石原慎太郎前知事の辞職により行われることになった東京都知事選挙。日本の首都東京の顔を決める選挙費用は巨額で、前回の都知事選挙では平成22年度と23年度に分けられて約54億円の費用が計上、今回の選挙でも52億7600万円(このうち都議補選分が2億2000万円)の補正予算が組まれた。つまり石原前知事の決断で50億円が必要になったとも言える。
その都知事選挙のイメージキャラクターにAKB48の高橋みなみ、板野友美、横山由依の3人が起用されることになった。選挙管理事務局のホームページでは「明るく健康的なイメージで幅広い世代から支持されており、特に若者に圧倒的な人気を誇ることから、若年層に都知事選挙への投票を働きかけるべく起用しました」と説明されている。
もちろん啓発にも予算が必要だ。前回の都知事選挙では、同じくAKB48の13人を起用して約1億6700万円、前々回にはタレントの伊集院光と女優の香椎由宇を起用して約2億4700万円をかけている。今回もほぼ同額がかけられているとみてよいだろう。
具体的には以下のような啓発活動が行われる。
1:動画広告
都内繁華街の街頭ビジョン
イオン店舗内のモニター他
2:ネット活動
特設ホームページの開設と運営
Facebookの活用
Yahoo!JAPANにプライムディスプレイ広告を設置
3:啓発ポスター(約13万5000枚)
JR東日本、都内私鉄・地下鉄、都営・民間バス、ゆりかもめ、多摩モノレール
都内各所の官公庁施設
大型スーパー、商業施設他
4:コンビニレジ画面広告
5:ラジオCM
6:新聞広告
また選挙のない年にも、常時啓発活動として毎年約3000万円が費やされている。「明るい選挙推進事業」として大会やリーダーフォーラムを開催したり、小中学生を対象にしたコンクールや冊子の配布をしたりしている。
ただしこれら啓発活動の効果があるかは不明だ。選挙そのものの知名度が上がっても、投票に行くかどうかは分からない。民主党の事業仕分けにおいて、国政選挙の啓発費が無駄と指摘されたこともあり、地方自治体でも選挙の啓発活動は縮小傾向にある。
ここ10回の東京都地位選挙の投票率の推移は、1975年:67.29%、1979年:55.16%、1983年:47.96%、1987年:43.19%、1991年:51.56%、1995年:50.67%、1999年:57.87%、2003年:44.94%、2007年:54.34%、2011年:57.80%。
太平洋戦争後から1970年代までは60~70%の投票率だったものの、それ以降は50%前後に落ち込んでいる。併設して行われる選挙や、投票日の天候にも左右されるとは言え、啓発活動の効果が出ているとは言えない。安易にタレントに頼る啓発活動は止めにした方が良いのではないだろうか。
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