【データで診るサッカー】個人スタッツの上位者を総合的に判断して11人をセレクト

 2018年シーズンのJリーグは、川崎フロンターレの連覇で幕を閉じた。18日に開催されるJリーグアウォーズでMVPやベストイレブンが発表されるが、今回Football ZONE Webではデータ分析会社「InStat」の数値を元に、様々な部門の成績上位者を総合的に分析し、独自の年間ベストイレブンを形成してみた。

■GK

 ベスト守護神はサガン鳥栖のGK権田修一だ。失点数で言えば、権田はリーグ戦最少失点(24)の川崎フロンターレGKチョン・ソンリョンに比べて10失点多い。しかし、セーブ数では権田がリーグ7位タイの95回、セーブ率でもリーグトップの73.64%とチョン・ソンリョン(セーブ数55回、セーブ率69.62%)を大きくリード。クリーンシートではチョン・ソンリョンの14回(リーグ1位)にわずかに及ばない12回だったが、かたやリーグ優勝、かたや残留争いというチーム状況を踏まえれば、いかに権田の健闘が光っていたが分かるだろう。

■DF

 最終ラインは、北海道コンサドーレ札幌のDF福森晃斗、川崎のMF谷口彰悟、ガンバ大阪の日本代表DF三浦弦太による3バックとした。3人とも失点に直結するミスがゼロとシーズンを通して安定したプレーを披露し、谷口と三浦とはフィールドプレーヤーで5人しかいない全試合フル出場を果たしている。

 福森は左足の精度に定評があるが、それはデータにも反映されている。DF部門2位の6アシストだけでなく、キーパス(枠内シュートにつながるパス)数は全体2位の82本をマーク。DF内では次点のセレッソ大阪DF丸橋祐介の56本(全体13位)に大差をつけている。ロングボール成功数に関しても、DF内1位の181本となっており、2位の清水エスパルスDFファン・ソッコの136本を大きく引き離す結果となっている。

 谷口はインターセプト56回(5位)、クリア数177回(6位)、シュートブロック数23回(11位)と最小失点をマークした川崎守備陣を牽引。ロングボール成功数も全ポジションで5位となる127回と攻撃でも存在感を示した。一方で、三浦が所属するG大阪リーグ9位の46失点だったが、三浦の守備スタッツは突出。クリア数でリーグトップ(199回)、インターセプト数65回もDF内2位、空中戦勝利数(114回)はDF内1位と上位にランクインした。

シーズン16位と苦戦の磐田を支えた田口は守備面のスタッツで上位にランクインと奮闘

■MF
ウイングバック>
 ウイングバックは左に横浜F・マリノスDF山中亮輔、右に柏レイソルMF伊東純也とした。

 横浜FMアンジェ・ポステコグルー体制の下で攻撃的サッカーを追求。“偽サイドバック”としてチームの中核を担った山中は、リーグ6位の8アシストに加え、ビッグチャンスクリエイト数も同5位の10回をマーク。スプリント回数も総数(800回)、1試合平均(25回)ともにリーグ4位で、その活躍が認められて日本代表にも初選出された。

 伊東は柏で右ウイングを主戦場とし、持ち前の爆発的なスピードでサイドを疾走。10アシスト、ドリブル成功数75回ともにリーグ2位、さらに地上戦勝利数も178回で全体2位とデュエルの強さも見せつけた。

ボランチ>
 2ボランチを組むのは、ジュビロ磐田MF田口泰士と川崎MF中村憲剛だ。シーズン16位でプレーオフに回る難しいシーズンを送った田口だが、タックル数はリーグ1位の84回をマーク。インターセプト回数が同2位の78回、地上戦勝利数も同3位の162回と、守備面でチームを牽引した。

 川崎のバンディエラである中村は、アシスト数こそ14位タイの6本だが、ビッグチャンスクリエイト数は16回でリーグトップ。さらにパス部門においても、キーパスで1位(96回)、成功本数で4位(2147本)、敵陣成功本数は1位(1600本)、ファイナルサードへのパス数で2位(832本)、クロス成功数も5位(60回)とトップ5にことごとく顔を出した。まさに年間MVP級の数値を叩き出したと言っていいだろう。

2トップは得点1位・2位のジョーパトリック、トップ下は川崎の攻撃を牽引した家長

■MF
<トップ下>
 川崎のMF家長昭博は川崎の前線に違いを生み出す存在だった。リーグ9位のアシスト数(7本)に始まり、ドリブル成功数(43回/7位)、ビッグチャンスクリエイト数(11回/3位)、キーパス数(61本/7位)、パス成功数(2018本/5位)、ファイナルサードへのパス本数(854本/1位)と上位にランクイン。敵陣でのパス成功本数も同僚の中村に次ぐ2位の1580本をマークし、リーグ連覇に大きく貢献した。

■FW

 2トップは広島FWパトリック名古屋グランパスFWジョーのブラジル人コンビだ。得点ランク2位の20ゴールを決めたパトリックは、リーグ1位の決勝ゴール数(7)を挙げ、ゴールを決めた試合の勝率は71.4%(10勝3分1敗)とエースとして存在感を発揮。空中戦勝利数も334回と、2位のジョー(202回)、3位のジュビロ磐田FW川又堅碁(158回)を大幅に上回る数値を叩き出した。

 ジョーはJ1初挑戦ながらチーム総得点(52)の46%を占める24ゴールで得点王を獲得。決定率26.37%と猛威を振るい、8月には7試合連続ゴールの離れ業をやってのけた。(Football ZONE web編集部)

(左から)GK権田、DF山中、MF家長、MF伊東、FWジョー【写真:Getty Images&Football ZONE web&荒川祐史】