モンスターに支配された島に町を築き、人と物資を集めて建物を建て、冒険を繰り返しながら規模を拡大していく、カイロソフトの建国シミュレーションゲームがスマホ向けに公開されています。
 『冒険キングダム島』です。

 開発・冒険・RPGの各要素が盛り込まれた運営シミュレーションゲームで、今風にいうと「4Xゲーム」になるでしょう。

※「4X」は探険(Explore)、拡張(Expand)、開発(Exploit)、殲滅(Exterminate)の4つの要素を備えたシミュレーション(ストラテジー)ゲームを指す言葉で、代表的なものは『シヴィライゼーション』シリーズ。

 もちろんカイロソフトの作品なので、4Xといっても難しくはありません。
 簡単に町の運営を行え、説明も丁寧、親しみのあるドットキャラがちょこまか動いて開拓や収集を行う様子は、眺めているだけでも楽しめます。

 ただ、町を広げていくには探険を繰り返し、手強いボスを打倒する必要があり、モンスターの襲撃を受けることもあります。
 基本は開発シミュレーションですが、RPG要素も非常に強いゲームです。

 既存のカイロソフトのゲームでいうと『冒険ダンジョン村+開拓サバイバル島+大海賊クエスト島』といった感じ。
 カイロのRPG型ゲームの最新作にして集大成といった感がありますね。

 本体無料でスタミナ制の課金型ゲームですが、課金は必須ではありません。
 ただ建物の強化などに待ち時間があり、そしてガチャもあって、その結果でゲームが左右されてしまいます。
 しかし非常に深くやり込める、長く楽しめるゲームでもあります。

 まずは町の中心となる「タウンホール」を設置します。
 そこから一定の範囲が町の敷地となるため、広い平野の中心に置くようにしましょう。

 そして土地(宅地)や倉庫、お宝の鑑定を行う解析所など、町の運営に必要なものをそろえていきますが、この辺りはチュートリアルで案内されるので迷うことはないはず。
 とりあえず木材と野草の倉庫さえあれば、開発は行えます。

 住民は、自動で町の開拓や素材収集を行います。
 草むらを刈ったり、木を伐ったりして野草や木材を集め、建物を建てられる土地を広げつつ、物資を倉庫に運んでくれます。
 疲れたら勝手に休み、夜になったらテントで寝てくれるので、特に何かを与える必要はありませんが、できればベンチや家を早く用意してあげたいところ。

 しかし施設を作れる数には限りがあり、最初は種類もわずかしかありません。
 これを増やすには「研究」を行う必要がありますが、それには「研究所」と「研究家」が必要。
 住民にはそれぞれ職業があり、町人は宝物の鑑定が可能、農民は草刈りや伐採を早く行えます。

最初のタウンホールの位置は重要。おすすめは一番左上の最前列。
襲撃を受けやすくなりますが、探索で消費するスタミナエナジー)はタウンホールからの距離に応じているため、タウンホールが前にあればスタミナ消費を軽減できます。
草むらには建物を設置できないので、住民が刈り取るのを待たなければなりませんが、「柵」は草を上書きできるので、これを作ってから削除すれば……。

 でも、住民を増やすには町の「ランク」を上げなければなりません。
 ランクアップの早道は探険と戦闘。
 そのためには、衛兵や騎士などの戦闘職も欲しいところです。
 主人公的な「国王」もそれなりに戦えますが。

 住民は「派遣」というコマンドで、町の外に出すことができます。
 このゲームのスタミナエナジー)は、主にこの派遣で消費されます。

 派遣により郊外にある宝箱や果樹、町の外をうろついている探検家などからお宝を得られ、そして霧に覆われている未探索地域に向かわせることで、そのエリアの調査を行うことができます。
 奥まで探索を進めていけば、いずれボスを発見できるでしょう。

 打倒に成功すればエリアの全貌を明らかにでき、この繰り返しで探険できる土地を増やしていくことができます。

ボスを倒せば周辺の霧はすべて消えるので、探索はボスだけを目指せばOK。
海上も丸太橋を作りながら探索を進めてくれます。
近くに味方がいれば戦闘時に支援してくれるので、レベルの高いエリアは複数の人を向かわせた方が無難。
町に他国の冒険者が滞在している場合、ボス戦に参加してくれるので、宿屋も作っておきたいところ。宿屋は町人に土地を与えれば建設できます。
また、出撃した町に王様がいるなら、王様もボス戦に参加します。

 そのうちモンスターの巣となっている「洞窟」が現れ、町への襲撃を受けるかもしれません。
 それに対抗するためにも、探険を経て戦闘職を鍛えておく必要があります。

 見つけたお宝からは、さまざまなアイテムを得られます。
 どのアイテムも住民に与えるとパワーアップさせることができ、特に食べ物は戦闘に関するステータスを高められます。
 育成も非常に重要で、いずれは経験値を得られる施設も作れるようになるでしょう。

 ただアイテムが増えてくると、今度は倉庫が足りなくなります。
 その研究と増設のためには素材が必要になり、こうして探険・収集・建設を平行して行いつつ、王国を発展させていくことになります。

洞窟はひとりずつしか戦えないので、強い人をひとり向かわせるだけで十分。
町への襲撃はフィールドにモンスターがいる場合に、満月の夜に発生します。月齢はエナジー表示の横にあります。
襲ってきそうなモンスターは事前に倒しておきましょう。もし倉庫が破壊されると、中の物資がなくなってしまいます。
たまに郊外に光るモンスターが現れますが、これを倒すとタマゴが手に入ります。

倉庫は隣り合わせて作ると、合体して大きな倉庫になります。
アイテムはすぐにいっぱいになってしまうので、アイテム倉庫は優先して研究開発すること。
倉庫の研究提案は物資がいっぱいになると提示されます。
「武器の素」や「賢者の書」などは装備の研究に必要なので、住民に与えないように。
「大きなクギ」や「丈夫な板」なども町のランクアップや施設のレベルアップに必要ですが、これらは後で素材ショップで購入できるようになります。
住民の能力は食べ物以外に、家具や設備の使用でもアップします。
設備を設置してタップすると(位置が微妙ですが左下のあたり)、使われた際に上がる能力が表示され、レベルアップ(改良)のボタンも現れます。

 かなり盛りだくさんなゲームで、モンスターのタマゴをゲットして仲間に加えたり、ショップを開店して観光客を招き収入を得るなど、豊富な開発・育成の要素があります。
 いずれはふたつ目の町を建設して、物資のやり取りを行えるようにもなるでしょう。

 ただ、やっていて気になるのは「鉱石」「魔石」
 このゲームのメイン素材は「野草・木材・食料・鉱石・魔石」の5つで、草と木は入手しやすく、食料もちょっと大変ですが、生産手段は用意されています。

 しかし鉱石と魔石は、ガチャで当たる発掘施設がないと当面は入手困難。
 鉱石は郊外の砂漠や岩場で手に入れることもできますが、細々としか手に入らず、魔石に至っては滅多に発見できない。

 ところが、鉱石がないと武器屋や防具屋を、魔石がないと技屋やアクセサリ屋をまともに運営できません。
 でも、これらを用意しないと装備の調達手段が限られ、技の習得も困難になります。
 つまり、ゲームの中心的な仕様が、ガチャに左右されます。

 ゲームの進行で課金通貨の「ダイヤ」をかなり頻繁に入手できるので、施設ガチャをやりまくればいずれ入手できるかもしれませんが…… しかしあくまで運次第。
 それに、魔石の鉱山はレアリティ「A」なので厳しい(鉱石はB)。
 引きまくっても鉱石の鉱山さえ出なかったら、ゲームはかなりつらくなります。
 キャラクターもレアリティ「A」と「D」ではかなり強さが違う。

 カイロのアプリで「ガチャ運で左右されるゲーム」は見たくなかったのも本音です……。
 一応、高ランクになれば鉱山は「研究」で入手可能、キャラクターも大量のダイヤと「職業紹介所」という施設があれば、レアリティや職業を選択できるようになりますが……。

最初の町の北西、Lv20のエリアを攻略することで、ふたつ目のタウンホールを得られます。
タウンホールからの距離が一定以上になると探索に必要なエナジーが増大するため、新しい町を作ってそこを出発点にしないと中盤以降はエナジー不足に陥ります。
ただし、ふたつ目の町の建設は、その近くにあるLv23のエリアを攻略すると出てくる「引っこし屋」を利用できるようにしてからにしましょう。
引っこし屋を使って主力キャラを移転させれば、最前線に新たな町を作っても防衛することができます。
物資を輸送する荷車は、物資を他の町から「もらう」側にだけあればOK。送る設定はないからです。
ややわかりづらいですが、運ぶ資源の「食べ物」と「食べ物以外」はアイテムのことです。「食べ物」と「食糧」は別です。

最初の町の北東にある「港」を解放すると、観光客を呼べるようになります。
港をレベルアップさせると1回の来客が増え、やってくる冒険者も強くなります。
観光客はショップで買い物をしてくれますが、実は一番儲かるのはお店ではなく「王様」。
王様に謁見に来た人はお金を落としてくれるので、商品を用意する必要がなく、品切れもなしで収入を得られます。
港を確保したら、王様の部屋を観光客が一番最初に訪れる場所に再設置しましょう。

中盤から問題になるのが、鉱石と魔石の入手。ガチャで鉱山が当たればベストですが、そうそう当たるはずもなく……。
しかし当たらなくても、門の近くに砂漠か岩場があるのなら、そこに人を派遣して発掘させ、さらに発掘で荒れた土地を修繕する「荒地案内」も設置しておけば、鉱石を継続的に確保できます。
ただし発掘時にモンスターが出る場合があるので、発掘者は相応に戦える人にすること。
「遠征小屋」でも屋外での発掘を促せますが、戦えない人が発掘に行ってやられてしまうので、敵が弱い場所でしか使えません。
ランク16以上で、上質レンガ22、銅貨320を貯めることができれば、鉄鉱山は研究でも入手できます。
魔石鉱山を研究で出すには最低でもランク20必要。

ショップのうち、鍛冶職人が開ける「武器屋」と「防具屋」は生産に鉱石が必要で、魔法使いが開ける「技屋」と商人が開ける「アクセサリー屋」は魔石が必要になるので、材料を安定供給できないうちは無理に作らない方が良いかも。
商人が開く「アイテム屋」は野草、工芸家が開く「家具屋」は木材が材料なので、これらは運営しやすいです。
観光客だけでなく住民もショップを利用し、装備の強化度がアップします。武器屋とアイテム屋は武器、防具屋と飯屋は頭防具、家具屋は盾、技屋とアクセサリー屋はアクセサリが強化対象。
料理人の「飯屋」は町で生産される食べ物をグレードアップできますが、中盤からは食料が不足するので、それを消費するのがつらい。
食料を生み出す牧場の運営に必要な「動物のエサ」は、リンゴがないと効果を再生できませんが、削除して再設置しても復活します。

 カイロアプリの中でも特に人気が高い「大海賊クエスト島」の後継ともいえる作品。
 開発も戦闘も楽しめて、やり込みも豊富。延々と遊んでしまう作風は相変わらずです。

 ガチャで運営が左右される、建物の移設がない(壊して再設置のみ)、ミスると取り返しのつかない部分がある(町の設置位置など)、カイロ系としてはやや難易度高め(育成でミスって行き詰まっている人もちらほらいる)、といった点が気になりますが、カイロのゲームは一度失敗してリトライし、プレイを最適化するのも楽しみといえるでしょうか。

 Androidで先行公開された当初は不備な点も多かったようですが、アップデートが繰り返されており、今後も改善と拡張は続いていくと思われます。
 カイロファンはもちろん、そうでない方にもイチ押しの作品です。

冒険キングダム

開発、戦闘、育成、探検、盛りだくさんの建国SLG

(画像は 冒険キングダム島 – AppStore より)

・開発シミュレーション+RPG、4X
カイロソフト(日本)
・本体無料、課金・スタミナ・ガチャあり

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文/カムライターオ

著者
Ultima Online』や『信長の野望 Online』、『シムシティ4』など、数々のゲームのファンサイトを作成してきた。
 iPhone アプリのレビューサイトを経て電ファミニコゲーマーのお世話に。 
 シューティングとシミュレーションが特に好き。