エスカレーター(RonFullHD/iStock / Getty Images Plus/写真はイメージです)

JR東日本は17日から2月1日までの期間中、転倒などの事故を防止するため「エスカレーター歩行対策」の試行をスタートさせた。

 

■「手すりにつかまりましょう」

試行期間中は、東京駅中央線ホームに通じるエスカレーター2基と、京葉線ホームに通じるエスカレーター4基で実施しているようだ。

「お急ぎの場合は階段をご利用ください」「左右2列でご利用ください」といった大型掲示物も設置され、手すり部分や乗車口付近ではイラストや文字で「手すりにつかまりましょう」と注意喚起を促す。さらに21日までの5日間は、警備員による声掛けや巡回も行うという。

 

■「片側空け」の1960年代

日本においてエスカレーターの「片側空け」はいつから始まったものなのだろうか。所説あるようだが、阪急電鉄梅田駅が移転しエスカレーターが長くなった1967年頃、「急ぐ人のために、片側を開けること」と呼びかけたのが発祥だと言われている。

のちに、1980~90年代には、東京で深い地下鉄駅が相次いで誕生し、エスカレーターが増えたため、片側空けが普及するようになった、とか。

■転倒や転落の事故が続出…「手すりにつかまろう」

しかしエスカレーターでは、片側を歩くことで人や荷物にぶつかるなどの理由で転倒や転落による事故が目立ち「手すりにつかまろう」キャンペーンを始め、ポスターなどで啓発してきた。

2017年には、国土交通省が「エスカレーターの転落防止対策に関するガイドライン」を策定し、エスカレーターの両側に立ち止まって乗ることを呼び掛ける「歩行対策」を行っている。

「病気や障害によって、左半身が不自由な人のように、右側に立ち止まって乗りたい人がいる」ということも忘れてはいけない。

 

■2020年までに「歩行禁止」

2020年の東京五輪パラリンピックの開催までに「片側空け」をなくすことを目標にしているという。

かつて鉄道会社各社が「片側空け」を奨励し、片側を空けることが「マナー」として浸透した行動を、現在は「歩行禁止」を呼び掛けている。一度根付いた習慣を変えるということは、簡単なことではないだろう。実際に戸惑う利用者も少なくないそうだ。

 

■交通機関「マナーが悪そう」と思われているのは…

公共交通機関ではエスカレーター問題のみならず、「リュックを背負ったままか下ろすべきか」「女性のメイクはみっともないか否か」など話題になることも多い。こうしたマナーは、どの年代が「悪そう」と思われているのだろう。

そこで、しらべぇ編集部は全国20〜60代の男女1,361名を対象に調査を行った。結果、もっとも「マナーが悪そう」と思われているのは10代で4割を超えた。全体の7割は「10代、20代の若者たちのマナーがよくない」と考えていることがわかる。

マナー

一方で50代も含めると、およそ3割は「50代以上の中高年がいちばんマナーが悪い」と感じていることがわかる。

世代関係なく、世界中から様々な人が集まる2020年までに「右側に立ち止まって乗りたい人がいる」ことを念頭に置き、配慮することこそが「おもてなし」なのかもしれない。

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(文/しらべぇ編集部・長谷川 瞳

【調査概要】 方法:インターネットリサーチ「Qzoo」 調査期間:2017年2月24日~2017年2月27日
対象:全国20代~60代の男女1,361名(有効回答数)

東京駅のエスカレーターで「歩かないで!」の呼びかけ 歩行禁止は「おもてなし」になるのか