調査報告書「米の消費動向調査における世帯収入別の動向」より

〈産地の作付意向に一石、低所得世帯ほど安価な米もとめる〉
米穀機構(《公社》米穀安定供給確保支援機構、福田晋理事長)は27日、調査報告書「米の消費動向調査における世帯収入別の動向」を公表した。同機構が毎月公表している「米の消費動向調査」の直近データをベースに、世帯年収別の消費動向や価値観、意識の違いなどの傾向を明らかにするための分析を試みたもの。それによると、米の消費量に世帯年収別の違いはほとんどみられなかったものの、高所得世帯ほど食の外部化が進む傾向にあり、中食・外食での米消費が家庭内消費の減少分を補完している構造が窺えることが明らかになった。また低所得世帯ほど安価な米を求めている実態が浮き彫りになっている。

「米の消費動向調査」は、農林漁家世帯を除く「消費世帯」約2,000世帯を対象に実施している抽出調査で、今回の分析には2017(平成29)年度のデータを用いた。まず米の消費量そのものは、世帯年収別の違いはほとんどみられない。だが、家庭食での消費量は年収400万円未満の世帯が多く、800万円以上の世帯で少ない傾向にある。

また外食での消費量は、世帯年収が上がるほど増える傾向にある。ここから、「高所得世帯ほど食の外部化が進む傾向にあり、中食・外食での米消費が家庭内消費の減少分を補完している」と米穀機構では分析している。

「米の消費動向調査」では、精米「購入・入手経路」も訊いている。実数として最も多い「スーパーマーケット」に世帯年収別の違いはみられないが、「家族・知人などから無償で入手」は世帯年収が上がるほど入手ルート割合が下がる傾向がみられ、「生協」と「その他」は世帯年収が上がるほど入手ルート割合が上がる傾向がみられた。最低所得層である400万円未満層は、「家族・知人などから無償で入手」や「ディスカウントストア」など、無償あるいは比較的安価で入手可能な販売チャネルの割合が相対的に高い傾向にある。逆に最高所得層である800万円以上層は、「生産者から直接購入」、「生協」、「米穀専門店」など付加価値の高い商品を多く販売しているチャネルの割合が高い傾向となっている。

「米の消費動向調査」では、精米「購入時の重視点」も訊いている。「価格」は世帯年収が上がるほど重視しなくなる傾向がみられ、逆に「品種」、「産地」、「食味(おいしさ)」、「年産」は世帯年収が上がるほど重視する傾向がみられる。他の項目では相関関係が見いだせなかったものの、最高所得層である800万円以上層は、13項目中9項目で重視する割合が最も高く、「高所得層ほど相対的に米を買う際に重視する点が多岐にわたり、米に対してこだわりを持っている様子が窺える」としている。特に「安全性」、「製造販売業者」、「販売店」、「栽培方法」などに対するこだわりが、他の層に比べ強く重視する傾向が表れた。逆に最低所得層である400万円未満層は、「価格」や「適量感」を重視する割合が他の層に比べ高く、特に「価格」を重視する割合が突出、8割に達する勢いだ。

〈米麦日報 2018年12月28日付より〉