中村が明かした思い「JチームのACL2年連続優勝は、嬉しい反面、悔しい」

 今シーズンのJリーグの表彰式である「2018 Jリーグアウォーズ」が18日に横浜アリーナで開催され、リーグ2連覇を果たした川崎フロンターレがベストイレブンに7名が選出された。MVPをMF家長昭博が初受賞するなど、今季のJリーグをいかに席巻していたか象徴する個人賞となった。そうしたなか、鹿島アントラーズの選手はFIFAクラブワールドカップ(W杯)出場のためアウォーズを欠席。川崎の選手たちは世界の舞台で戦う“戦友”にエールを送った。

 鹿島からはベストヤングプレーヤー賞にMF安部裕葵、ベストイレブンにDF西大伍が選出。しかし、両者はともに現在アラブ首長国連邦UAE)でクラブワールドカップを戦っているため、当然の欠席になった。現地時間19日、欧州王者レアル・マドリードスペイン)との準決勝が控える。前回出場の2016年の日本開催では、開催国代表として決勝まで勝ち進み、延長戦で敗れた相手だ。

 そうした舞台で戦う鹿島の選手たちに、川崎のベストイレブン受賞者たちも大きな刺激を受け、感慨を受けているという。昨年の浦和レッズ、今年の鹿島とJリーグ勢がAFCチャンピオンズリーグ(ACL)で2年連続優勝を果たしているにもかかわらず、川崎は達成できていないという事実も心にあると話す。

「一昨年、鹿島がレアルと横浜ですごく良い試合をしたことはすごく覚えている」というMF中村憲剛は、「去年は浦和がACL優勝して、今年は鹿島。JリーグチームのACL2年連続は、嬉しい反面、悔しい。僕らはJリーグチャンピオンとして(今季の)予選で敗退しているので。勇気をもらっていると同時に悔しいというか。Jクラブの一員としてすごく応援しているし、Jリーグの可能性を見せてほしい」と、その思いを込めてエールを送った。

鹿島の戦いぶりに川崎の選手たちも刺激 「レアルと対戦、勇気づけられる」

 また、MF大島僚太は初戦のグアダラハラ(メキシコ)戦で3-2の逆転勝利を収めた試合展開に触れ、「ACLを勝ってクラブW杯で、Jリーグとは違う、分からないような相手から逆転勝ちする強さ、臨機応変な強さは凄いと思った。次も勝ってほしいと応援しています」と、鹿島の戦いぶりに刺激を受けている。

 そして、今季のリーグMVPを獲得したMF家長昭博は、過去にスペインのマジョルカでのプレー経験を持つ。スペインバルセロナとの2強を形成する名門と、世界の舞台でJリーグのクラブが真剣勝負することに特別な感慨があることを感じさせる言葉を残した。

「単純に見ての感想だけど、いろいろな国のチームとやるのは素晴らしいことだし、そのなかで勝つのは難しいと思うけど、レアルと対戦するということは勇気づけられる。応援しつつ、来年は自分たちもと思っている。僕たちもACLを戦ったので優勝する難しさは分かっている。鹿島はJリーグと並行して日程と体力が厳しかったと思う。同じJリーグのチーム、同じサッカー選手として尊敬している。日本では、川崎は認められていると思うけど、アジアではまだまだ。来年は川崎が強くて勝てるチームだと見せたい」

 過去にACLを制し、現在の方式になったクラブW杯に出場した経験を持つのは、浦和、鹿島、ガンバ大阪の3クラブのみ。川崎の選手たちにとって、アジア王者を経験しているクラブという次なるステータスが大きなモチベーションとなっているようだ。(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)

(上段左から)GKチョン・ソンリョン、DF車屋紳太郎、DF谷口彰悟、MF中村憲剛、(下段左から)MFチャナティップ、MF家長昭博、MF大島僚太【写真:Noriko NAGANO】