テレビがつまらなくなったといわれて久しい。それでもお正月ゆっくりテレビを見る機会も多いのではないか。かつて年末年始の定番といえば「エロ」であった。今なら驚くばかりのエロ企画が堂々と放送されていたのである。

 エロ企画の定番といえば野球拳であろう。1969年に『NHK紅白歌合戦』の裏番組として、『コント55号の裏番組をぶっとばせ!』が日本テレビ系ではじまった。そのワンコーナーが野球拳であったのだ。

 これはじゃんけんをして負けた人間が服を1枚ずつ脱いで行くもの。裸がテレビに堂々と映し出されていたのだ。この企画は別の番組で90年代初めまで受け継がれ、毎年のように放送されていた。特にマニアの間では1994年が「神回」とされており、美女1000人野球拳などスケールの大きな企画が行われていた。現在は『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』の特別編として、「笑ってはいけない」がすっかり定着しているが、かつて大みそかの日テレはエロを原動力に視聴率を稼いでいたのだ。

 さらに、年が明けてからの定番エロ番組といえば、フジテレビ系志村けんバカ殿様』であろう。すごろく企画では、女と入浴するといったコマがあり、裸の女性とバカ殿がお風呂に入る場面が放送された。中には「昔の女」なるコマがあり、おばあさんが登場することも……。このほか、90年代のフジテレビの深夜帯では「満月なひき(まんげつなひき)」なる企画も放送されていた。これは女性の下の毛同士を結んで綱引きをするもの。エロさとともに、くだらなさもある企画であるといえるだろう。

 現在はエロは静止画、動画ともに簡単にネットで手に入る。だが、かつては地上波のテレビで流れてくることに大きな付加価値があったといえる。ネット上でも「最近のテレビはすっかりおとなしくなった気がするね」「やっぱりエロは原動力だから見たいね」といった声が聞こえる。30代以上の人間にとっては、お正月のエロ番組が懐かしいという人も多いのではないだろうか。

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