吸引分娩が必要になる場合は、どのような状況なのでしょうか。吸引分娩による子どもへの影響についても知っておきたいですよね。そこで、専門家に相談してみました。



30代女性からの相談:「吸引分娩について知りたい」


普通分娩での出産予定でしたが、実際には吸引分娩で出産しました。破水し、産道が開いてから陣痛が来て、出産の流れになりました。出産では、なかなか赤ちゃんが出てきてくれませんでした。そこで、吸引分娩ということになりました。吸引分娩するのは、どの段階でどのように判断をするのでしょうか。また、吸引分娩ではどのような道具を使うのかも知りたいです。吸引分娩だと、赤ちゃんの頭の形にも違いがあるみたいなんですが、どのように違うのかも知りたいです。(30代・女性)




お産の進みが遅いと吸引分娩になる

お産の進みが遅いと、吸引分娩になる場合があります。母体への合併症や赤ちゃんの状況なども考慮して、判断していきます。




『子宮口が全開大になってから赤ちゃんが出てくるまでの間の時間が長引いている時、もしくはお産が進まなくなった場合に適応となります。母体への合併症や疲労のために分娩時間の短縮が必要と判断された場合も適応となります。(看護師)』





『陣痛が弱かったり、産道の伸びが悪かったり、赤ちゃんが骨盤の形にあわせて下降してくるときの向きが悪くてお産が進まない場合、また赤ちゃんのそのときの状態から、早く出してあげたいと判断されたときにも適応されます。また、誰に対しても行えるものではなく条件があります。子宮口が全開大(10㎝)になっていること、破水していること、赤ちゃんの頭が下がって来ていること、骨盤の大きさに赤ちゃんの頭が合っていて、経膣分娩が可能なことなどです。(看護師)』




吸引分娩は専用の器具で頭を引っ張る

吸引分娩は、吸引カップと呼ばれる専用の器具を陰圧にして吸着させて、カップの柄を引っ張ります。




『吸引分娩では、シリコン製あるいは金属製の吸引カップを使用し、真空ポンプで陰圧をかけて頭を引っ張ります。(看護師)』





『カップに管が通っており、そこから陰圧をかけて吸盤のように赤ちゃんの頭にくっつけて吸引します。(看護師)』




頭にこぶのようなものが出来ることがあるが、次第に消失していく

吸引分娩により、頭にこぶのようなものが出来ることがありますが、多くは頭血腫と呼ばれるものです。頭血腫の場合は次第に消失していくため、脳の発達にも悪影響はありません。




『赤ちゃんの頭のカップを被せた部分に血液が溜まり、こぶのように少し膨らみます。この膨らみの多くは頭血腫と呼ばれるものです。血液は次第に吸収されますので膨らみはなくなります。脳の発達にも影響はありません。(看護師)』




母体と赤ちゃんの健康状態を考慮しながら、吸引分娩が必要かどうかを医師が判断します。圧をかけて引っ張るため、頭にこぶのようなものができることがありますが、多くの場合、徐々に消失していきます。頭血腫の場合は、大きな心配をしなくても良いでしょう。



監修者:青井 梨花(あおい・りか)
助産師・看護師・タッチケアトレーナー。病院や地域の保健センターでの勤務を経て、株式会社 とらうべ 社員。妊娠・出産・育児相談や女性の身体の悩みに関する相談に親身に応じ、赤ちゃんタッチ講師も務める。一児の母。
吸引分娩の方法とは?赤ちゃんの頭の形にも影響する?