2月中旬に一斉提訴が予定されている、同性婚をめぐる憲法訴訟。提訴に先立ち、原告となる同性カップルが1月4日から婚姻届の提出を始めた。

埼玉県川越市では、ゲイカップルの古積健さん(44)と相場謙治さん(40)が婚姻届を出した。提出することは事前に連絡してあり、不受理を前提に市が預かることになった。

提出後、相葉さんは「分かってはいたけれど、異性カップルなら『おめでとう』と受け取ってもらえるのに…」と語った。

原告となる4地域の全10組が婚姻届を出すが、日本には同性婚の仕組みがない。民法や戸籍法が想定しているのは、男女の夫婦とされており、すべて不受理となる見通しだ。不受理の証明書は、裁判の証拠として提出される。

訴訟では、同性カップルの婚姻を認めないことが、憲法が保障する「法の下の平等」(憲法14条)や「個人の尊重」(同13条)に違反するかなどが争われる。

●都内のホテルで「結婚式」もあげた

古積さんと相場さんは、2008年に交際をはじめ、翌年から共に暮らすようになった。周囲には、同性愛者であることを明かしている。

裁判の原告になろうと思った理由を、古積さんは次のように説明する。

「声をあげたくても、あげられない人がいるのなら、自分たちにできることをしたい。バッシングがあるかもしれないが、誰かがしないと動いていかないと思う。自分たちが盾になって進んでいきたい」

2人は、2013年に都内のホテルで「結婚式」もあげている。当初は、会場から断られたという。それでも交渉により、異性カップル用のプランを同性カップル用にアレンジしてもらった。

「行動することによって、ちょっとずつでも変わっていくことができる」と、パートナーの相場さんも語る。

そう思えるようになったきっかけの1つは、勤務する外資系IT企業で、同性カップルでも結婚祝い金がもらえるようになったことだという。

「自分の中で考え方が変わった。同性婚はできないものと思ってきたが、意外とそうではない。認められていくのだと思った」

制度が変われば、人々の考え方も変わると期待している。

●婚姻届、「夫」と「妻」の表現は変わるか?

2人は結婚式のときも、「いつか提出したい」と婚姻届を書いたという。

今回、改めて婚姻届を書いてみて、相馬さんは「自分たちは、夫と夫と考えている」として、裁判を通じて「夫」と「妻」の氏名を書く欄が変わっていくことに期待を寄せた。

一方、古積さんは「不受理だと分かっているのに書くのか」という複雑な心境と、「いつか受理させてやる」という神妙な気持ちになったと話していた。

弁護団によると、1月16日にも別のカップルが婚姻届を提出する予定だという。

(弁護士ドットコムニュース)

動き出した「同性婚」の憲法訴訟、同性カップルが婚姻届を提出 裁判の証拠に