生活クラブは、日本人はじめアジアの多くの人々の主食であるコメについては、特に遺伝子組み換えをすべきではないと考えています。しかし、東北大学は、宮城県大崎市鳴子温泉にあるほ場で遺伝子組み換えイネの栽培試験を行なうため、国に承認を申請し、12月14日までパブリックコメントが実施されました。
生活クラブ生協連合会(本部:東京都新宿区、会員生協:33生協・1連合会、組合員数合計:約40万人)は12月11日、将来にわたって、環境や人体にどのような影響を及ぼすか不透明な遺伝子組み換えイネの野外試験栽培に抗議し、国に意見を提出しました。提出した意見は次の通り。
遺伝子組換えイネの第一種使用等に関する承認に先立っての意見
●該当箇所:資料1の37・44・48ページ、資料2の36・43・47ページ(交雑率、影響を受ける可能性のある野生動植物等特定)
●意見内容:野生生物との交雑性だけでなく、栽培種への影響も評価すべきです。
●理由:
生物多様性条約の第二条では、「生物の多様性」という用語を「『生物の多様性』とは、すべての生物(陸上生態系、海洋その他の水界生態系、これらが複合した生態系その他生息又は生育の場のいかんを問わない。)の間の変異性をいうものとし、種内の多様性、種間の多様性及び生態系の多様性を含む」と定義しています。「カルタヘナ国内法」は、生物多様性条約カルタヘナ議定書を国内で実施するために作られました。それにもかかわらず、生物多様性評価の対象を近縁の野生種に限定しており、農作物(栽培種)は生物多様性影響評価の対象ではありません。その結果、今回、東北大学から野外実験の申請がされている二品目とも、申請書には、交雑率について「我が国にイネと交雑可能な近縁の野生種は自生していないことから、調査は行っていない」と書かれているだけです。つまり、イネをはじめ他の生物との交雑性については全く調べられていません。
カルタヘナ議定書の目的が、遺伝子組み換え作物による生物多様性への影響を未然に防ぐことであることを考えると、それを国内で実施するためのカルタヘナ国内法が野生の近縁種への影響調査だけを義務づけ、種内の多様性や農作物への影響を調べなくてもいいことになっているのは、カルタヘナ議定書との一貫性を欠き、極めて不十分です。
今回の遺伝子組換えイネについて、影響を受ける可能性のある野生植物はないと交雑性を否定するのは、とても問題です。他のイネとの交雑性についても評価の対象としてください。
また、隔離ほ場から400メートルのところに一般の水田があります。資料1と資料2の申告書(どちらも10ページ)にも書かれているように、北海道立農業試験場による実験によって、花粉親から600メートル離れた位置での交雑率0.028%が確認されています。花粉の飛散がないかについて、実証試験を行なうべきです。
以上

配信元企業:生活クラブ事業連合生活協同組合連合会

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