今回は、兄弟ができたことによる上の子の「赤ちゃん返り」についてです。「赤ちゃん返り」は3歳くらいまでは顕著に現れますが、年の差が4歳以上あってもそれに似た現象は起きることがあります。まず、なぜ「赤ちゃん返り」が起きるのか考えてみましょう。



「親からの愛情が半減してしまった」と感じる

下の子が生まれても、上の子に対する愛情が半減するわけではないですよね。むしろ、上の子は今までずっと「一人っ子」として親の愛情を独占してきたわけですから、多少貯蓄があってもいいのではないか…とすら思いますが、子どもにとってはそうは行きません。今までと比較して、愛情が「半減した」、場合によっては「無くなってしまった!」と受け止めることもあります。そこで、親からの注目を得たくて、赤ちゃん返りをして甘えたり、赤ちゃんにすぐ手を出してみたりして、大人から見ると「問題行動」と思えることを繰り返すのです。



我が家の場合は、長女が5歳の時に次女が生まれました。妹を可愛がり、お世話もたくさんしてくれましたが、生後3ヶ月の首すわり頃から、急に「抱っこして」「お膝に乗せて」と言うようになり、「そのお膝は私のものだったのに」と明確に恨み節を言うようになりました。5歳ともなると、語彙が豊かなので、なかなかに辛辣です。赤ちゃんの発達が進むに連れて、「私も首すわっているよ」「私もハイハイできるよ」と対抗心むき出し。「当たり前でしょー!」とツッコミ
たくなるような、5歳対0歳の不毛な比較には閉口しました笑。けれど、そう言わずにはいられないほど、不安だったわけです。



1、「お兄ちゃんだから」「お姉ちゃんだから」を求めない

赤ちゃんと比べると上の子はやけに大きく見えるものです。そして、赤ちゃんに手がかかる分、上の子にはしっかりして欲しいと期待をします。でも、まだまだ「子ども・赤ちゃんでいたい」のです。その気持ちをしっかり受けとめましょう。たとえ「お兄ちゃんなんだから、お姉ちゃんなんだから」という言葉を使わないように注意していても、ついつい「あなたは自分でできるでしょう」と、同じようなことを言ってしまうこともあるでしょう。赤ちゃんと比較せず、ありのままの上の子を、思い切り「可愛いね」「あなたもまだまだ小さいね」と愛でる気持ちが持てるといいですね。



2、「あなたが一番好き」と言っても構わない

上の子に対して「あなたが一番よ」と明確に伝えても構いません。むしろ言い切ってしまってもいいと思います。第一子が一番に生まれてきて、一番に大好きになったのですから嘘ではありません(笑)。私は「あなたが私をお母さんにしてくれたのよ、だからあなたは特別だよ」と、伝えるようにしました。迷いなく答えることで、我が家の長女は安心し、落ち着いて行きました。



3、好きなことを思い切りさせてあげる

上の子が夢中になって遊べることは何でしょうか。CFCでは、子どもが自ら夢中になって遊んでいる様子を「快動」状態と読んでいます。そして、その遊びの中に「その子らしさ(アイデンティティ)」の芽があると考えています。赤ちゃんがいると、知らず知らずのうちに好きな遊びを我慢させてしまっている可能性があります。難しいかもしれませんが、上の子が好きな遊びに夢中になれるように、環境を整えてあげましょう。そして、何よりも、遊んでいる我が子をしっかり見て、「楽しそうだったね」と認めてあげましょう。



赤ちゃん返りの時期は本当に大変です。一方で、親子が絆を確かめている貴重な時間でもあることを頭の片隅において、少しでも楽しめるといいですね。



執筆者:浅古尚子(あさこ・なおこ)
チャイルド・ファミリーコンサルタント、キャリアカウンセラー。NPO法人子育て学協会理事として親子の育ち合いを支援する「子育て学講座」を開催している。「私のままでママをやる」をテーマに子育て世代の女性の両立支援や、次世代のキャリア支援を中心に活動している。二児の母。

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