JR東日本が来年3月に新設する特急電車の名称が「富士回遊」になることがわかった。その「富士回遊」は中央線の東京・新宿駅と、富士山への玄関口となる富士急行河口湖駅を結ぶ電車である。13年には富士山世界文化遺産に登録され、外国人観光客も急増。それもあって「富士回遊」はインバウンド振興における目玉の一つとも目されている。ところが、一部からその名称に異論が出ているというのだ。海外駐在歴のあるライターが指摘する。

「問題はアルファベット表記にあります。というのも『Kaiyu』という単語は外国人には読みづらく、しかも発音しづらいのです。『カイユウ』と読んでもらうことはほとんど期待できず、よくて『カイーユ』。むしろ『ケイーユ』と読まれることでしょう。これでは新宿駅で『どこでケイーユに乗れますか?』と訊かれた日本人も面食らうことは確実。このご時世、外国人観光客を意識しないネーミングをしてしまうセンスには、首をひねらざるを得ませんね」

 JR東日本では最近、山手線に新設する駅名を「高輪ゲートウェイ」と発表し、安易に英単語を取り入れていると世間からの猛反発を浴びたばかり。それが今回は純日本風の名称を付けたつもりが、やはり英語の面から批判される始末だ。しかもこの「富士回遊」という漢字表記に関しても、センスを疑われるというのである。

「日本語の『回遊』には“方々を観光する”という意味もありますが、中国語では魚が定期的に移動すること、つまり“回遊魚”の意味しかないのです。そのため富士山観光の一大ボリューム層である中国系観光客は、『富士回遊』という列車名を見て『オレたちは魚か!?』と思うことでしょう」(前出・ライター)

 日本語だけで考えたら「富士回遊」は決して悪いネーミングではないだろう。しかし今や、日本の鉄道業界は海外からのインバウンドを意識せずにはいられない時代になったようだ。

(金田麻有)

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