来年の統一地方選挙において、立憲民主党は「女性候補を4割出す」と発表した。また、国民民主党は3割にするという。各国ジェンダーランキングが最下位から数えたほうが早い日本にとって、女性の政治進出は社会進歩の一歩だろう。

 

■支援者が議員・候補にセクハラ

しかしながら、女性が議員になることを妨げるのは、有権者・支援者による女性議員・女性候補へのハラスメントだ。筆者はこれまで女性議員から聞き取りをしたが、以下のような実例を耳にした。

支援者がストーカーになった

 

・SNSで執拗に絡まれた

 

・地元周りでキスやハグを求められた。

 

支援者から体を触られた

 

・「下着をくれ」と求められた

 

これらは氷山の一角にすぎない。

 

■「美しすぎる都議」と言われた塩村あやか氏

塩村あやか

塩村あやか前都議会議員は、女性社会進出とハラスメントの問題について、次のように語る。

「女性議員を増やそうというけれど、初めはみんな大変だと思う。でも、『互いに支えながら頑張っていこうね』と励ましながらやっていかなければならないと思う。

 

私は他候補に比べたら若い女ということもあり、朝、駅前で演説をしているとき、いきなり『グー』で男性に殴られたことがありました。あるいは地元周りをしていると『キスさせてくれないか』『抱きしめてもらえないか』といわれることが、頻繁にあります。

 

毅然というより、丁寧に『それはできないですよ』と伝えるようにしています。若い女性が議員を志すと、私が受けてきたようなハラスメントや暴力に遭うこともある。

 

だから、女性議員は増えてほしいけれど、苦労が痛いほど分かるから、女性に『議員になろうね』とはなかなか誘えないのも事実です」

■「下着をくれ」とメール

次に語るのは、元衆院議員の三宅雪子氏だ。

「『下着をくれないか?』といわれたり、メールされることはけっこうありますよ。あと、支援者が執拗にからんでくる。メールを送ってきて、たいした内容なので返信しないと『なぜ返さないのだ』と怒られることもあります。

 

私はTwitterはじめFacebookをやっていますが、私がその日何をしていたか、チェックして公表している人がいます。ここまで来るとストーカーですよね」

 

■『恋のから騒ぎ』出身区議が受けたセクハラ

恋のから騒ぎ』(日本テレビ)第13期メンバーの倉田れいか練馬区議も、苦言を呈した。

「セクハラについてですが、これまでに3期12年、3回の選挙を経験してきた中での経験談でありますが、街頭演説での付きまとい、20代のころはナンパのようなものもありました。

 

会合では、結婚し子供をつくったら、『そういうことしなきゃ、子供はできないよね〜』と、下ネタ交じりでからかわれたこともあります。産後、母乳のため胸が大きくなったねと言われたこともあります。

 

会合でのカラオケによって肩を組むだけでなく、胸の横に手をまわされたこともありました。ハラスメントにあわないためにも、服装にも注意しています。

 

日頃の活動で動きやすさ重視でパンツスタイルが多いのですが、たまにスカートを履く。そうすると珍奇の目で見られますね。私自身としてはセクハラと感じませんが、こういったこともセクハラに該当するようですので、参考までにお伝えします。

 

基本的に思い悩むほどではなく、多少のことは聞き流しているのが現状です。言いやすい人には冗談交じりで、『それはセクハラになるので世間では言わないほうがいいですよ』と伝えたりしています」

■SNSによって美人議員がアイドル化

女性議員ハラスメント被害に詳しいフェミニストの高橋昌美さんは語る。

「SNSの出現によって、政治家が気軽に連絡できる相手になり、いわゆる美人議員は手の届くアイドルような状態になってしまった。

 

私はデモや集会をよく取材しますが、日本共産党の吉良よし子さん塩村あやか前都議といった美人議員と呼ばれる女性の写真ばかりを撮る追っかけが何人もいるのを目の当たりにしました。

 

おまけに、議員は公に報じる職。だから、相手のプライベートなどおかまいなしで、メッセージを送ったら返信して当たり前、体を触れるのも有権者とのふれあい・スキンシップと勘違いしてしまう。

 

議員にとってはSNSは武器ですが、炎と同じで取り扱う技術が必要で、下手をすれば火傷する。政治家がネットを通じて有権者と近づきすぎることは、時に危険を伴うと自覚すべき時かもしれません」

 

■有権者の中にもある蔑視

女性議員や候補が増えたとしても、有権者の変化こそが重要だと語る。

「また、女性議員を増やそうという気運が盛り上がり、来年の統一地方選挙で、立憲民主党は候補者の4割は女性にすることを決めました。国民民主党は候補者の3割を女性候補にするとしています。

 

日本はジェンダーランキングで常に下位にあり、女性が政治進出するのはまことに喜ばしいことです。

 

しかし、有権者の中にもある『女性への蔑視・ハラスメントをしても公人なんだから構わない』という意識が変わらなければ、女性候補が被害に遭うケースが増えるでしょう。

 

会社内や大学のセクシュアル・ハラスメント対策は『セクハラ』という言葉が流行語大賞に選ばれたときよりは、かなり進みましたが、女性候補・女性議員へのハラスメントの意識は低い。

 

啓発していくことが必要なのではないかと思います。このような『女性議員ハラスメント』がなくなり、真の意味で多様性が尊重され、多彩性が発揮されることを希望します」

・合わせて読みたい→小川直也氏と松野頼久元官房副長官の美人妻に密会疑惑 「政界の渡り鳥」関係者が激白

(取材・文/しらべぇ編集部・及川健二 取材協力/武野武志)

「キスさせて」「下着くれ」 女性の政治進出を阻む「支援者によるハラスメント」の実態