▽優勝争いから残留争いまで手に汗を握る接戦、熱戦が続いた2018シーズンの明治安田生命J1リーグ。超ワールドサッカー編集部は、J1全18クラブの通信簿(トピックやチームMVP、補強成功度、総合評価)をお届けする。第15弾は4位の北海道コンサドーレ札幌を総括!

◆シーズン振り返り

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▽2017シーズン、「残留」を目標に掲げて明治安田生命J1リーグを戦い抜いた札幌。より上位を目指すため、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督を招へいし、新シーズンをスタートさせた。

▽選手たちも手応えを掴みつつある中で迎えた開幕戦だったが、サンフレッチェ広島を相手に1-0で敗戦。第2節のセレッソ大阪戦は3-3の打ち合いを演じて引き分けたものの、第3節では清水エスパルス相手に1-3で敗戦と、スタートで躓くこととなった。

▽しかし、内容として悲観するものではなかった札幌は、第4節のV・ファーレン長崎戦を2-1で制し、シーズン初勝利。ここから第14節まで11戦無敗。ロシアワールドカップによる中断期間前の15試合は7勝5分け3敗と上出来の結果で折り返した。

ミシャサッカーが浸透しつつある中での中断期間。チームは補強を行わず、余剰戦力だったMF横山知伸(→ロアッソ熊本)、MFヘイス(→アルビレックス新潟)、MFジュリーニョ(→レノファ山口FC)を放出。チームへの戦術浸透を図り、後半戦に向けて準備した。

▽後半戦も初戦の第16節川崎フロンターレ戦(1-2●)を皮切りに、6試合で1勝3分け2敗とスタートで躓いてしまう。それでも、チームのベース作りを行ってきたために連敗はシーズンを通して2連敗が2度。安定し戦いを見せ、クラブ史上最高のJ1・4位でシーズンを終えた。

▽最終戦の広島戦は2点のリードを追いつかれてのドロー。勝ち切っていれば、来シーズンのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)に出場できただけに、この引き分けにしっかりと向き合い、来シーズンのさらなる飛躍に繋げなければいけない。

MVP
MFチャナティップ・ソングラシン(25)
明治安田生命J1リーグ30試合出場(先発30試合)/8得点
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▽チームのMVPは、東南アジアの選手として初のJリーグベストイレブンにも選ばれた、タイ代表MFを選出したい。

▽ムアントン・ユナイテッドから、2シーズン連続の期限付き移籍で札幌に加入したチャナティップ。1年目の昨シーズンとは打って変わり、巧さに磨きがかかるだけでなく、力強さ、そして勝負強さを見せたシーズンだった。

ジェイ、都倉賢とトップの選手が変わる中、自身の特長を見せてチームの攻撃を活性化。“タイのメッシ”との愛称が過大ではなかったと証明するかのように、Jリーグに慣れた2シーズン目は実力を発揮した。

◆補強成功度 《D》※最低E〜最高S
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▽移籍加入組が7名、昇格が1名、期限付き移籍から完全移籍に切り替えたのが2名と補強を敢行。しかし、戦力として機能したのはMF駒井善成(←浦和レッズ)、MF三好康児(←川崎フロンターレ)の期限付き移籍組2名のみだった。

▽選手補強としては大きな成功を収めたとは言い難い。ほとんどの選手が試合に出場していない状況となっており、選手補強が成功したとは言えない。

▽そんな中での最大の補強は、既存選手を最大限に生かしたミハイロ・ペトロヴィッチ監督だろう。浦和レッズ時代と同様に、ある程度固定されたメンバーで意思統一を図り、チームを4位に導いた。

▽札幌がこれまで進めてきた[3-4-2-1]のシステムを進化させ、どのクラブとも互角に戦える集団に成長。ACLの出場こそ逃したが、来シーズン以降の更なる成長が楽しみだ。

◆総合評価 《A》※最低E〜最高S
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▽悲願のJ1残留から1年。リーグ4位でシーズンを戦い終えたことには最大限の評価を送りたい。

▽ペトロヴィッチ監督は、今シーズンの優秀監督にも選出され、チームの成長は明らか。就任1年目で残した成績としては、最高クラスと言えるだろう。

▽最高の《S》評価を与えられなかった理由は、やはり最終節の結果だ。目前に迫り、自力で掴むことができたACLの出場権を逃したことは、クラブの将来性を考えても大きな魚を逃した格好だ。

▽また、終盤戦に絶不調に陥った広島が相手だったが、2点リードを追いつかれた。この引き分けには、地力の差を痛感させられたとも言えるだろう。チームとして、クラブとして、この先上位争いを続けていく上で、この1試合を振り返ることは大きな意味を持つはずだ。

北海道民の夢は、最後の最後に潰えた。しかし、これを終わりと悲観することなく、しっかりと糧にして、未来へ繋げることが大切だ。

▽本当の評価は、1年後にしか出ないかもしれない。新たなことに挑戦し続ける札幌。そのフロンティア精神とミシャの野心があれば、1年後は今年以上の笑顔で迎えられる可能性は高い。
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