各社Q3に在庫調整、需要見通し引き下げも強気姿勢
「加熱式たばこ」という言葉が生まれ、しばらく経過しました。国内ではフィリップモリスのIQOS(アイコス)をはじめ、国内勢ではJT(日本たばこ)のPloom TECH(プルーム・テック)等、各たばこメーカーは加熱式たばこではしのぎを削っています。今回は、2019年以降の加熱式たばこ業界がどうなっていくのかについて、各社決算資料などをもとに見ていきましょう。
JTはRRPの需要見通しを下方修正
やや古くなりましたが、2018年10月31日にJTが発表した2018年12月期の第3四半期(Q3)決算発表の中で、2018年の加熱式たばこなどのRRP(Reduced-Risk Products, 喫煙に伴う健康リスクを低減させる可能性のある製品)の販売数量の前提を大きく下方修正しました。
RRPにおけるJTの販売数量を前回見込みの40億本から28億本に下方修正しました。
その中で「RRP市場の⾜もとの成⻑は鈍化しているが、中⻑期的にはRRPのシェアが上昇する⾒⽴てに変更なし」とコメントし、短期的にRRPの需要が鈍化していることを明らかにしました。
とはいえ、RRPの関連売上収益は着実に増加しています。2018年Q1の売上収益が83億円であったものが、Q2には129億円、そしてQ3には249億円と、四半期ごとに大きな伸びを示しています。
また、RRPの販売本数も、Q1に3億本であったものが、Q2には5億本、Q3には10億本という規模にまで拡大しています。
2019年のプルーム・テックの成長戦略とは
成長しているRRPカテゴリーとはいえ、短期的に下方修正も行っている以上、手をこまねいているわけではありません。
JTはRRPでの自社製品のリーディングポジションを確立するために、「低温加熱」カテゴリーでの強い製品と新たな展開が必要だと考えています。
JTはこれまでのPloom TECHに加えて、2019年3月までに「Ploom TECH+」及び「Ploom S」の投入を発表しています。
Ploom TECH+は、低温加熱型として、ユーサビリティとにおいの少なさに加えて、吸い応えのある製品という位置づけを狙っています。また、Ploom Sは、高温加熱型として、競合からの市場シェアを獲得する狙いがあります。販売は、オンラインとPloom Shopからスタートし、その後に全国販売を目指す構えです。
フィリップモリスも日本市場の需要見通しを見誤った?
IQOSを展開するフィリップモリスも、日本でのHTU(Heat Tabacco Unit)の在庫調整について決算資料で説明をしています。
これは2017年Q3に大きく在庫を積み上げた影響でその今年はその調整があったという見方のようです。Q3までで37億本の調整となっています。HTUの在庫調整の要因は日本がもっとも大きくなっており、先の37億本のうち43億本が日本となっています(それ以外の地域は6億本の積み増し)。
ただし、この在庫調整はQ3で終了し、Q4には再び在庫を積み増すだろうとコメントしており、日本も再び在庫が増える予想となっています。
2019年以降の加熱式たばこの行方は
日本ではRRPカテゴリーとしてのシェアは2割程度とみられていますが、これは世界で見てもかなり普及している状況です。
RRPは紙たばこを代替していくという見方が大方でしょうが、一方で受動喫煙防止対策や受動喫煙規制などとともにRRPもこれまでの見られ方が変化してくる可能性もあります。
今後、テクノロジーの変化と利用者の嗜好の変化などとに引き続き加熱式たばこには注目です。
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