「輝け!第21回みうらじゅん賞」の授賞式が先日、GYAO本社にて開催。みうらじゅんと、みうらの盟友・安齋肇が出席し、安齋の司会のもと、主催者のみうらが今年の受賞者を発表した。平成最後のみうらじゅん賞」を受賞したのは、「峨眉山(がびさん)」「イーサン・ハント」「ヒックスヴィル」「仏教伝道協会」「沢口靖子」の5組。“みうらじゅんがその年を飾るにふさわしいと考えた人やモノを独断で選び、勝手に贈る”という「みうらじゅん賞」のコンセプト通り、今年も脈絡は皆無ながら、みうらの熱い思い入れを感じさせる顔ぶれがそろった。

第21回みうらじゅん賞を受賞した「沢口靖子」。現在、主演ドラマ「科捜研の女」のseason15、16がGYAOにて配信中

■ 「M:i」イーサン・ハントの受賞は「親不孝者への戒め」!?

みうらによるそれぞれの“受賞理由”は以下の通り。

■峨嵋山(がびざん)

「中国の四川省にある山です。去年(2017年)、大分県の文殊仙寺(もんじゅせんじ)にいったとき、山号に『峨嵋山』とでっかく書かれてて。そのときに、もしかしたら中国の峨嵋山に似ているからお寺を建てたんじゃないかなという持論が浮かんだんですよ。で、これはきたな!と。峨嵋山はガタガタしてる岩からできている山なんで、そこから、ガタガタとかギザギザしているものを見ると、『ガビってる!』って言うようになりました。今年(2018年)の11月には、実際にいとうせいこうさんと峨嵋山に行ってきたんだけど、一面雪だらけで、死ぬかと思うぐらい寒かった。“峨眉の中心でガビを叫ぶ”つもりだったんだけど、それどころじゃなかったね」

イーサン・ハント

「(イーサン・ハントを演じる)トム(・クルーズ)ではなく、あえてイーサンに贈ります。『ミッション:インポッシブル』シリーズは好きで、全シリーズを劇場で見てるんだけど、今年の作品(「ミッション:インポッシブル / フォールアウト」)は特にひどかった! ひどいっていっても映画の出来がどうこうじゃなくて。イーサン、大暴れなんだ。命知らずにも程がある。命を捨てにかかってる。あれは命知らずじゃなくて、“命捨て”だよ。トム・クルーズって、自分とさほど年齢が変わらないんですよ。そう考えたら、こんな親不孝者はいない。親より先に子供が死んじゃうのって、親不孝の最たるものだから。僕の両親はおかげさまで健在で、イーサン・ハントに親がいるかどうかは分からないけど、親不孝者への戒めとして、この賞をあげたいと思います」

■ 「沢口靖子さんは僕にとって真のナースです!」

ヒックスヴィル

ヒックスヴィルとは、かなり昔から仲良くさせてもらってて、『みうらじゅん賞』もとっくに受賞していておかしくないはずなんだけど、今回、急に思い出したんですよ。渋谷系がブームになった頃から、今でも変わらず自分たちの音楽をやってるっていうのは、やっぱりすごいなと。いわば『功労賞』ですね。キャラもはっきりしてるし、どんどん、やっていることと外見が合ってきているんじゃないかな。ライブのMCも面白いんだよね」

■仏教伝道協会

「実は今年(2018年)、仏教伝道協会から『第52回仏教伝道文化賞・沼田奨励賞』というものをいただいたんです。自分が賞をいただくなんて「流行語大賞」以来で(※1997年の「第14回新語・流行語大賞」で、「マイブーム」がトップテンに選ばれた)、すごいうれしくて。考えてみると俺、今まで賞をあげることに忙しくて、もらうことを忘れてたなって。だから今回は、賞をもらったことに対しての賞。賞返しってやつですね。これからは“WIN-WIN”じゃなくて、“賞‐賞”の時代、ということで」

沢口靖子

「今年(2018年)の初め頃、肩と頸椎が痛くなっちゃって。外に出て歩くのもつらいくらいだったんですよ。ペンも持てなくて、どうにか原稿を書いたりはしてたんだけど、『俺ももう終わりなんだ』って、すっかり落ち込んじゃって、仕事のとき以外は家でずっと寝てたんですね。そのときに、テレビで『科捜研の女』シリーズ(1999年~、テレビ朝日系)の再放送が流れてて。最初は何となく見てたんだけど、どんどんハマっちゃって、気が付いたらとりこになってました。沢口さん演じるマリコの『分かったわ!』というセリフで、俺は元気になれたんですよ。ドラマの女優さんがこんなにも傷を癒してくれるものなんだなと。今年、何軒も病院に行ったけど、最終的に僕を治してくれたのは沢口さん。彼女が真のナースです!」

授賞式では、ヒックスヴィル沢口靖子らから届いたビデオメッセージも紹介。沢口は「自分が携わった作品を通じて、見ている方々に元気を届けられたらと思っているので、とてもうれしいです」と受賞の喜びを語った。

■ 「ただただ自分が好きな人に贈る。“賞”って本来そういうものなんじゃない?」

テレビジョンでは、「輝け!第21回みうらじゅん賞」授賞式を終えたばかりのみうらじゅん&安齋肇を直撃。「みうらじゅん賞」の面白さを改めて探るべく、ミニインタビューを敢行した。

――まず、授賞式の感想をお聞かせください。

みうらじゅん「いつもと全く変わらず、でしたね。安齋さんと会うのは今年5回目なんで、そういう意味ではすごく楽しかったですけど」

――今日は、第21回の受賞者を初めて公にしたわけですが、観覧のお客さんたちの反応も含めて、いかがですか、手応えのほどは?

みうら「う~ん、『みうらじゅん賞』っていうのは、手応えがどうだとか、ウケたかどうかとか、世間の反応は一切関係ないんですよ。あくまでも、僕がグッときた人とかモノを選んでるだけなんで」

安齋肇「そこがいいんじゃない? 僕なんかは、『みうらじゅん賞』っていうのは、みうらさんがこの1年間、何を考えて、どんなものに興味を持っていたかを知る場所だと思ってますから。まるでみうらさんの頭の中を覗き見するようなワクワク感があるんですよ」

みうら「ただ、1発目に『峨嵋山』をもってきたのは、完全にウケ狙いですけど(笑)。『峨嵋山』から始まって、『沢口靖子』さんで締めくくる、という流れだけは決めてたんで」

安齋「沢口さんは、VTRでコメントをくださって。いい感じに締まったよね」

みうら「いや、ありがたいですよ。沢口さんって、かわいい人なんだなって。ますますファンになりました」

――ザテレビジョンのインタビューということで、「科捜研の女」というドラマの魅力をもう少し詳しく教えてください。

みうら「やっぱり、安心感ですよね。分かりやすいし、変わらないし。だからといって、同じシリーズものでも『相棒』(2000年~、テレビ朝日系)とも違うんだよね。いい意味で、見ていて気持ちに波風が立たないっていうか」

――今回、過去の受賞者リストを拝見していて、そのユニークな顔ぶれに改めて驚きました。

みうら「改めて思うのは、第6回(1999年)の『ジョージ・ルーカス』はターニングポイントだったなって。この次の年から、選ばれた人たちがみんな『こんなすごい人も受賞してるんだ』って思うようになってくれたから(笑)」

安齋「2005年(第8回)のリリー(・フランキー)さんとか、時代を先取ってる感じもあるよね」

みうら「あ、それはたまたまですよ。『みうらじゅん賞』をもらったからって、そのあと仕事が増えるなんてことはないだろうし。何度も言うけど、本当にただただ俺が好きな人にあげるっていう賞で、そこから何かが派生するとかは関係ないから。でも、“賞”っていうのは、本来そういうものなんじゃないかと思ったりもするけどね」

「輝け!第21回みうらじゅん賞」授賞式の模様は現在、GYAO!の特設サイトにて公開中。みうら&安齋のゴールデンコンビの息の合ったトークをさらに楽しみたい人は必見だ。(ザテレビジョン

「輝け!第21回みうらじゅん賞」授賞式に出席したみうらじゅんと安齋肇