中国政府が最重要課題と位置づけているものの1つに農業の振興が挙げられる。李克強首相も「農業基盤がぜい弱だ。イノベーションで農村発展の新たな原動力を育てる」と述べているが、それだけ、中国の農村は発展が遅れているということだ。

 一方、日本の農業は中国人から見て「かなり進んでいる」と映るようで、中国メディアの快資訊は14日、「日本の農業は変態的」との表現で、中国より「50年は進んでいる」と紹介する記事を掲載した。中国では日本からの外来語として「変態」という言葉が広く使われているが、良い意味でもある意味でも「常軌を逸している」というニュアンスで使われている。今回の意味としては「日本の農業は極めて競争力が高い」という称賛の意味をもっている。

 記事がまず指摘したのは「収入面」だ。日本では多くの農業従事者が都市で仕事をする人の収入を超えていると記事は主張。農村部の公共施設もよく整っており、この点からも農業の発展レベルが良く分かるとしている。具体的には、「日本の農家の平均年収は756万円だ」と紹介。これは北海道の農家の平均収入のことを指しているようだが、実際には農家の収入にはかなりばらつきがあるのが現状だ。とはいえ、中国の農家と比べるとかなり高い水準だと言えるだろう。

 また、「土地利用」の面でも日本は中国より進んでいると記事は指摘。日本人は「自然に対する敬意」を持って土地を利用・開発しており、合理的に土地を使用して休耕するなどしているため、子孫に財産を残すことができているとした。この点、中国は農業面でも「とにかく稼ぐこと」が優先されるため、化学肥料を乱用し土地が痩せてしまうケースが少なくない。

 さらに、記事が指摘した「50年どころの差ではない」というのが「農作物の品質」だ。日本では自然食品などが多く、有機野菜も多く栽培されているが、記事は「日本の農業生産者の最重要目標は質の追求だ」と論じ、この点での日中の差は非常に大きいとした。

 最後に記事は、中国の農業従事者に対し、自然を敬い、利益を追求すると同時に品質向上にも努めることの重要性を強調している。中国の農業における農薬や化学肥料の過度の使用や、成長や成熟を速めるための薬品の使用などがたびたび問題になっており、多くの消費者が「安心して口にできない」と感じている。中国はまず、安全な農作物を作るところから始めるべきだと言えるだろう。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)

日本の農業との差は「50年どころじゃない」、その競争力は変態的=中国メディア