巨人は14日、自由契約となっていた上原浩治投手と再契約した。10月29日に巨人から自由契約となり、1カ月半あまりでの復帰。日本球界では不自然にも映った動きに、一部ファンからはネット上である憶測が飛び交っていた。

 FA選手獲得で生じる人的補償のプロテクト名簿からの、一時避難である、と。

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 上原は契約した14日に自身のブログを更新。そこで以下のように言及している。

 「このことで、また訳の分からない憶測が飛んでますね。自由契約になって、プロテクト外しが目的ではないかと。球団がどう考えていたかは、自分には分かりませんが、何も裏はないですよ。自由契約になってから、他の球団から話は無かったですし、ここでもし話があれば、いろいろ考えることはあったでしょうね」

 また各メディアの報道によれば、巨人の大塚淳弘球団副代表兼編成担当も同日にこの憶測を否定したという。

 巨人は実際に上原を自由契約とした後、11月下旬に西武から炭谷を、12月上旬に広島から丸を獲得した。両選手とも人的補償を要求できるBランク以上の選手。プロテクトした28選手や新人、外国人などを除き獲得可能な選手の名簿を両球団へ送った。その直後に上原と再契約したため、タイミング的にも憶測を呼ぶこととなった。

 選手である上原本人が憶測を否定したのは分かる。仮に自由契約とした後、人的補償の名簿提出後の再契約を口約束されていたとしても、一度自由契約となれば他11球団は手出しできる状態。その間オファーはどこからも届かなかったと明かしている。

 だが、チーム側はどうだろうか。そもそも、今回の件が憶測通りに人数調整だったとしても、ルールで禁止されている行為ではないし、何ら引け目を感じる必要はない。「抜け穴」と映ると姑息な印象を与えがちだが、その抜け穴を巧みに見つけて突くことこそ優れた運営である証明ではないだろうか。

 大谷翔平メジャー挑戦する1年前、大リーグで新労使協定が合意に達し、25歳未満の大谷が移籍した場合は大幅に契約金が制限されることが明らかになった。ロブ・マンフレッド・コミッショナーは「例外はない。大谷獲得も同様。密約は結べない」と日米で注目を集めるであろう大谷の交渉劇に釘を刺した。一方で米メディアは「各GMは抜け穴がないか、巧みに精査し始めている。過去のどんな新ルールにも、必ず抜け穴があった。そこをいかに見いだすかが彼らの腕の見せ所だ」と報じていた。

 繰り返すが、もし人数調整だったとしても、巨人サイドは何一つ悪いことはしていない。むしろ、こうしたことで現行のFA制度へ新たな問題点を提起するきっかけになるだろう。逆にこの抜け穴に初めから全く気付いていなかったのだとしたら、運営サイドの人間としては能力が低いと露呈してしまっているようなものだ。批判的だったネット上の世論に忖度し、潔白を声高に主張する必要はそもそもない。

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

巨人・上原再契約、仮にプロテクト外しが意図的なら優秀な戦略 新たな問題提起