■ 優しさが染みるコーヒーとお菓子「momo coffee

【写真特集】いま行きたい!福岡・東区エリアのオシャレカフェ4軒・全20枚

白とマリンブルーで統一した品のいい外観に期待が膨らむ。「モモコーヒー」は住宅街の中にある自家焙煎コーヒーと焼き菓子を販売する小さな店だ。

店に入るとこぢんまりとした喫茶スペースの奥に、緑色の焙煎機・マイスターが見える。これこそがある意味、東京の名店「カフェ・バッハ」で修業した証ともいえるもの。店主の本江昭宏さんは、バッハの自家焙煎セミナーに通い、焙煎やカフェについて勉強。そして開業する時も、修業時代に扱っていたマイスターを愛機に選んだ。

焙煎のメソッドはもちろん、約83℃とやや低めの温度でじっくり豆の味を抽出する方法や、抽出される液体が見えるようにしたガラス製のついたてもバッハ譲り。ただ、ほとんどのコーヒー店がブレンドを用意しているのに対し、ストレートだけに絞ったラインナップが新鮮に映る。「私の中でブレンドはずっと変わらない“その店の味”という印象。今は、いろいろな味の豆を試したい時なのでストレートの豆だけを提供しています。だから産地ごとの特徴を生かしつつ、ストレート単体で満足してもらえるような、バランスがよく飲みやすいコーヒーを心がけています」と本江さん。

コーヒーの相棒に頼みたいのは奥様が作る植物性の素材を使ったお菓子。バター不使用で甜菜糖などを使った優しい味のスイーツは、穏やかな味のコーヒーともぴったり合う。

momo coffee(モモ コーヒー)]福岡市東区香住ヶ丘2-26-25 / 092-662-2355 / 11:00〜18:00 / 月曜日、第1・3火曜日休み / 6席 / コーヒー1杯450円

■ 気軽なセカンドプレイスを「KATAOSA COFFEE

東区・片男佐海岸近くの住宅街。店主は旅で訪れた米・ポートランドのコーヒー文化、サブカルチャーに影響を受け「気軽なセカンドプレイスを」と、自身が育ったこの地に店を開いた。

コーヒーは「Panorama Coffee」の浅煎りを選び、ステンレスフィルターで抽出。オリジナルグッズも多数扱う。

[KATAOSA COFFEE(カタオサ コーヒー)]福岡市東区御島崎1-5-6 / 電話なし / 10:00〜21:00(LO) / 木曜日休み / 6席 / コーヒー1杯400円〜 

■ 約50種の豆をラインナップする東区の老舗「香椎参道 Nanの木」

1988(昭和63)年に1号店の「珈琲豆屋」を東区若宮に開業し、「Nanの木」を02年にオープン。福岡市内において豆売りを柱とする自家焙煎店の先駆けとなった老舗ロースタリーで、現在4店舗を東区に展開している。

なかでも本店という位置づけの同店には、遠方からも多くの客が訪れる。その一番の理由は、取り扱うスペシャルティコーヒーの種類がブレンド、シングルオリジン合わせて約50種と豊富なこと。加えてコーヒーの鮮度にこだわり、焙煎後3〜5日程度の豆が店頭に並ぶように、手間を惜しまず少量ずつ毎日焙煎を行う。さらにブレンドは大半が100g 400円台、シングルオリジンも100g 500円台がほとんどと、手ごろな価格も魅力。

店にはカフェを併設。コーヒーは1杯400円〜用意し、なんと何杯でもお代わりできるというから太っ腹だ。もちろんコーヒー豆専門店として妥協はせず、注文ごとに1杯ずつハンドドリップを徹底。自家製のパンを使うホットサンド、ピザトースト(単品各389円)、サンドイッチセット(616円〜)などフードメニューも充実しているので、ランチに利用するのもおすすめ。楠の並木が美しい香椎参道沿いと、緑に囲まれたロケーションもいい。コーヒー以外に全国各地から無添加や無着色、有機栽培などをキーワードセレクトした食料品も販売しているので、気軽に立ち寄ってみよう。

[香椎参道 Nanの木(カシイサンドウ ナンノキ)]福岡市東区香椎1-3-31 / 092-201-2201 / 10:00〜19:00(LO18:30) / 休みなし / 54席 / コーヒー1杯500円〜

■ お茶のように毎日飲めるコーヒーを目指して「BASKING COFFEE

ハニー珈琲」で約2年働き、その後独立。オーナーの榎原圭太さんは現在、バリスタ兼ロースターとしてコーヒーと向き合う。同店のコーヒーはすっきりとしたきれいな酸が心地よい甘さで消えていく、浅煎り〜中浅煎りの豆がほとんど。

榎原さんは「お茶のように違和感なく飲める味わいが自分の理想のコーヒー。浅めの焙煎をねらっているわけではなく、そんな味を目指していると、自然と浅め主体になりました」と話す。25歳まで世界各国をバックパッカーとして旅していただけに、独立前に単身、中南米のコーヒー農園を見て回った榎原さん。その際、コーヒーが果実であることを再確認できたというエピソードもコーヒーの味わいに大きく影響している。

一方で店には、雰囲気やスタイルを含め、コーヒー文化が根付いた北欧らしさを落とし込んだという。福岡市の副都心として洗練された街並みが広がる千早によく似合う同店は集合住宅の1階という立地だが、天井が高く、開放的。

日常的に利用してほしいと、本日のコーヒーは300円、カフェラテは400円とドリンクはどれも手ごろな価格に設定。フレンチプレス、エアロプレスなど3種から抽出方法が選べるコーヒー(450円)も用意するほか、抽出のコツを教えるセミナーを月1、2回行うなど、コーヒーの楽しみ方の幅を広げる活動にも、開店以来力を入れている。

[BASKING COFFEE(バスキング コーヒー)]福岡市東区千早4-10-1 リングローブ中央ホール1階 / 092-682-5515 / 10:00〜19:00、金・土曜日〜22:00 / 木曜日休み/ 12席 / コーヒー1杯300円〜

■ 名門で良質なコーヒーを気軽に味わう「美松コーヒー本店」

「美松コーヒー」のルーツは1946(昭和21)年開業の喫茶店。4年後には福岡では草分けとなる自家焙煎を始めた。そんな“名門”の3代目として生まれた雲田将央さんは、20代のころコーヒーのメッカ・神戸に本社を構える、日本有数のコーヒー商社で修業。大量かつ膨大な数の豆に携わり、焙煎とカッピングの技術を磨いた。

現在、本店は再開発が進む香椎駅の目の前に移転。その隣に設けた焙煎工場には、スイス製の焙煎機「ビューラー」の20㎏釜が鎮座している。その魅力を「キャラメルのような風味とフルーティさがクロスする味がねらえるんです」と雲田さんは語る。

豆の仕入れは商社時代の繋がりを生かし、ロット(生豆の量の単位)ごとにサンプルを送ってもらい、それをカッピングして気に入ったものだけを仕入れている。農園指定で買わない理由を尋ねると「同じ農園でも標高や日当たり、さらには収穫時期による完熟度の違いで味わいも全く変わります。そうした違いはロットで見分けが可能です。また豆の精選方法にしても、その年の豆の出来によって最適な方法が変わるので、届いた生豆で判断するのが一番だと思います」。そんなこだわりがありつつも、店頭ではカフェラテに15種類のフレーバーシロップを無料でトッピングできるなど、コーヒーを気軽に楽しめるサービスも充実。「コーヒー好きじゃなくてもふらりと立ち寄ってほしいですね」。

[美松コーヒー本店(ミマツコーヒーホンテン)]福岡市東区香椎駅前1-14-19 / 092-410-2393 / 10:00〜翌3:00 / 不定休 / 25席 / コーヒー1杯400円〜(九州ウォーカー・九州ウォーカー編集部)

momo coffee / カウンター2席、テーブル4席の小さな店内