2月15日(金)より配信されるNetflixオリジナルの新シリーズ「アンブレラアカデミー」の詳細が発表になった。「アンブレラアカデミー」は、13年に惜しまれながら解散したロックバンド「マイ・ケミカル・ロマンス」のボーカル、ジェラルド・ウェイが07年に発表したコミックが原作となっている。本作は、妊娠の兆候もなく突然生まれた子どもたちのうち、7人を引き取った大富豪が、彼らをスーパーヒーロー兄弟に育て上げた後の物語を描く。それぞれ異なる個性とパワーを持つ兄弟には、エレン・ペイジ、「ゲーム・オブ・スローンズ」のトム・ホッパーらが扮する。

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Netflixの新作発表イベントで行われたインタビューでは、ナイフ投げの名手であるディエゴ役のデヴィッド・カスタネダ、死後の世界の住人とコンタクトが取れる力を持つクラウス役のロバート・シーハンが役作りや原作との付き合い方について語った。エグゼクティブ・プロデューサーにも名を連ねるジェラルド・ウェイの原作については、参考にしつつも、意識しすぎないというスタンスを守ったと2人は語った。

デヴィッド・カスタネダは、原作の存在を知らなかったと告白し、「キャラクターの基本を理解するために原作をリサーチすることは必要だけど、それに固執してはいけない。そうすると、たくさんのチョイスに埋もれてしまって、このシーンにおいてディエゴがどうしたいかではなく、(原作者の)ジェラルドがどうしたかったのかを考えるようになってしまうから」と、彼なりの役作りのルールについて語った。また、彼が原作のなかで、最も参考にした点は、ディエゴの身体的な部分だったという。

「コミックのディエゴは、とても特殊なビジュアルで描かれているよね。まるで泥のような、強靭な存在に。それを模倣するというよりは、その存在感がどこから来るのか、どこにパワーの源があるのか、どうしたらコミックのようなポーズが取れるのか。そういったことを探ろうとした。身体的な準備をしながら、新しい特徴をつかんでいく作業は、とてもエキサイティングだったよ。あと、ディエゴには孤独なメンタリティがあるから、僕自身もあまり外食はせず、たくさん料理をするようになった。彼はナイフの達人なので、料理はいい役作りにもなったよ(笑)」とカスタネダは語る。

一方、クラウスを演じたロバート・シーハンは、「まず、スーパーヒーローの“スーパー”を取り除いて、ヒーローとはどんな人物かを考えた」と言う。「クラウスはある種、ヒーローならぬヒーローなんだ。幼いころにスーパーヒーローに仕立て上げられたものの、本来は犯罪と闘うようなキャラではない。消極的で非暴力的で、とても神経質で、すぐに人に共感してしまうような性分で、ヒーロー役としてはミスキャストでしかない。クラウスの役作りにおいては、いろいろなものを参考にしようとした。もちろん、背景を知り、キャラクターの基盤を持つ上で原作のリサーチは欠かせなかったけれど、自分でキャラクターを作り上げることが大切で、そこが演技の面白い部分だよね?クラウスがどんなキャラクターなのか、早い段階でつかんだとは思うけれど、撮影中にいろいろな即興の演技をしながら作り上げていったところもあるね」と思い返す。

原作者のジェラルド・ウェイとは、脚本読みの段階で会うことができたそうだ。「第1話の脚本読み合わせのときには、ジェラルド・ウェイも、イラストレーションを担当した共同クリエイターのガブリエル・バーも同席していたんだ。その時に、ガブリエルの双子の兄弟であるコミック・アーティストのファビオ・ムーンもいて、僕たち皆が読み合わせしている姿を、とても素敵なスケッチにしてくれた。彼のインスタグラムに投稿されているよ」。

デヴィッドは、コミック原作者たちが勢揃いするなかでアクション・シーンを演じることに大きなプレッシャーを感じていたそうだ。「僕は撮影初日に3人の男たちとの大乱闘シーンを撮影したんだけど、現場にはコミック出版社のダーク―ホースの人々から、ジェラルドガブリエル、ファビオまでみんながいて…。コミック界の重鎮たちがそろっているなかで、ちゃんとしたところを見せなければ!と。僕自身、3週間かけて過酷な練習をしたシーンで、窓を飛び出して、机を破壊して、ナイフを投げて…の大乱闘を演じて、『カット』の声がかかった瞬間に、モニターを見ている場所から拍手が聞こえたんだ。ガブリエルジェラルドたちが喜んでくれたことを知って、本当にホッとしたよ。これでクビは免れたぞと(笑)」と、撮影秘話を語ってくれた。

コミック原作のスーパーヒーローものでも、マーベルDCコミックとは違う味わいを持つ『アンブレラアカデミー』。2月15日(金)の全世界同時配信を心待ちにしたい。(Movie Walker・取材・文/平井伊都子)

クラウス役のロバート・シーハンと、ディエゴ役のデヴィッド・カスタネダ