メキシコのプエブラ州にある先住民ポポロカ族の遺跡で、900~1150年頃のものと思われる「シペ・トテック」を祀った寺院とシペ・トテックをかたどった頭部2体と胴体1体が発掘された。
シペ・トテックは自らの皮をはいで人々に食料を与える豊穣と死と再生を司る神で、生きたまま皮をはがれた人の遺体の生贄が捧げられていた。
また、生贄の儀式に使用されていたと思われる2つの祭壇も発見された。
考古学者によると、メキシコで発見されたシペ・トテック関連の遺物としては最古のものである可能性があるという。
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皮を剥がれた我らが主「シペ・トテック」
シペ・トテックはアステカ時代にメソアメリカ全土へと信仰が広まった豊穣と死と再生を司る神である。その名は「皮を剥がれた我らが主」という意味だ。
この男神は、自らの皮をはいで人々に食料を与えるとされており、トウモロコシが発芽するときに種子の外層を失うことを象徴している。
シペ・トテックに捧げられた皮をはがれた人の遺体の生贄
アステカ期には春に「トラカシペワリストリ(Tlacaxipehualiztli)」という儀式が催された。それは「皮を剥ぐ者の皮膚をまとう」という意味だ。
儀式では、主に戦争で捕虜になった人間の皮膚すべてを生きたまま丁寧に剥ぎ落とし、生贄として心臓を切り出して神に捧げた。
儀式の間、司祭は再生の印として剥いだ生贄の皮を身にまとう。更に生贄の大腿部の肉を全て剥ぎ取り骨にしてそれを持ち、参列者に触るのに用いたという。
メキシコ国立人類学歴史研究所(INAH)によると、発見された寺院の大きさは、横幅約12.5m、高さ3.5m。
シペ・トテックをかたどった2つの頭部は、高さ70cm、重量は200kg。これらはアステカの外の地域から輸入されたと考えられる火山岩を彫ったものだ。
神像の高さは約80cm。お腹に穴が開いているのは、儀式で命を授けるために緑の石がはめられた部分だそうだ。
神像の左腕には右手がぶら下がっており、生贄の皮膚がまとわれている様子が表現されている。
生贄の皮を剥ぐのに使用されていた2つの祭壇
さらに、生贄の儀式に使っていたと思われる前に穴が開いた2つの祭壇も見つかった。
生贄は1つ目の祭壇で半殺しにされ、2つ目の祭壇で皮膚を削ぎ落とされたと思われる。2つの大きな頭部は祭壇の穴の蓋として使われていたようで、中に生贄が入れられたようだ。
こうしたシペ・トテックの神像や儀式が最初に登場したのは、アステカ以前と考えられている。
追記(2019/01/08):本文を一部修正して再送します。
References:inah/ written by hiroching / edited by parumo
http://karapaia.com/archives/52269616.html
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