このほどアメリカでまた、人種差別による事件が発覚した。被害者は黒人男性で大学の宿舎で同室だった中国人男性に差別対応だけでなく毒物まで盛られたという。『Heavy.com』『Washington Post』などが伝えている。

ペンシルベニア州ベスヘレムにあるリーハイ大学を今年卒業したジュワン・ロイヤルさん(Juwan Royal、22)は、かつて住んでいた大学の宿舎でとんでもない目にあった。アフリカ系アメリカ人のジュワンさんは当時、ルームメイトの中国人留学生ユカイ・ヤン(Yukai Yang、22)と同じ部屋に住んでいた。

ジュワンさんに起こった最初の異変は、今年2月のことだった。ジュワンさんが自分専用のボトルに入った飲み物を飲んだところ、口の中が燃えるような感覚に襲われた。その時、寝ていたユカイを起こしてトイレまで連れて行ったもらったという。

奇妙な出来事はそれだけではなかった。翌月の3月18日にジュワンさんは気分が優れず、気絶寸前でふらふらになる状態に陥った。ジュワンさんはこの時に何が起きたのか知る由も無かったが、誰かが自分の飲み物に何かを入れたと確信していたため警察に通報した。

ところが3月29日早朝に、また同じ事態が起きた。全身に大きな痛みが走り約45分間嘔吐が止まらず、警察が再び呼ばれ、ジュワンさんは救急車で病院に搬送された。どうやら冷蔵庫に保管していた牛乳とマウスウォッシュに原因があったようで、それらは普通の色とは違う色に変色していたとのことだ。

そして4月5日午後12時半頃のこと、今度はジュワンさんのテレビやベッドが何者かによって壊され、破損した。彼の机には、黒人を差別する「ニガー」という言葉を用いて「黒人は出て行け」とマーカーペンで落書きされていた。

警察はルームメイトのユカイに疑いの目を向けた。調べにより落書きの筆跡とユカイの筆跡が一致することが判明、ユカイはジュワンさんが口にする飲み物などにタリウムを密かに入れていたことを認めた。

その後の検査で、ジュワンさんの血中から有害な金属タリウムが安全基準を大きく上回る1リットルにつき3.6マイクログラムという値で検出された。これにより12月20日、ユカイは殺人未遂と加重暴行の罪などで起訴された。ノーサンプトン郡地方検事のジョン・モーガネリ氏(John Morganelli)は、「短い間にタリウムを大量に摂取すると、人の神経系や肺、心臓、肝臓や腎臓などに影響を及ぼす。また一時的に髪の毛が抜けたり、吐き気、下痢が起こり、最悪の場合は死に至る」と説明していた。

ユカイはタリウムや他の化学薬品をオンライン上で購入し、密かに冷蔵庫に保管していたジュワンさんの食べ物や飲み物に混ぜていた。ユカイは「これからある試験でいい点が取れなかったら、自分でタリウムを飲もうと思っていた」と供述している。

ユカイは逮捕直後に大学を停学処分となっていたが、その後学生としての登録は抹消、学生ビザも取り消され現在は刑務所に勾留中である。被害にあったジュワンさんは今年、無事に大学を卒業しているが、体には後遺症が残っているという。

画像は『Heavy.com 2018年12月21日付「Yukai Yang: 5 Fast Facts You Need to Know」(Facebook)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)

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