今年6月、英ウェールズ南部で4歳女児が母親に湯船で溺れさせられた後に、火をつけられて死亡するという痛ましい事件が起こった。その後、女児が生きたまま放火されたか否かについての捜査が行われていたが、女児は溺死した後に遺体に火を放たれたことが判明した。逮捕された母親についてはこのほど裁判が行われたが、精神疾患を理由に無罪が確定した。『Manchester Evening News』『Daily Record』などが伝えている。

6月8日ウェールズ南部ロンザ・カノン・タフのトレアローで、アメリア=ブルック・ハリスちゃん(4歳)の遺体が自宅で発見された。変わり果てたアメリアちゃんを発見したのはアメリアちゃんの兄で、叫び声を聞きつけた近隣住民メーガン・グリフィスさんが駆けつけ、警察に通報した。

メーガンさんは、前庭で気が抜けたように突っ立っているアメリアちゃんの母カーリー・アン・ハリス(38歳)が、「娘は神様のそばにいるの。天使が娘を連れてったわ」と話すのを聞いた。通報を受けて駆けつけた警察官にもカーリーは「天使がそうするように言ったのよ。逮捕して。大丈夫だから」と伝えたという。

事件直後は、アメリアちゃんが浴槽で溺れた後にまだ生きていた状態で母親に火をつけられ殺害されたのか、既に溺死していた後に火を放たれたのかという点が問題になった。これについては、内務省の病理学者リチャード・ジョーンズ医師が、アメリアちゃんは既に死亡した後に放火されたと断定した。

捜査が進むにつれて事件の全容が明らかになったが、アメリアちゃんを含む3児の母だったカーリーは、事件直前に少量のアンフェタミン覚醒剤)を使用していたことも判明した。しかし専門家らは、カーリーが薬物に誘発される精神疾患を患っていたわけではないと法廷で発言した。

法廷では、カーリーの2人の息子が「母は事件前の6週間ほどは具合が良くない状態だった」と話していたが、フィリップジョセフ精神科医は「カーリーは2014年に尿路感染症に罹って以来、統合失調症を患うようになった」と述べた。また、アーデン・トミソン精神科医も「妄想と宗教的幻想により、娘を殺害することが世界を救うと信じ、神に試されていると思い込んでいた」とカーリーが深刻な精神疾患を抱えていたことを明らかにした。トミソン医師は1か月前にカーリーを検査した時にも妄想から抜け出ていなかったと述べ、妄想型統合失調症を患っていると診断した。

12月17日にニューポート刑事法院で行われた裁判では、陪審員らが1時間にわたりカーリーの評決について討論を交わした。その結果、カーリー精神疾患により無罪の判決が言い渡された。しかし判事は、無期限でカーリーを精神科病院に入院させる命令を下し「わずか4歳で、将来これからという少女の命が、母親によって最も恐ろしい方法で奪われた。あまりにも悲しい事件だ」と語った。

裁判所の前には、カーリーの母親ジャッキーさんが動揺を隠せない様子で「悲しみは言葉にならない。私は孫と娘を失った。2人の孫も母親と妹を失った。私の人生はもう終わったも同じ。悲しくて涙も出ない」と深い悲しみを吐露した。

このニュースを知った人からは、「精神疾患を抱えている犯罪者には刑が甘いという法律は、気持ちとしては納得できない。亡くなった子供がかわいそうすぎる」「なんといっていいのか、言葉が見つからない。まったくもって酷い事件だ」「悲しみと恐怖を感じる。2人の息子はこれからどうやって乗り越えていくんだろう」「精神疾患を抱える患者の治療費が削減されたからこういう事件が増えるんだ!」「この悲劇には言葉も出ない。アメリアちゃんどうか安らかに」と言った声があがっている。

画像は『Manchester Evening News 2018年12月17日付「Mum who had mental breakdown then drowned and burned her four-year-old daughter is found not guilty」(Image: PA)』『Daily Record 2018年12月17日付「Mum who drowned and burned daughter, 4, as ‘sacrifice to God’ found not guilty by reason of insanity」(Image: Wales News Service/ PA)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)

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