離乳食をもりもり食べてくれるとお母さんもうれしいですね。でも食べたがるからといってどんどん食べさせるのは、ちょっと待ってください。食べすぎかどうかの見極めや、離乳食の進め方のポイントをお伝えします。



食べすぎかどうか見極めるポイント

大人と同様に、赤ちゃんの食欲にも個人差があります。生後、母乳やミルクを飲むことに慣れていくとぷくぷくと丸みを帯びてきます。他の子よりも多めであっても、必ずしも食べすぎとは言えません。また、月齢別の目安量も示されていますが、それより多い量を食べていても大丈夫です。肥満を心配するお母さんもいますが、皮下脂肪の発達がよいのは赤ちゃんの特徴であり、歩き出して活動量が多くなる頃には次第に丸みが解消し始めます。赤ちゃんの食事量が気になるときには、母子手帳に載っている「成長曲線」を確認しましょう。身長と体重を測定したら、月齢の線上に印をつけていきます。色付けされている域から大きく上回っている場合や、範囲内でも短期間で急増した場合には食事を見直してみましょう。なお、生後から体格がよく、そのまま徐々に増えている場合には、多少域を超えていても順調と考えて大丈夫です。



食べすぎて、吐く、泣くのはなぜ?

赤ちゃんにはいろいろタイプがありますが、食べること自体が好きという子もいますし、終わろうとすると泣いてしまう場合もあります。



■吐く場合

<原因>

たくさん食べたあとに嘔吐したときには「食べすぎ」「アレルギー」「体調不良」などが考えられます。嘔吐したときは、そのあとにぐったりしている、身体に発疹が出る、発熱するなどがあれば小児科を受診しましょう。 食べすぎで嘔吐しやすいのは、赤ちゃんの消化機能が未熟だからです。大人の胃は折れ曲がっているのに対し、赤ちゃんの胃はひょうたんのような形で入口の筋力も弱いため、たくさん食べてすぐに活発に動いたり横になったりすることで逆流しやすいのです。嘔吐してしまっても、そのあと元気であれば問題ありません。



<対処法>

食べる量が多いときは、丸飲みしている場合があります。丸飲みを防ぐコツを紹介します。




○今より少し硬めの形状にしてみる 主食のおかゆの硬さの目安は、中期は7倍粥、後期は5倍粥~軟飯にします。魚や肉などのたんぱく質や野菜は、中期は豆腐くらい、後期はバナナくらいの硬さです。時期と硬さはあくまでも目安ですが、食べる機能の発達のためにも水分量や茹で具合を調整して少し硬めにしてみるのもよいでしょう。 ただし、離乳食をスタートした初期に硬くしてしまうと飲み込みや胃腸に負担をかけてしまいます。形状は裏ごししたペースト状のままで、さじを口の中に入れるのではなく赤ちゃんが食いつくのを待つようにしましょう。 ○手づかみをさせる 離乳食に慣れ、つかまり立ちをする頃には、自分の周りにあるものに興味津々の時期。手でつかむことはもちろん、舐めて物を確かめるのもこの時期の特徴です。さじで口に持っていくとどんどん食べてしまうという場合には、自分で手づかみをさせてみましょう。上手くできなくても、自分で触って口に持っていくことが満足につながります。あまりにも自由に遊んでしまうと大変な育児の中で保護者もつらくなってしまうので、手づかみ用と与える用の食べ物を用意するといいですよ。手づかみメニューは検索するとレシピがありますし、手作りでなくても柔らかいパンやベビー用せんべいなどもおすすめです。毎日毎食のことですから、簡単なのが一番ですね。 ○噛む練習をする ひと口を少なめにしてお口に入れたら「よく噛んで食べようね」「ごっくんしたら食べようね」と声をかけて、保護者も一緒に噛む様子を見せてあげましょう。離乳食後期では、歯茎ですりつぶして噛み切るという機能が発達します。噛む回数が増えると満腹中枢を刺激することにもつながり、お腹がいっぱいになったという感覚を得られるようになります。 』




■泣く場合

<原因>

泣いてしまっても、体重が増えていれば食事量は足りていると判断しましょう。泣いている理由は、眠い、疲れてしまっているという場合もあります。もっと欲しいと泣く場合は、食への欲求だけではなく、楽しい遊びがなくなって機嫌が悪くなっているのかもしれません。



<対処法>

ご飯時のスプーンは、小さじにして回数を多くしてもよいでしょう。食事の量や時間を決めて、それ以上求めるときには、完食したことを褒めてあげてすぐに片付けて、他の遊びや好きなおもちゃを渡して気持ちを切り替えさせてあげましょう。泣いてからすぐに昼寝をするようならば、離乳食の時間を早めてみるとよいでしょう。食事の最後に汁物や麦茶など水分を飲ませてあげると、胃が膨らみ満腹感を与えます。



■便秘・下痢になった場合

<原因>

ウンチは健康状態や食事内容のバロメーターです。便秘や下痢になっても元気で機嫌がよければ、健康的には心配ありません。食べすぎによって便秘や下痢を起こす原因としては、丸飲みによる早食いや繊維質の摂りすぎにより消化が上手くいっていない可能性があります。



<対処法>

いずれにしても、まずは嘔吐の場合と同じように、形状や食べ方、適量を見直して工夫してみてください。その際に、授乳や水分補給は十分に行いましょう。それでも治まらない場合やひどい場合には、離乳食はやめてミルクだけで様子をみてみましょう。



同じ食材を食べすぎるとアレルギーになる可能性がある?

赤ちゃんがよく食べるものでは、乳製品、小麦、卵、大豆製品はアレルギーが起こりやすい食材です。そのほか、りんご、青魚などもアレルギーが起こりやすい食材です。ただし、何かの食材でアレルギーが出る場合、同じ食材を食べすぎて出たのかどうかははっきりしません。もちろん可能性はゼロではありません。 同じものばかり食べることで取り入れる栄養素の偏りが出てしまうので、できるだけ同じ食材に偏ることなく、また極端に避けることもなく、万遍なく与えることが大切です。 離乳食は食べる機能の練習です。もしかすると、これまでのやり方がうまくいかなくなったときはステップアップのタイミングなのかもしれません。いろいろな方法を試してみましょう。



執筆者:山本 ともよ(やまもと・ともよ) 管理栄養士・母子栄養指導士・サプリメントアドバイザー。株式会社 とらうべ 社員。妊婦や子育て世代へ向けた食の講習や、働く人への食生活指導を行う。一児の母。 監修者:株式会社 とらうべ 助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士などの医療職や専門家が在籍し、医師とも提携。医療や健康、妊娠・出産・育児や女性の身体についての記事執筆や、医療監修によって情報の信頼性を確認・検証するサービスを提供。
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