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来年10月に予定される消費税増税に伴って、国は「自動車税」を減税する方針を固めた。自動車税とは、車を持つ人が毎年納める税金で、排気量によって税額が決まる。自動車税は、’50年に制度が始まって以来、初めての引き下げで、14日発表の税制改正大綱に盛り込まれた。この「自動車税」減税について、経済ジャーナリストの荻原さんが解説してくれた――。

自動車税の減税は、小型クラスほど大きなものになります。たとえば、660cc超~1,000cc以下の車は、現状2万9,500円ですが、減税が実施されたら2万5,000円になり、4,500円引き下げられます。

減税額は、1,000cc超~1,500cc以下だと4,000円、1,500cc超~2,000cc以下だと3,500円と、排気量が上がるほど縮小。2,000cc超では1,000~1,500円にとどまります。

また、軽自動車は今回の減税の対象外で、1万800円のままです。注意が必要なのは、減税が、消費税増税後に購入した車に限られることです。残念ながら、今お持ちの車は減税になりません。

とはいえ、これは恒久減税です。対象車は、引き下げられた税額がずっと続きます。1,000ccの対象車なら、10年間で自動車税が4万5,000円安くなりますから「買い換えようか」と思う方もいるでしょう。

しかし今回は、減税だけではありません。車種によりますが、車検のときに払う「自動車重量税」が引き上げられるのです。

現在、自動車重量税は、燃費基準による「エコカー減税」が適用されていますが、消費税増税後はエコカー対象車を絞る方針です。エコカー対象からはずれた車は、自動車重量税が上がります。

つまり、消費税増税後に車を買うと、毎年払う自動車税は減税になるものの、車検時に払う自動車重量税が増税になって、トータルでは増税だという車種もあるのです。詳しくは販売店にご相談を。

自動車に関わる税金のうち、今回は、ユーザーにはおなじみの自動車税減税を前面に押し出して、車検費用と一緒に払うため税額を意識しづらい自動車重量税の増税を、同時に行おうとしています。専門家でないと損得勘定ができない施策で、納税者の目をごまかそうとしているとしか思えません。

さらに、車の購入時には、「自動車取得税」と消費税がかかる二重課税が、以前から問題視されていました。そのため、消費税が10%に上がる際、自動車取得税が廃止されますが、新たに環境性能によって税率が決まる「環境性能割」という新税の導入が決まっています。二重課税の問題は解決されないままですが、今回、新税の環境性能割も、消費税増税後の1年間に限り、1%軽減する方針です。

自動車関連の税金は、複雑すぎます。もっとシンプルでわかりやすい税制に変えるべきです。

そのうえで、地方の生活も考えてほしいと思います。地方では、車は移動の足、生活必需品です。自動車関連の税金は地方での生活を直撃し、車なしでも暮らせる都会との格差を広げるでしょう。地方の生活を守るためにも、抜本的な改革が必要ではないでしょうか。