政府が自動運転車への装着義務化を検討しているEDR(イベントデータレコーダー)のデータ読取装置のBOSCH社のCDR(クラッシュデータ・リトリーバル)。そのCDRの国内の第一人者とも言われるCDRジャパン株式会社ブリッジ 代表 藤田隆之氏とCDRのアジアパシフィックの責任者をされているボッシュ株式会社 セクション・マネージャー 里 廉太郎 氏をお迎えし、今話題の先進運転支援システム搭載車に関するエーダスビジネス最前線について大いに語っていただきました。
スピーカー
・ボッシュ株式会社 オートモーティブ事業部 テクニカルサービスサポート
 セクション・マネージャー 里 廉太郎 様
・CDRジャパン 株式会社ブリッジ 代表取締役 藤田 隆之 様
株式会社MGH 池田貴徳 様

<会場>
グランメッセ熊本(くまもとツールショー2018、主催:オートアライアンス

https://youtu.be/SJAkITe6CzI

<セミナー内容>

藤田氏 私、CDRジャパン株式会社ブリッジの藤田と申します。ボッシュ認定のCDRトレーナー業務を行うと共に、皆様のCDRのレポートの解析業務も行っています。
本日は、ボッシュ株式会社よりオートモーティブアフターマーケット事業部テクニカルサービスサポートマネージャーの里廉太郎氏とボッシュ認定CDRトレーナーの池田貴徳氏(株式会社MGH)の三人で、皆様にCDR/EDRのことをお伝えしていきたいと思っております。

このCDR/EDRがどういうツールなのかということですけれども、私はCDRのトレーナーをやっている傍ら、ボッシュカーサービスもやっておりまして、整備事業の視点から見た新しいサービス、これからここ5年ぐらいでどう変わっていくのかということも含めて皆様にお伝えをしていきます。

皆様ご存じのように、2024年からのOBD車検ということで、これまでと若干変わった車検の進め方、それに加えCDRとかADAS、エーミングとかですね、様々な自動車整備事業に関わる整備の仕方、仕事の在り方そのものがこれから変わっていく。その入り口としてCDR/EDRというものがあるのですが、このあたりを詳しくお伝えが出来ればなと思います。

ここで、CDRの日本のマスタートレーナーと言われているボッシュの里廉太郎より、これからの流れを説明をしてもらいたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
里氏 藤田さん、ありがとうございます。ボッシュから参りました里廉太郎と申します。私、ボッシュ日本法人でアフターマーケット事業部のテクニカルサービスサポートマネージャーをさせていただいておりまして、CDRのアジアパシフィックサウス、シンガポールからアジア全般のCDRのプロジェクトリーダーもさせていただいております。

私の方から、ボッシュから見た今後の自動車整備業界の流れというお話と、先ほど藤田さんから説明いただいた「CDR/EDRって何?」というあたりまで、ちょっと話をさせていただきたいと思います。

まず、ボッシュという会社をご存知ではない方はおられないとは思うのですが、私共まだまだ努力が足りなく、どういう会社かというのは結構知られていないというところがございますので、ちょっと簡単に説明をさせていただきます。
ボッシュという会社はドイツにございまして、全世界に開発拠点が129拠点、実際の子会社・関連会社合わせたら440社、売上高は10兆円ほどございます。

部品業界の中の部品のシステムサプライヤーの世界一番の会社にならせていただいております。ですので全世界で40万人の社員がおりまして、10兆円の売り上げでもって、自動車関連の色々なシステムを開発しているというのが全世界の話です。

日本に関しましては、実は1911年第一次世界大戦の前に上陸しておりまして、実はディーゼルの噴射ポンプとかの部分の特許を持っていたりしていまして、日本には日本政府とドイツ政府との協定の中で2011年に日本に上陸させていただいております。

今、日本で2670億円ほどの売り上げがございまして、社員は約6600人、という会社でして、メインでは、安全性、快適性、経済性という分野に分かれたモビリティソリューションズという車のシステムの開発をしております。
アクティブセーフティで言いますとADSだったりBSPだったり、ステアリング、パッシブセーフティというところでエアバックECU、加速度センサーとか、ワイパー、最近はやりのADAS、ドライバー・アシスタンスシステムですね。カメラ、ミリ波レーダー超音波センサーブレーキシステムドライバーインフォメーションといいましてナビゲーションの内側、そういった色んなものを作っております。

そして、車で言いますとエンジンシステムディーゼルだったり、ガソリンだったり、ハイブリッドだったり、色々とやらさせていただいております。あとデノックスとか、という形をやらせていただいてております。

実は、その中に私がいるアフターマーケットという事業部、車の販売がされてからメンテナンスの部分を見させていただいております。ボッシュカーサービスというネットワークもございまして、今日のお二人のトレーナーの方はボッシューカーサービスメンバーでもございます。

という形で、これからですね、ボッシュが本社の方でリサーチして、今後こうなるであろうということをちょっと説明させていただきたいと思います。
車のネットワーク化がもたらす効果についてということで、これから色々と言われてると思いますコネクティッド。自動運転だ電動化だとか、色々なこと言われてると思いますが、その中でコネクティッド、車のネットワーク化が起こることによってどうなるんだろうかという未来予測になります。
スイスのコンサルティング会社と一緒にやった、2015年にどうなっているんだろうという予測になります。まず、既存アシスタンスと安全支援システムデータベースとして活動を予測しています。

というところでESC、スタビリティコントロールは調査対象の三か国、中国・ドイツアメリカの三か国において、2025年までに普及率が登録車両ベースで最高90%に達成しますと。(センサーベースの)自動緊急ブレーキとレーンアシストの装備率は、最高で40%までなると。ネットワーク化がどんどん進んで、2025年に車載インフォテインメントシステムのほぼ100%の割合で、ネットワーク化というのが統合されていくという風に考えております。

これは中国入ってますので、日本で言いますと、多分これよりも比率が高い状態になっていくと考えています。ではコネクティッドとなったらいいこととして何が起こるのかといいますと、まず死傷事故。死傷事故に関しては、年間26万件が減少するのではないかと言われております。アメリカで21万件、中国で2万件、ドイツ3万件、その分減少していくんじゃないかと考えております。
この件数というのは、ドイツの首都ベルリンで発生する事故のほぼ2倍に相当しますと言う部分です。どんどん事故が減っていくんじゃないかと。

逆に言うとそれがモチベーションでもあります。安全にしていくということを考えていますので。人命救助効果は約1.1万人、交通死亡負傷者の減少効果は約36万人だと考えております。
ここから多分、皆様のところに直接関係してくる部分だと思いますが、ネットワーク化されたアシスタントシステムによる資材損傷コスト削減率。これは事故修理の直接的な影響のことです。
事故修理がどれだけ減るかというので言いますと、最高43億ユーロ(約5540億円)減少するだろうと言われております。実はそれは2016年に中国政府が首都北京の大気汚染のために使った資金のほぼ倍です。

こういった目的というのは、何か社会の役に立つために技術開発をしますので、安全にするためにコネクティッドをしていたりとか、自動運転をしてたりとかします。引いて考えていくと、整備業界においてはそれだけ損失のお金が少なくなるということで、もしかしたら業務が少なくなる可能性がある。

実際、経費節減効果は保険会社の保険金支払い額の大幅な減少、ひいては車両所有者の自動車保険料の負担引き下げにつながる見込みですと。実際どれだけ損失を防げるかというと、アメリカで36億ユーロ(約4640億円)、中国が3.8億ユーロ(約490億円)、ドイツが4.5億ユーロ(約580億円)。

また、スマートフォンのインテグレーション(よそ見して事故したりする人)が結構いますので、そういったところで、6.1億ユーロ(約790億円)以上のコストダウン効果が見込めると試算しています。

アフターマーケットの私からしますと、とても怖い数字です。その分の仕事がなくなるんじゃないかという風に考えてしまいますが、実際そうなのでしょうか。実際これがモチベーションとなってどんどん安全になっていくと思うのですが、これから、そのあたりの話をしていきたいと思います。
既存の事故修理は減っていくと思います。それはもうそういう流れですので、そこは変わりようがないと思います。ここからお話しするCDR、事故記録データ解析世界ナンバーワンツール。ちょっと自分たちで調査した結果を言っていますが、このCDRとはそもそも何なのか、という話を簡単にさせていただきます。

まず、EDRという聞きなれないことから話を進めていきますが、飛行機が事故を起こして事故解析をする場合は何をするでしょうか。よく皆様、ブラックボックスっていう言葉をテレビとかで聞いたりすると思います。
飛行機が不幸にも墜落してしまいました、そうするとやることというのは飛行機の損傷を測定するためにバラバラになった部品を集めます。そして、事故現場検証ということで落ちた場所の調査をします。

飛行機の損傷の部品を集めて現場検証するだけで、何が起こったかとか分からないですよね。ですので、ほとんど、ブラックボックス、コックピットボイスレコーダーと言われるパイロットと管制塔との言葉のやり取り、どういうことが起こっていたのかという音声の記録と、アクシデントデータレコーダー、別名フライデータレコーダーと言われる飛行機の操縦・運行記録を回収するということが行われると、よく言われています。

自動車の事故解析の場合どうなのかと言いますと、まず自動車の損傷を測定します。車ぶつかって事故した車が、皆様の鈑金工場・整備工場に入ってくる。そうすると保険会社の方が来て、写真を撮ったり事故の場所を確認したりすると思います。飛行機と同じで損傷を測定します。

そして、主に警察官の方、後で調査の方が行く場合もありますが、現場検証しますね。この交差点で信号どうだった、どういう交差点でと、絵を描いたりされると思います。これは事故の現場検証。そこからドライバーの証言を収集しますね、基本的に警察の方が。

そこから、保険会社の方がどういった事故でしたかという話をされると思います。そこで基本的に事故の調査は終了。じゃあ、事故時の運転記録ってどうなってましたっけと。

人というのは「すぐ忘れることができる」、もう一つは「勘違いをする」という二つの大きな特徴がございまして、事故が起きた時は大体気が動転するのか勘違いをして、例えば「私はブレーキを踏んでいた」「相手が勝手に突っ込んできた」とか、色んな事が言われます。

飛行機の場合は、ボイスレコーダーで撮っているので何を言ったかの記憶されてるんですが、車のプライバシーの観点からそういったものはしてませんので、ドライバーの証言だけ聞いていると「誰が悪かったのかな?」という話になると思います。

じゃあ、どうやって判断するのかというと、実は車にもイベントデータレコーダーという記録装置が積んでありまして、そのデータを読むことができます。このイベントデータレコーダーというものがEDR(事故の記録データ)で、車側に搭載してるものになります。
このイベントデータレコーダーとはどんなものかと言いますと、事故発生時の車両の状態を記録する装置です。ですので、何時何分、どこどこのコンビニに行ってとか、助手席にどういう感じの人が乗ってといたということは記憶してません。基本的に、事故に関わる直前のデータを記録してるものです。

クラッシュトリガーと言われる、ある一定の加速度を検知し遡って5秒前から、事故してから事故の収束する間、大体前方側突で200~300ミリ秒ぐらい。横転で長ければ、200ミリ秒ぐらいという形のデータを記録いたします。
これで何が分かるかといいますと、プリクラッシュデータ(事故より前の情報)で事故発生時までの状態、ドライバーがどういう操作をしてたのか、ブレーキを踏んでたのか、アクセルを踏んでいたのか、ハンドルをどっちに切っていたのかとか、そういった情報が分かる。あと、ポストクラッシュデータ、事故の衝撃を検知してから、どれだけの大きさの事故で、いつエアバックが展開して、いつ止まったか、というのが分かるようになっています。

事故の大きさ、入力角度、エアバックの展開時間等が分かるというものになり、そのEDRデータを読み出すツールが、こちらのCDR、クラッシュデータリトリーバルというデータの読み出しをするツールになります。

これは、基本的にスキャンツールとほぼ同じ形です。スキャンツールみたいにデータを読み出して、最後だけ違うのがスキャンツールはレポートは出さないのですが、これは勝手にレポートを作って出してくれます。このレポートを元に、事故の原因調査をするというのがCDRです。

アメリカでは実は、1999年頃から始めておりまして、GMさんとボッシュとCDRの開発をスタートしています。アメリカでは2012年に法規化がされておりまして、ボッシュのCDRがアメリカで17メーカー対応しております。今年の末に2メーカーが追加対応の予定をしておりまして、市場のほぼ9割がボッシュのCDRで読み出せるようになっております。
これは、アメリカで法規があるので、17メーカーひいては19メーカーになるというとこなんですが、日本で言いますと法規が出来ていませんので日本で対応してるメーカーさんはGMさん、フォードさん、クライスラーさん、トヨタさん、ボルボさん、アウディさん、フィアットさんの車が読むことができます。

これが今、法規化に向けて進んでいくと私共は考えておりまして、早ければ2020年頃にアメリカと同じようなEDRの読み出しの法規が入るんじゃないかと。そうすると、同じくらいのメーカーカバーになるんじゃないかと見込んでおります。

藤田氏 里さんありがとうございました。という訳で、このCDR、基本はインターフェースということで、皆さんが普段お使いになられているような診断機で故障診断するように車両に接続すると、エアバックECUの中に書き込まれている十六進データを抽出して、レポートを出すというツールになります。

我々も、皆さんのようなこっちの(整備士としての)立場としてお話をさせていただければと思っているのですけれど、私もこの世界に入りまして、27~28年ずっと自動車整備で生活をさせていただいております。ちょっと20年前を振り返っていただくと、今のように携帯電話とかスマートフォンとかパソコンとかインターネットとか、まだまだ今ほど普及していなかった。

本当、昨日のような出来事なんですけども、そこから3年経ち5年経ち、時間の経過とともに色んなものの出現で、皆さんの生活が変わってきたんじゃないかなというふうに思います。

今現在もそうなんですけれども、何か新しいこと、新しい物、新しい言葉とか聞いた時に、まず初めにグーグルなどネットで調べてみるとか、買い物をするときに値段を調べてみるとか、パソコン使ったりとか、ネット環境とかにシフトされてきているんじゃないかと思います。

我々の生活も実は、バッファリング(一時的に情報を記憶する装置や記憶領域のこと)されてまして、コンビニに行ってもそう、駅に行ってもそう、何時何分に通過したかとか、そういうことも、実はバッファリングされていて、ずっと記録を取られているというのが現在の流れなんじゃないかなと思います。

それで、このCDRを運用されるにあたって、里さんが先ほど言われました通り、2020年あたりから法規化されるんじゃないかなと、色んな話があっちこっちで出ております。おそらくこのあたりも、自動運転化に伴う読み出し記録装置ということで、日本もアメリカのようにEDRを搭載する車が今後出てくるんじゃないかなと思っております。

その中で、我々が自動車整備業として、どういう風に変化していく時代についていけばいいのかということだと思います。20年前を考えたときに、ツールを買えば、この工具があれば、この設備があれば、こういう仕事が入ってくるという形で進めてきた業界じゃないかと思います。

昔はツールを手に入れれば仕事ができたんですけれども、これからはトレーニングとかを受け、知識とツールと双方を合わせてビジネスをやっていく必要が、今後出てくるのではないかと思います。

今日は時間もございますので、我々自動車整備をやっている人達と、メーカーさんと、どういう風に時代が変わっていくのかというようなことを、座談会形式でキャッチボールしながら進めていきたいと思います。

その中で、これはどういう仕組みでどうなっているのかとか、そういうこともCDRの資料を用意しておりますので、残りの時間で進めていこうかと...

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