日本を代表する自動車メーカー本田技研工業株式会社Honda)が、ぬいぐるみを制作した。

赤いセダンぬいぐるみには、自動車メーカーならではの工夫と配慮が凝らされている。

赤ちゃんを安心させるぬいぐるみ

Hondaがこのほど、遠隔でボタンを操作するとクルマエンジン音が鳴るぬいぐるみHonda SOUND SITTER」を開発した。

クルマエンジン音には赤ちゃんを安心させる可能性があるという実験結果をもとに生まれた、スピーカーを内蔵したぬいぐるみ

家族のお出かけ時などに利用することで、子供が慣れない環境でも安心できることを目指してつくったという。

移動を支えるメーカーとしてできること

同社によると、クルマエンジン音はお母さんのお腹の中で聞こえる音に周波数が似ており、胎内音に近い音は新生児の鎮静に役立つと言われている。

Hondaネット上や街の声で囁かれている「エンジン音で赤ちゃんが泣き止む」というアイデアに着目。

実際にエンジン音に赤ちゃんを安心させる効果があるのか確かめるために、専門家の監修の下、Honda車での可能性を検証した。

実験を行った背景には、子供が泣くことを心配し、外出をためらう保護者の悩みがあったという。

「移動を支えるメーカーとして、お客様にできることはないだろうか?」ということを考えた時に、ママやパパが赤ちゃんが泣いてしまうことを心配して外出が億劫になるという問題を捉えました。

同社が2018年10月に母親に調査したところ、75%以上の方が「子どもが泣いてしまうことを心配して、外出することが億劫になる」と回答したそうだ。

37車種のエンジン音を収集

実験では、まず37車種のクルマエンジン音を収録し、胎内で聴こえる音に最も近い周波数特性を持つ車種を選定。その結果、同社を代表するスポーツカーHonda NSXエンジン音が最も胎内で聞こえる周波数に近いことが判明した。

次に、クッションにスピーカーを入れ、泣いている状態の赤ちゃんエンジン音を2分間聴かせて、表情や心拍数の変化を記録したところ、12人中11人に効果が見られたという。

本当に泣き止むのか正直不安でしたが、こういった実験で赤ちゃんが泣き止んでくれて素直に嬉しいです。

赤ちゃんに提示したのは白いまくらのようなものでした。クルマの形をしていないので、純粋に音の効果かと思います。

赤ちゃんに寄り添える形を模索

この実験結果をひとつの形にと、ボタンを押すとエンジン音が聴こえるぬいぐるみを作った。

赤ちゃんが抱きしめることを想定して小さめに設計。触り心地の良いパイル地をメイン素材に使い、赤ちゃんに好まれやすい赤色を中心に配色した。

制作にあたって、こだわったのは「親しみやすさ」だという。

赤ちゃんに一番寄り添えるカタチということを模索し、このカタチになりました。

こだわった点は、スピーカーの音がきちんと聞こえることは勿論ですが、赤ちゃんにまず親しみやすいことです。

クルマデザインもそういった意味で、特定の車種に寄せたデザインではありません。

外出をもっと身近に

ぬいぐるみ非売品だが、NSXエンジン音は公式サイト上で聴くことができる。

ネット上には「販売して欲しい」「ぜひ商品化を」という声が寄せられているが、販売する予定はあるのか?

お客様のお声をありがたく受け止め、次の展開を考えて行きたいと思います。まずはWebサイトにある音源をみなさんにお試しいただければと思います。

SOUND SITTER」に込める思いを、こう話す。

Hondaはモノを作るメーカーではありますが、その根底には「移動を通じて人の役に立ちたい」という思想があります。

これを伝える手段は必ずしもモノという製品とは限らないと考えています。

そしてこのアイデアを元に、一人でも多くのお母さんお父さんが外出する事をもっと身近に感じてくれれば素晴らしいと思います。

NSXのエンジン音で赤ちゃんが泣き止む―ホンダが本気で「ぬいぐるみ」を作った狙い