19年1月より放送開始のテレビアニメ「ピアノの森」第2シリーズ。本作は、森に捨てられたピアノをおもちゃ代わりにして育った主人公・一ノ瀬海(通称・カイ)が、天才ピアニストと呼ばれた師・阿字野壮介や、ピアノの英才教育を受けて育ったライバル・雨宮修平らとの出会いを通して、その才能を開花させ、世界に挑む物語。カイ役の斉藤壮馬、雨宮修平役の花江夏樹に、作品やキャラクターの魅力、第2シリーズの見どころについて語ってもらった。

【写真を見る】ピアニストたちの心の機微や美しい音色を丁寧に表現する「ピアノの森」

■ ピアノの音を視覚化する幻想的な演出

――第2シリーズのアフレコがスタートしましたが、改めて、第1シリーズを振り返ってみて感じる本作の魅力を教えて下さい。

斉藤「第1シリーズでは光の演出や、ピアノのシーンの映像描写が見どころなのですが、原作がもともと持つ物語の奥深さやおもしろさを、アニメでより多くの方に感じてもらえたかなと思います。第1シリーズでは、カイが子どもから青年に成長する様子を長い時間かけて描いていますが、第2シリーズはショパンコンクールが中心なので、より密度の濃い心理劇になると思います」

花江「アニメになり音がつくことで、よりキャラクターの考えていることが伝わってくるし、直感的にわかりやすくなっていると感じました。漫画を読んでいるときには、『どんな曲なんだろう』と想像していたので」

――印象に残っているシーンはありますか?

斉藤「原作のピアノを弾いていると光の粒子が空気に乗って聴き手に伝わるという描写が好きなのですが、それがアニメではより幻想的な演出になっていて、音が見えるというのはすごく素敵だなと。映像の演出は独特で、阿字野と子ども時代の雨宮がしゃべっているシーンは影しか写っていないんです。そのセンスがすごいと思いました」

花江「カイの住んでいた廃墟で、いじめられっ子と一緒にピアノを弾くシーンですね。普段、自分が出ているシーンを客観的に観たりはしないのですが、オンエアではほろっとしてしまいました。第1シリーズでは、カイに執着し自分を見失う修平に少しモヤっとしていたのですが、第2シリーズで自分のピアノを見つけられるのか、見届けるのが楽しみです」

■ キャラクターたちの心の機微を声で表現

――第2シリーズではいよいよ、カイたち若手ピアニストが繰り広げる、ショパンコンクールの模様が描かれます。役への取り組み方に変化はありましたか?

斉藤「基本的な部分では変わらないと思います。カイは人からは天才って言われるけど、本人はそう思っていない。カイが何を見て、何を感じているのかに寄り添うことが一番大事だと考えています。ショパンコンクールでの様子が時間をかけて丹念に描かれるので、心の機微を丁寧に捉えることができればいいなと思っています」

花江「変化があったとすれば、第1シリーズのアフレコがスタートしたときです。オーディションのときは修平をウジウジしているやつだと思っていました。でも、役に寄り添うために分析した結果、急に目の前に天才が現れて、簡単にピアノを弾かれてしまったら、ショックだろうとも思えたんです。挫折して、悔しい感情をどこにぶつけていいのかわからない修平に『一緒に頑張って行こうぜ!』という気持ちで、演じるようになりましたね」

花江夏樹が尊敬する声優界の先輩とは?

――2人にとって、カイと阿字野のような師弟関係、カイと修平のようなライバル関係になる出会いはありましたか?

斉藤「中学のころ、仲の良かった友だちがサブカルチャーに詳しい家庭に育った子で、お互いに好きなものを見つけて交流を深めました。その頃見つけたもの、好きだったものがいまでも自分の人生のベースにあるので、お互いに知識や情報を教え合うという意味では師弟関係、切磋琢磨し合うという意味ではライバルだったんだと思います」

花江「将来こういう質問が来たときには、(先輩声優の)浪川大輔さんの名前を出すように、本人から言われていたので…(笑)。実際、いろいろな悩みを相談し親身になってもらいました。ライバルは自分自身です。自己評価が低いので、現場や勝負事で遠慮してしまう自分と闘うこと。自分を倒せ、恥ずかしがるな、でも本当に行くべきなのか、などいつも問答しています。勝率は半々ですが、失敗もありつつ、その闘いに勝っていきたいと思っています」

斉藤壮馬花江夏樹がピアノの演奏に挑戦!

――発売されたばかりのBlu-ray&DVD BOXの特典映像では、ピアノにも挑戦されていましたが、いかがでしたか?

斉藤「ちゃんと先生のレッスンを受けて、連弾で“雨だれ”に挑戦しました。隣で弾いている花江くんの呼吸みたいなものが伝わって来て、『次(の音と呼吸は)はこう来るのでは?』と通じ合えたりする瞬間があって、すごく楽しかったです。アーティスティックにピアノを弾く、花江くんの笑顔に注目してください(笑)」

花江「一つの音で雨を表現していくのが、とても難しかったです。でも弾いているうちに、『ポタポタしてきたな』とか想像できるようになり、ピアノって奥深いなと思いました。壮馬くんが一音一音大切に弾く様子と、いい顔で弾く僕を見てほしいです(笑)」

声優、斉藤壮馬花江夏樹らが再びキャラクターに命を吹き込む「ピアノの森」第2シリーズ。美しいピアノの音色に光や影を使った映像表現、ピアニストたちが紡ぐ心の機微に注目したい。(Movie Walker・取材・文/タナカシノブ

声優、斉藤壮馬(画像左)と花江夏樹(画像右)が「ピアノの森」の魅力を語る!