北海道内で廃止になった鉄道の線路跡を活かした観光スポットを2回に分けて4か所を紹介。2回目となる今回は、廃線で運転したり乗車できたりする名物観光スポットを2カ所紹介します。

【写真を見る】エンジン付きトロッコに乗って、旧国鉄美幸線を走行

1つ目は、道北の美深(びふか)町内を走っていた美幸(びこう)線の線路跡を活かした「トロッコ王国美深」でのエンジン付きトロッコの運転体験。2つ目は、十勝の陸別町などを走っていたふるさと銀河線の陸別駅付近の鉄道設備を活かした「ふるさと銀河線りくべつ鉄道」で、なんと本物の気動車列車の運転体験です。

■ 白樺林の中を自分で運転!「トロッコ王国美深」

美深町内を走っていた美幸線は、1964(昭和39)年に宗谷本線の美深駅から仁宇布(にうぷ)駅まで開業し、その先はオホーツク海沿岸の枝幸町まで延伸工事が進められていました。しかし人口が希薄な地域のため乗客が極めて少なく、日本一の赤字路線として有名になったほど。不採算路線ということで、枝幸町まで完成することなく1985(昭和60)年に廃止されました。

1998年平成10年)より、地元のNPO法人トロッコ王国美深」が仁宇布駅付近の線路跡約5kmを活かし、エンジン付きトロッコの運行を開始。自動車運転免許を持っていれば、トロッコの運転体験を楽しむことができます(免許がない人はスタッフの運転による乗車が可能)。廃線を活用した観光振興の先駆けとして注目され、現在まで長い間人気を保っています。

実際に体験してみましょう。本物のレールの上をガタンゴトンとジョイント音を響かせながら走るうえ、屋根や窓などがないオープンスタイルなので、臨場感たっぷり。ゆっくり走行していてもスピード感スリル感があります。白樺林の中を抜けたかと思うと川を橋で越える場面もあり、かなり本格的な運転体験。自ら運転し、自然の空気と線路の感触を堪能できるのが楽しすぎます!これは一度乗ったらまた乗りたい、また運転したいと思う、絶好の廃線跡です。

■ 本物の気動車を運転できる!「ふるさと銀河線りくべつ鉄道」

ふるさと銀河線は十勝地方の池田駅オホーツク地方の北見駅を結んでいた路線。歴史は古く、1910(明治43)年に網走線として一部開業。その後網走本線、池北(ちほく)線と改称し、長い間国鉄路線として運行されてきましたが赤字だったため、1989(平成元)年に第三セクターの「北海道ちほく高原鉄道(株)ふるさと銀河線」として再スタートしました。ところが沿線人口の減少や社会情勢の変化などにより収支が悪化したため、2006(平成18)年に廃止となりました。

廃止後、陸別町商工会が主体となって、途中駅の陸別駅跡と周辺の線路跡、さらに鉄道車両を動態保存すべく整備をし、2008(平成20)年より「ふるさと銀河線りくべつ鉄道」として運営を開始。旧陸別駅構内や近隣の線路にて、かつてこの路線を走っていた気動車を使用した乗車体験や運転体験を楽しめるようになりました。

運転体験はいくつかのコースがあります。なかでも人気がある「運転体験Lコース」では、指導運転士とマンツーマンで80分間の体験を楽しめます。気動車の説明や点検をしたのち、運転の見本を見せてもらったら実際に運転台に座って運転に挑戦!当然ながら、ゲームセンターや鉄道関連の博物館などにある運転シミュレーターとは全く別物。さすが実物、本物は違います。かなりゆっくり走行するものの、自分のハンドルさばきで加速したり減速したりするのでかなりドキドキ!リピーターが多く、夏を中心に予約が先々までびっしり埋まるというのも納得です。子どもの頃に将来の夢は列車の運転士だったというみなさん、ここに来れば叶いますよ。

北海道の廃線跡の観光スポット巡り、いかがでしたか?廃線跡へ訪れると、自ずとそこに鉄道があった歴史やその地域の風土などを知ることができます。仮にこの地に鉄道があって列車に乗るだけだと、通過して見過ごしていたかもしれない魅力に気づくことも。整備された線路跡を歩いてみたり体験乗車をしてみたりすると、単なる遊びにとどまらず、ちょっと知的好奇心をかき立てられます。ゆるっと鉄道旅を楽しむなら、時には廃線跡へ訪れてみるのも一興ですよ。

トロッコ王国美深 ■住所:美深町字仁宇布 ■電話:01656・2・1065 ※春から秋運行。詳細はお問合せを。

ふるさと銀河線りくべつ鉄道 ■住所:陸別原野基線69-1道の駅オーロラタウン93りくべつ内 ■電話:0156・27・2244 

※春から秋運行、プラン複数あり。詳細はお問合せを。

※掲載内容は2018年11月現在の情報です。(北海道ウォーカー・川島信広)

白樺林の中を快走!(トロッコ王国美深)