謝罪ツイートに関して、各界・各人はどう反応したか。まず、記事を執筆した古谷氏は、13日に次のようにツイートした。

「私の記事は論争にすらなっていない事実なのに、いち漫画家から抗議を受けただけで『リツイートを撤回しますぅ泣』とは本当に情けない。立憲民主党情けなさすぎる。だから与党に成れぬのだよ」

 

精神科医で、小林よしのり氏との共著『対決対談!「アイヌ論争」とヘイトスピーチ』(創出版)を出している香山リカ氏は、同日、次のようにツイート

アイヌ民族などいないと2014年ツイートしたのは元札幌市議ですが、当時アイヌ否定を唱える人の多くは小林よしのり氏に影響受けてました。そして私は2015年に小林氏と直接対談も。古谷氏の記述は誤りとはいえません」

 

いわゆる「しばき隊」(C.R.A.C. NORTHアカウントも反応している。

「立民は、この件で問われているのは差別認識なのだから、風見鶏をするのはやめて、アイヌ政策の見識を持ち、小林サイドからの圧力には毅然としてほしい」

 

■さらなるバトルか

今回は、小林よしのり氏自身が動いたわけではなく、『よしりん企画』スタッフの時浦氏が立民に抗議文を送った。小林氏の了解はあっての行動だろうが、「立民に謝罪させるために小林氏が圧力をかけた事実」はない。

時浦氏と古谷氏の論争は立憲民主党を巻き込んだが、同党の謝罪ツイートで一件落着した。しかし、時浦氏はブログで「これでデマ屋・古谷経衡の追及に集中することが出来ます」とさらなる攻撃を布告。しばらく、古谷氏と時浦氏のバトルが展開されそうだ。要注目である。

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(取材・文/しらべぇ編集部・及川健二

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