ラーメン情報誌「ラーメンWalker」(KADOKAWA)による、全国の旨いラーメン店を決めるランキング企画「ラーメンWalkerグランプリ」。ラーメン王国・福島県の新店部門で1位を獲得したのが「創作麺 やま鳶」(いわき市小島町1-8-4※19年春に移転予定)だ。<■情報は発売中の「ラーメンWalker福島2019」より>

【画像を見る】「つけ麺」は、濃厚昆布水に浸した麺が、つけ汁と絡み旨味の相乗効果を

■ 地元いわきの食材と出合い、旨さが進化

東京を中心に800軒近いラーメン店を食べ歩き、旨いと感じたラーメンが例外なく無化調だと気付いた店主の曲山修太さんが、「ラーメン不毛の地と言われる浜通りでも勝負できるラーメン」を作るため、17年7月にオープン。その旨さがラーメン好きの間でたちまち評判になった。

当初は全国各地の食材を使っていたが、地元とのつながりが深まるにつれ、地元産食材にも素晴らしい物が多いことを知る。その一つが、創業100年以上の歴史を持つ家族経営の醸造元「ヤマブン味噌醤油」との出合いだった。先方が客として来店した縁で、高級百貨店で限定販売される熟成醤油を特別に分けてもらっているが「味も香りも全く別次元」と、長年フードビジネスに携わってきた店主も、今や全幅の信頼を置く。

こうした使用食材の変化はメニューの進化にも直結。看板メニュー「らぁ麺」は、これまでの丸鶏、魚介ダシ、貝という3層の“旨味のミルフィーユ”に、新たに地元産トマトを含む野菜ダシを追加。4層が織り成す、より複雑で奥行きのある味わいを実現した。その進化ぶりをつねにキャッチアップし続けたい注目店。中通りや会津からもぜひ訪れてほしい新鋭だ。

■ 4層が織りなす「旨味のミルフィーユ

「らぁ麺」(800円)は、丁寧に抽出した丸鶏に、魚介と大量のアサリ、そして地元産のトマトを含む野菜ダシという4層の旨味が、ツルッとした喉越しの細麺によく絡む。豚肩ロースと鶏ムネ肉という、2種類の肉を使ったチャーシューも絶品。

担担麺」(800円)は、鶏とアサリスープに自家製の芝麻醤と複数のスパイス、自家製ラー油で深みと辛味を実現。「つけ麺」(900円)は、ガゴメ昆布を使った濃厚昆布水を麺に絡めて、濃厚なつけ汁との旨味の相乗効果を生み出している。

■ 震災後にUターンした店主がいわきに新風を

曲山店主は大学卒業後、さまざまなフードビジネスを展開する会社へ。調理の現場責任者、エリアマネージャー、事業部長と順風満帆に出世するも、東日本大震災をきっかけに故郷の福島県いわき市にUターン。現在はラーメンを核に、異業種・異業態とのコラボなどにも積極的に取り組んでいる。(東京ウォーカー(全国版)・【ラーメンWalker福島2019 編集部】)

「らぁ麺」(創作麺 やま鳶)